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異世界でも、お姉ちゃんに任せなさい!  作者: 佐々木 みこと
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短編03:闇属性の少女達(アイカの日記より)

前回時系列の問題で、掲載を見送った短編です。


短編というわりに少し長くなってしまいましが、

どうぞごらんくださいませ。

私の名前は『アイカ』14歳。

大陸の北方、人が足を踏み入れることのない山岳地帯の地下集落『死神の巣』に住んでいます。チャームポイントは母親譲りのキラキラと輝く銀色の髪と、父親譲りの短弓の腕前です。友達からは「アイカは、ちょっと天然なところがあるけれど、そこが可愛いよね!」って言われていますが、いまだに“天然”の意味がよくわかりません。


毎日『彼氏無し』、『変化無し』のむなしい生活を送っていた私ですが、今回私の人生に大きな転機が訪れましたので、その始まりの一端について恥ずかしながら、私の日記よりお話したいと思います。



◇◇◇◇◇◇



<6月10日>

エルフィン王国へ任務のため出向されている『若様』の一行から『おさ』のもとへ急使が到着したそうです。

いつも私に優しい言葉をかけてくださる『若様』と『お嬢様』に何かあったのでしょうか? 心配です……。夜、闇の神にお二人のご無事をお祈りしてから就寝することにしました。



<6月15日>

おさ』のもとに急使が到着してからというもの、大人達は毎日バタバタと忙しく動き回っています。誰に聞いても何も教えて下さらないので、おそらく『死神の巣』にとって重大な事態が起こったのではないか……と友人達と話し合ったりして余計不安になってしまいました。


……でも、大人達の表情を見ていると、特に『難しい顔』をしているわけではないのです。むしろ明るい雰囲気が感じられるような……。


そのことを“友達のお姉さん”に尋ねてみると、

「大人の中には、『苦痛』を『快楽』に感じる特殊な『性癖せいへき』を持つ人がいるのよ」と教えてくれました。


………『セイヘキ』ってなんでしょう?



<6月20日>

早朝、『死神の巣』本拠地全域に『おさ』からの伝達事項が公布されました。


「10歳から18歳の女性は全員『魔力量と属性測定』の検査を受けること」という内容です。いったい何が始まったのか全くわかりませんが、とにかく『おさ』の命令は絶対です。私も自分の順番になったら検査を受けに行こうと思います。


“知り合いのお姉さん”は、今回の伝達事項について…

「特殊任務ね……女性限定、しかも『10歳から』という低年齢も含んでいることを考えると、『幼女趣味』を持つ『変態貴族』の所への潜入任務かしら…」と言って、私を可哀想なものを見るような目で見つめてきました。


……変態貴族だなんて……そんなぁ……。



<6月22日>

『魔力量』と『属性判定』の検査を受ける。

魔力量については、「同世代の子と比べると上位10名に入るかもしれない」と検査員の方に褒められました。そして属性判定の検査では、私の属性は『闇属性』だけでなく『水属性』も所持しているという結果が出ました。とても嬉しいです!


複数の魔力属性を持っている人はとても珍しく、闇属性以外にも魔力属性を持っていると、成人してから大陸のどこで生活をすることになっても、その属性を前面に出して堂々と普通の生活をすることができるのです。


闇属性所持者は、基本的に同じ属性の人としか結婚しないので、複数の属性を持つ子が生まれるのは更に稀なのです。私のご先祖様に水属性の人と結婚された人がいたのかもしれません。


検査終了後、別室に連れて行かれました。別室では『おさ』を含む6名の幹部達が椅子に座っていて、私の身体を遠目でジロジロと眺めながら、何やら相談をしていました。……いったい何だったのかしら?


“近所のお姉さん”に聞いてみたところ…

「将来的に『身の回りの世話』が出来るかどうかを確認していたのかもしれないわね」…と頬を赤らめながら答えてくれました。


私が「『身の回りの世話』くらい『将来的』ではなくて、今でも出来ますけど…」と言葉を返すと、「まぁ! 最近の子はすすんでいるのね!」って、驚いた表情をしていました。


……『身の回りの世話』って他に何か意味があるのかしら…?



<6月25日>

お昼前に『おさ』からの招集がかかる。

『死神の巣』の中でも重要な任務を請負う際にしか入れないとされる『会談の間』に案内されて足が震えました。室内に入ると、私の他に4名の女の子が同じように招集されていました。


おさ』と幹部達が『会談の間』に揃うと、私達5名に対して『任務』が通達されました。

それは……


「ある御方に忠節を尽くし、誠心誠意お仕えせよ」という内容でした。


詳細については、エルフィン王国への道中で合流することになっている『若様(グレイ様)』に伺うようにとのことです。


本来は20名くらい集めて『ある御方』のもとへ送り出す予定だったそうですが、条件に当てはまる女性が『死神の巣』の本拠地だけでは私達5名しか選べなかったそうです。


これからエルフィン王国をはじめ、リーフラッド公国やメルガト帝国などに潜伏している同胞にも呼び掛け、人選を行うとのことでした。


『会談の間』での用件が終わって退室する際、「他に質問は?」と聞かれたので、


「お仕えする『ある御方』というのは、『幼女趣味』の『変態貴族』ですか?」


と問いかけると、「何を言っているのだお前は!!」って『おさ』と幹部の皆様に本気で怒られてしまいました。


……お姉さん…違うみたいですよ……。



<6月27日>

任務のためエルフィン王国へ向けて出発しました。

出発前、両親も私と同じく『任務』については詳細を聞かされていないため、とても不安そうな顔をしていました。本当は泣きたかったけれど、泣いてしまうと余計に両親を不安にさせてしまうので、頑張って笑顔を作って手を振りました。


……他の皆も同じだったみたいです。


見送りの人が見えないところまで歩いた時、みんな隠すことなく泣き始めました。

しばらく涙が止まりませんでしたが、護衛役として同行しているギルスさん、デルガドさんが私達5名を気遣ってくれたので、とても嬉しかったです。


ギルスさんもデルガドさんも、私達がこれからお仕えする方のことを知っている様子ですが、「若と合流するまでは……」と一切語ってくださいません。


今回はエメラダ神聖国を経由してエルフィン王国へ向かう最短経路で旅をするとのことです。闇属性所持者の私達にとっては、エメラダ神聖国は忌避する場所ですが、任務とあれば仕方ありません。今回は勉強だと思って割り切ることにします。



………というのは建前で、本当は私を含め5人とも『死神の巣』から出るのは初めてなのです。みんな「エメラダ神聖国はどんなところだろう!」と内心ワクワクが止まりません。


道中、女の子達で自己紹介をしました。

以下に私が思った印象も含めて記載します。


・リーシャ(14歳) 魔法属性:闇・風・土

  紺色のセミロングの髪を紐で束ねている大人しい子。

  双剣使いとのことですが、外見は戦えるようには全く見えません。


・メリッサ(12歳) 魔法属性:闇・火

  薄いブラウンの髪を左右に分けてお下げにしている明るい子。

  将来は『二つ名』を持つ魔法使いになりたいとのことで、私達の行き先がエルフィン王国と聞いて、「マリク・カダイン伯爵に会えるかな!!」と興奮していました。


・ゼナ(11歳)   魔法属性:闇・土

  青い髪が肩にかかるくらいのミディアムヘアの“落ち着いた感”のある子。

  槍が得意で、読書が大好きとのこと。お気に入りは“騎士物語”だとか…。


・レア(10歳)   魔法属性:闇・水・雷

  ピンク色のセミロングの髪が可愛い美少女。

  黙っていれば貴族のお嬢様に見えるのでは……。

  料理が大好きで、よくお母さんのお手伝いをしていたそうです。

  まだ自分の愛用の武器は決まっておらず、現在は短剣を所持。



全員歳が近いので、あっという間に仲良くなれました。

この子達と一緒なら、どんな任務でも頑張れるような気がします。



<6月30日>

『死神の巣』を出発してから徒歩で2日、馬車に乗って1日経ったこの日、『若様(グレイ様)と合流することが出来ました。


若様は、私達を見て「これだけか……」と残念そうにポツリと一言漏らされましたが、その後は普段の表情に戻られて、私達の任務についてお話くださいました。


そしてそれは、私達全員にとって衝撃的でした…。


なぜなら―――――


「そなた達の任務は、光栄にも『魔王』様にお仕えすることだ!!」


って言われたのですから!!


具体的には、現在エルフィン王国のカダイン伯爵領に潜伏されているという、まだ幼い魔王様のお傍にお仕えし、将来の側近・護衛候補として日々訓練と勉学に勤しむことが任務とのことでした。


将来的には『夜の仕事』も任せられるとのことですが、


「夜の仕事とは『潜入』『暗殺』任務のことですか?」


と問いかけると、『若様』は頭を抱えられました。


そして、「夜の仕事……つまり、魔王様の『身の回りの世話』について、そなた達に指導できる者の派遣を『おさ』に依頼しておく……」と言われました。


リーシャが、「先に魔王様のお傍でお仕えしていらっしゃるソアラお嬢様に、『身の回りの世話』の任務内容を伺っておいたほうがよろしいでしょうか?」と質問すると、「……いや、ソアラもまだ『処………』……いや、知識だけで実践はまだだからな……」と顔が赤くなっていました。


お嬢様がまだ『しょ……』って何でしょう?



<7月1日>

結局、若様も『魔王様』については「会ってからのお楽しみだ!」と言って詳しくは教えてくださいません。唯一教えていただいた情報は、『魔王様』が、あの『雷帝』を戦わずして服従させてしまう力を持っているとのことで、それを聞いた時は皆で震えあがってしまいました。


ちなみに、メリッサは行き先がカダイン伯爵領と聞いて、さらに興奮して鼻血を出していました。



<7月2日>

早朝、エメラダ神聖国に到着しました。

宿泊予定の宿に入ると、若様が『死神の巣』の諜報員から何やら報告を受けていました。


その内容が影響したのかどうかはわかりませんが、私達はしばらくこのエメラダ神聖国に滞在し、来月カダイン伯爵領で行われる行事が終了する頃に、現地に到着するよう出発すると決定しました。


エメラダ神聖国の色々な場所を観光できることになり、そして何だか怖そうな『魔王様』に仕える時期が延びたことに、私達全員歓喜しました。



◇◇◇◇◇◇



そして――――――――8月


私達はエルフィン王国のカダイン伯爵領に入国し、“予想外の場所”で『魔王様』に会うことになったのです。


その時の話は、またの機会に………





……『魔王様』にお仕えしてからの日記は、とても人には見せられません……




読者の皆様、いつも応援ありがとうございます。


ブックマーク、評価もありがとうございます。

引き続き応援よろしくお願いします。

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