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異世界でも、お姉ちゃんに任せなさい!  作者: 佐々木 みこと
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第4話 食堂での話合い(後)

食事が終わって、この世界と異世界人について簡単な説明です。

異世界での姉弟の待遇についての話合いです。

「さて、それでは、この世界と異世界人の関わりについて簡単に話をしておきましょう」


食事が終わって、私たちの目の前の食器が片付けられると、マリクさんが話を始めました…。


◇◇◇◇◇◇


マリクさんの話によると、この世界に最初の異世界人が現れたのは、およそ5,000年前とのこと。その時は召喚されたのではなく、神のごとく降臨して原始的な生活をしている人類に「魔法」の概念を教え、魔力の扱いと魔術について伝承したとか…。


それからは、伝えられた魔術による「異世界召喚儀式」が稀に誕生する天才魔術師によって、不定期に各地で行われたものの、成功に至ることは難しく、およそ500年に一度の割合で異世界人が知識・技術をもたらしたそうです。内容をかなり大雑把にして記載するとこんな感じ…


約5,000年前 異世界人(女)が降臨して人類に魔法の概念を伝える。

       女神アナーテの降臨。

約4,500年前 異世界人(男)が農業を伝える。農神ファーと呼ばれる。

約4,000年前 異世界人(男女)道具の制作と服飾の技術を伝える。

       夫婦神スピカと呼ばれる。

約3,500年前 異世界人(男)が漁業の技術を伝える。海神ボガードと呼ばれる。

約3,000年前 異世界人(男)が金属とその加工技術を伝える。

       鉱神エイジと呼ばれる。

約2,500年前 異世界人(男)が紙の作成と印刷の技術を伝える。

       智神クレメンスと呼ばれる。

約2,000年前 異世界人(男)が大陸西部を侵略・統治する。

       メルガト帝国を建国。

約1,000年前 異世界人(女)により魔法革命がおこる。

       魔女オルタナと呼ばれる。

       ※魔法・魔術と魔法具の飛躍的な進化、発展がなされた。

約500年前  異世界人(男)が召喚されるも何者かに暗殺される。


◇◇◇◇◇◇


うーん。最後の暗殺された人が気になるけれど、とりあえず異世界人はこの世界に多大なる影響を残し、文明を発展させていったみたいですね…。

食文化については、なおざりにして…。



「このマリク・カダインが生きている限り、ミユとユウトが生きていく上で必要なものについては、保障しましょう。そして、しばらくの間は二人には異世界人であることを隠し、この屋敷から少し離れた別邸で生活をしてもらいます。」


「すみません…なぜ異世界人であることを隠さなければならないのでしょう?

それと確か地下室では、私たちに協力してほしいことがあるとか…」


私が率直に浮かんだ疑問を訪ねると、マリクさんはその質問を予測していたかのように


「あなた達の身を守るためと、この世界に早く慣れてもらうためですよ。

異世界人がもたらす知識は、世界の勢力バランスをくずしかねない可能性を秘めています。誘拐・暗殺を防ぐために、この屋敷にずっと軟禁されるのは本意ではないでしょう? そしてもうひとつ、あなた達に協力してもらいたいことについては、あなた達にその能力があるかどうかを見極めてから…ですね。もしも持ち合わせていない場合…そのまま一般人として生涯を過ごさせてあげたいと思っています」


そう言ってニコリと微笑んだ。


なるほど。確かに異世界人として周りに認識されてしまっては、誘拐・暗殺の危険が高まり、もしも誘拐された後、この世界に貢献できない無能者と判明すれば、即座に殺されたり、捨ててられる可能性もあるわけですね…。


(異世界怖い……)


そう考えれば、マリクさんは最初に私たちの生活を保障してくれると宣言してくれたのだから、良心的に私たちのことを考えてくれている協力者とみていいのかしら…。


(ふぅ~。少し安心して気持ちが落ち着いたみたい…)


…そんな風に身体の力を抜いていると、


「“有能な異世界人”を召喚したということでなければ、天才魔術師の名に傷がつくからな。貴様たちが使えるかどうか判断できるまでは存在を隠ぺいしたいのさ……」


(!!!!!!! ゼ、ゼガートさん……。)


ゼガートさんが付け足した言葉に驚いて、マリクさんのほうを見ると、口角を上げてニヤリと笑いました。


「余計なことを……。それくらいで私の名声は陰りませんが、念のためです」


私たちが信用していい人は、この世界にいるのかしら……と本気で悩んでしまいます。優斗も暗い表情を浮かべています。


「さて…それでは、レイシア! マーサ!

 明日から二人につける護衛とメイドを二人ずつ選定してください。

 出発は……明日の朝食後でいいでしょう」


マリクさんが近衛騎士長のレイシアさんとメイド長のマーサさんに声をかけると、


「二人の護衛には、私レイシアとあと一名を選びまして任務にあたります!」

「お二人のお世話には、私マーサとあと一名を選別いたします」


と、二人とも即座に一歩前に進みでて進言しました。


「………却下です。なぜ近衛騎士長とメイド長自らが行く必要があるのですか?

 新人でも大丈夫でしょう……」



「…そ…そんなっ……マリク様。ミユ殿はともかく、ユウト殿は剣術の才能があります。今から私が指導すれば、数年後にはきっと立派な剣士に!!」


「そっ…そうです!マリク様。ミユ様はともかく、ユウト様は今から私が教育すれば、数年後にはどの貴族のパーティーに出席しても恥ずかしくない紳士に!!」


二人ともマリクさんに言い返しましたが、マリクさんは冷静に……


「却下します!!」


と二人の発言をあっさりと退けました。

周りのメイドさん達が小さくガッツポーズをしているのは、なぜでしょう?


とりあえず明日から生活する別邸には、護衛の人とメイドさんが二人ずつ来てくれるということなので、サバイバル生活をしないでも済みそうで一安心です。


この時、優斗がレイシアさんをじっと見つめて喜色を浮かべていたのを私は知りませんでした。

当面は異世界人ということを隠しての生活が始まります。

二人とも護衛付き、メイド付きということで安心しました。


次回は、二人が生活することになる別邸へと出発します。

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