里へ
龍太郎と、源太、源次、源三の三兄弟がホンの暫くの間会話をした。
その間三兄弟は手を休める事なく鍬を振り下ろす。
振り下ろしながらも、手は休めない。
手を休めずとも会話は出来ると言わんばかりに
鍬を振り下ろす
「龍太郎…お前の側に立っている奴はだれだ。」
一番年嵩らしき男が龍太郎に尋ねる。
「源太あんちゃん…この人は、坂口剛くん。
きのう…下の畑を耕してたら
俺の姿を見て気をうしなったんだ。」
「龍太郎。またやったのか?
お前の姿は俺たちとは、ちぃっと違う。
だから常に余所モンに声をかける時には、十分に気を付けろと、言っとろうが?
ホンに粗忽者だのう。」と、
年嵩の源太とおぼしき男につられ、源次、源三とおぼしき男達もつられる様にわらった。
その笑いは、龍太郎を嘲り、貶める様な笑いでは無く。
側で聞いて居た僕もつられそうになる程で
当の龍太郎は軽く頭を掻きながら
少し恥かしそうに笑って居た。
一番年嵩の低そうな男、源三が手を休めて振り返り
「龍太郎…その男を連れて何処へ行く…
用が無いなら、開墾を手伝ってくれないか?」
「すまん…源三…今から里に降りて産みたての卵を薬屋に届けにゃならん。
それに、剛くんを、専正寺の和尚に会わせてみようと思ってる。」
えっ?僕をこの世界に放り出すの?
そんなぁ…
誰も知らない所で放り出すなんて…
「剛くん。心配は要らないよ。
専正寺の和尚は、面倒見も良く徳も高い。
和尚なら剛くんの身の振り方も考えてくれるよ。
俺みたいに、今日を暮らす事が精一杯の奴より、専正寺の方が君の面倒を看てくれる。
だから心配は要らないよ。」
「そうだな…和尚なら悪い様にはしないな。」
年嵩の源太が頷いたとき。
僕は目の前から色が失せて行く気がした。




