龍太郎2
龍太郎が用意 してくれた晩御飯 は、質素そのもはのだった。
僕の前に置かれた箱膳の上にのるのは、塩で湯がいた青菜と、塩味しかしない粥…
粥の中には何処をどう探しても米が見当たらない。
「龍太郎?何時もこんなに質素な食事をしてるの?」
「えっ!!、百姓は皆んなこんな感じだよ。」
「お百姓さんって、お米はたべないの?」
「食べない訳じゃないけど、食べるのは特別な時だけ
。」
特別なときって?」
「お正月とか?お祭りの時とか。
それと…戦の時とか?」
「いくさっ!いくさって言ったよね?」
「うん…言ったけど?」
しれーっと惚けた表情で口にする様なものじゃないだろ戦って
「ねぇ?戦の時にどうして米をたべるの?」
「力が出るから…
戦にこの村が巻き込まれたら、下手したら二度とお米なんて食べられ無くなるから…
だから、力をイッパイ、イッパイ出して村を護るの。」
「お侍さんは、護ってくれないの?」
「この小隈村には侍は、居ない。
その侍が、この村を襲ってくるの。」
「じゃあ…どうやって、この村を護るの?」
「そりゃ皆んなで一丸となって追い返す。」
「追い返せなかったら?」
「田圃も畑もみんな、取られる。」
侍も居ないのに、百姓の力だけで追い返す事が出来るのか?
そんな僕の疑問に答える様に龍太郎が、険しい顔をして口を開く。
「村の年寄りも女も子供も、皆んな総出で戦う。
丹精込めて作った田圃や畑を護る為…
俺は大好きなみんなが怪我しない様に、相手が死なない程度に打ちのめす。」
「どうして?打ちのめすだけなの?」
「指揮を執るのは侍にだけど、攻め込んで来るのは同じ百姓だから…
同じ百姓だから、作物を育てる喜びも苦しさもよくわかってる。
だから相手も戦いなんてしたく無いんだ。
だから…少し打ちのめせば、戦意なんてなくなる。」
「じゃあ、お侍さんが攻めて来たらどうするの?」
「女や子供や老人達は、ひとたまりもない。
だけど…俺がそんな事は絶対にさせない。」と
ニヤリと笑った龍太郎の口から、牙がのぞいた。




