平行世界でも歴史は変えて良いのか。
「その龍太郎を抱いた母親は、流石に龍神の子を産む事は体に負担がかかったのだろうな?
産後の肥立ちが悪いとでもいうのか?床に伏せったきり、とても龍太郎に乳を与える事など出来なかったよ。
だがな…ロクに乳も貰えぬのに龍太郎は、目をみはる様な成長を遂げていた。
二つにして既に、大人と肩を並べる程に成長していたんだ。
とは言っても剛の身長よりは幾分小さいがな。」
「幸ちゃん…この時代、平均身長は150センチぐらいだよね。」
「ああ…背もちいさいが身体も細い。
ほぼ、平民は栄養失調だ。
それはそれとして、龍神の子供なんてのが存在するなんて、御伽話か神話だと思わないか。
だからだ、この世界は俺たちの居た世界とは違うんじゃ無いか?」
「でもさぁ?幸ちゃん…
もしも…もしもだよ?この世界が僕らの世界だったとしてみて、龍太郎は歴史から消された。
と、したら?この世界の未来を変えてしまう事には、大きなリスクがありすぎる。
変えた未来の先に、僕らは居たんだ。
未来が変わったら僕らも消えてしまうんだよ?
だから…今の状況を精査してみない?」
「構わないが…剛…それで、どうなる?」
「幸ちゃん…もしも…この世界が僕らの世界ならば
必ず、秋月種実が、この館を攻めに来る。」
「それは本当か?」
「その為にもこの辺りの勢力図を把握しないと、僕らの歴史なら、この小隈の館の東の方の豊前添田の英彦山の麓にある岩石城芥田六郎兵衛が、大友岩屋城との補給を遮断しているはずなんだ。
だから、大友の侍大将、高橋紹運は博多のとなり新宮の立花状況を経由しなければならない。
だから…
高橋紹運は、この館を手に入れたい。
手に入れれば逆に古処山城と岩岩城との補給線を断てる。
しかし、そうはさせじと秋月種実は地の利を生かしてこの館を攻めに来る。
なんせ、ここから丸見えな位に近い。
この館は戦略上とても重要なんだよ。」
「ならば、俺が護ってみせる。」
「幸ちゃん…この館が戦に耐えられる様になるのは、関ヶ原以降だよ。」
「う〜ん」
「この城はまるっきり裸城なんだ。
だから戦になったら、まず、姫様を逃す事を考えなきゃ。」
「まず…姫を逃す事を考える?」
「そう…だから今のうちに姫を逃す用意はしとかなくちゃいけない。」
「それはいつまでにだ?」
「多分今年の秋のまえはか、ら来年の秋前…」
「どうしてそう言える。」
「高橋紹運が穂波の田んぼを焼き払うから、秋月種実は高橋紹運を追いかけて八木山で追いつき戦うんだけど、こっ酷くやられるんだ。
尻に火が付く秋月種実は、なんとしても、この館を手に入れて、豊前府内城を孤立させなければならない。
だから目安は高橋紹運の穂波焼き払い迄に手筈を整えなきゃいけない。」




