明かされる真実
染井さんの言葉と共に僕は水晶の街になる前の場所にいた。そこには、さっきの男も染井さんも見当たらない。立て続けに起こった不思議な出来事に僕は自分の頭がおかしくなりそうになっていた。
「お兄ちゃ〜ん、どうしたの?急にキョロキョロして?」
茜の声で僕は我に返った。
「茜⁉︎もしかしてずっと正門前にいたの⁉︎」
「ん〜?ずっとって?ついさっきお兄ちゃんに声かけたばかりじゃん」
茜は不思議そうにそう言った。
「ついさっきって⁉︎」
僕は慌てて学園の大時計をみた。
(時間が進んでない⁉︎)
大時計は水晶の街になる前の時刻のままだった。
(どうして⁉︎)
「お兄ちゃん、大丈夫?」
茜は心配した表情で僕に問いかけた。
「あぁ、大丈夫だよ」
僕は心配させまいと笑顔でそう答えた。
「そう?じゃあ夕飯の材料買ってから帰ろ!」
「今日は何にするの?」
「決めてないよ!商店街見て決める!早く行こ!」
そういうと茜は僕の手を取って走りだした。
「うぉ⁉︎そんなに急がなくても!」
「ダーメ!今日は[刑事10係]があるんだから!」
「仕方ないな」
僕は少し呆れながら気づいたらいつもの調子に戻っていた。
(茜、ありがとう)
僕は心の中で茜にお礼を言いながら、茜に手を引かれながら商店街に向かった。
ーーその頃(染井椿)ーー
私は立ち去っていく彼の、透谷くんを教室の窓から眺めていた。
「彼は一体なんなの?」
(このゲームが始まって、既に1ヶ月経つのに戦い方は愚か、ゲームの仕組みすら把握していない)
そんなことがあるのだろうか?
(彼女は戦い方を知っていたのに)
その時、私は昨日の出来事を思い出す。
(確かめないと)
私は決心を固め、教室を後にした。
ーー翌日ーー
僕は昨日のことが気になりながらも、いつも通り登校し、直哉と他愛のない話をしていた時
「透谷くん、ちょっと良いかしら?」
染井さんが話しかけてきた。
「どうしたの?染井さん?」
「ちょっと昼休みに時間をもらえない?話があるの・・・」
そして染井さんは、そっと僕の耳元で
「昨日のことと、村峰さんについて」
「⁉︎」
(昨日のことって、いやそんなことより染井さんは村峰さんのことを憶えている⁉︎)
彼女は何か知っているのか⁉︎
「染井さん、どういうこと⁉︎」
僕は咄嗟のことで染井さんの両肩を掴んだ。
クラス全員「ザワザワ・・・」
僕の突然の行動にクラスのみんながザワつきだした。それでも僕は、そんなことがどうでもよくなるほど彼女が知っていることを聞きたかった
「落ち着いて透谷くん。今ここでは話せないの。だから昼休みに時間をもらいたいの。場所はLINKで伝えるから、ID交換しましょう。あなたの疑問にも答えてあげる」
僕は不安を抱きながら、スマホを取り出した。
「本当に答えてくれるの?」
「えぇ、もちろん」
彼女は頷いた。
(染井さんの言葉を信じるしかない。それしか今の状況を理解する術がない。)
僕はチャットアプリのLINKを開き、染井さんにIDを見せた。
「ありがとう。それじゃあ、また後で」
そういうと彼女は自分の席に戻っていった。
「おいおい!どういうことだ!なんか面白い展開になってきてるな!」
直哉は興味津々でそんなことをいった。
「そんな面白いことにはならないよ」
そう、これはそんな良い話じゃない。
そして、四時間目の授業中、染井さんからのメッセージが届いた。
[旧校舎1階多目的教室]
簡潔に待ち合わせ場所のみが書かれていた。
そして昼休み
ーー旧校舎1階多目的教室ーー
ガラガラ
扉を開けると、さも当然かのように彼女はいた。
「染井さん、来たよ」
「いらっしゃい透谷くん。さぁ座って」
僕は促されるまま染井さんがいるテーブルに向かい、向かい側に座った。
「今朝の話、どういうこと。あの水晶の街は何?あの変な力は?なんで皆、村峰さんのことを憶えてないの?いや、それより村峰さんに一体何が起きたの?」
僕は席に着くや、聞きたかったことを彼女に言った。
「だから落ち着いて、そんなに一気に聞かれても困るわ。物事にも順番があるんだから。・・・本当に何も知らないのね(ボソ)」
そういうと彼女は、順をおって話し始めた。
「まず最初に、昨日透谷くんがいた、あの水晶の街は一言で言ってしまうならフィールドよ。私たちプレイヤー専用の。」
「そう!それ!昨日の男も言ってたけど、一体なんのプレイヤーなんだよ!」
「1ヶ月前、差出人不明のメールが届いてるはずよ」
(1ヶ月前?・・・もしかしてあのメールか!)
「どうやら心当たりがあるみたいね。あれは文字通り神様が開催したゲームのプレイヤーに選ばれた人にメールよ。詳細を知らないみたいだから、そこから話しましょうか。」
「ルール
1.勝ち続けたプレイヤーは望みを叶えられる。敗者は世界から消える
2.プレイヤーはフィールドにいないと戦えない。フィールドに行くためには「開け扉、我を扉の向こう側へ」戻るためには「閉じろ扉、我を扉の前に」を唱えると行き来が可能になる。ただしフィールドに行ったら1時間経過しないと戻ることはできない。
3.プレイヤーはメールに添付されている色の画像からその色に意味を込めることにより異能を手にする」
「ちょっと待ってよ。じゃあ僕は戦わないといけないの?そんな・・・ということは世界から消えるって皆の記憶からってことで、村峰さんはプレイヤーで負けたから消えたってことだよね」
「そうよ。続けるわね。
ルール
4.プレイヤーのみプレイヤーが消えても憶えていられる
5.開催期間は一年間。終了と同時に1番勝ち続けた人がプレイヤーが望みを叶える権利を得られる
以上が基本的なルールよ。」
(僕は戦わないといけない?負けたら消える?茜を残して?どうして?どうしてこうなった?)
「そんなのいらない!僕は、ただなんでもない日常を過ごしたいだけなんだ!それなのにどうして僕がこんな目に!」
僕は、知らされた真実に絶望した。僕は戦いたくないのに!
「そう。透谷くんは日常が欲しいのね」
彼女は何かを確認するかのようにそう言った。
「えっ?」
「そんな透谷くんに1つ提案があるんだけど、どうかしら?」
続く
読んでいただきありがとうございます。宵城永遠です。今は登場キャラが少ないですが少しずつ増やして行く予定です。できれば完結するまで読んでくれた人には読んで欲しいです。あと、気軽に感想なり評価を、していただけるとうれしいです。今後の参考にします
さて次回予告です。
絶望する彩人に椿が提案したのは、ルールの中にある1つを使えば日常に戻れるということだった。それは過酷で成功するかわからないが彩人に取っての光になる。
次回
第4章ーー示された希望の光ーー
乞うご期待