表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

初心者エール チュートリアル編

『新規プレイヤーの方は、プレイヤー名を入力して下さい』

 説明と同時に、目の前にキーボードが表示された。

 プレイヤー名か。

 エ…ー…ル…決定

『プレイヤー名は エール でよろしいでしょうか?』

 先ほどまでのキーボードが消え、YESとNOのパネルが表示される。YESのパネルを指でタッチすると頭の上にエールと表示された。

『このゲームでは、プレイヤーが直接ゲームに参加するため、容姿、性別等の変更はできません。コマンドは、右手に装備したグローブのボタン操作で行います。このグローブは、ゲーム内で壊れる事はありません。また、グローブを外すこともできません。』

 今まで何も持っていなかったはずの右手に、いつの間にか黒いグローブが装備されていた。

『プレイヤー認証完了しました。これより街に転送します。よきアンビリオンライフを…』


ー剣の街 ベリストス-

気が付くと、俺は、見知らぬ街の噴水の前にいた。

服装はここに来る前のまま、Tシャツとジーンズ…それに、さっき装備された黒いグローブ…。

周りを見渡すと、みんな、よくあるファンタジーの世界のような服や鎧を身につけている。正直、この格好は、ここではかなり浮いている。

何をしていいのかわからず、周りをキョロキョロしていると、目の前に小さなドラゴンが現れた。

『ようこそ、アンビリオンへ。僕はスィ。この世界の案内役だよ。君たちは、この世界でしばらく暮らすことになるから、住むところが必要になるよね。案内するから、ついてきて。』

スィと名乗ったドラゴンの後についていき、大きな門をくぐると、6畳程度の広さの部屋に移動した。

『この世界では、一人に一つ、部屋が用意されているんだ。この部屋でも最低限のことはできるけど、見てのとおり狭いから、大きなところに住みたかったらお金を貯めて家を買ってね。じゃあ、そこのクローゼットを開いてみて』

スィに言われるままにクローゼットを開くと、この世界にマッチするような服と、鎧、盾、剣が一式揃えられていた。

「これ、使ってもいいの?」

『もちろん。装備は直接着てもいいし、グローブのコマンドから装備変更を選んでもいいよ。複雑な鎧とかだと、コマンドのほうが楽だから慣れておくといいかもね。』

言われたとおりにグローブを操作し、装備を行うと、瞬時に装備が変更され、今まで着ていたTシャツとジーンズがクローゼットに片づけられた。

しかし…重い…。さすが、RPGを実体験とうたっているだけあって、やはり自分の筋力とかは、リアルのままらしい。

『じゃあ、次は戦闘の訓練だね。街の外に出て、狩りをしてみよう。』

「この重い装備のまま、いきなり戦闘訓練?本気…?」

『訓練しないと、いつまでたってもそのままだよ。そのままだと、ゲームもクリアできないし、リアルにも戻れないけど、それでもいい?』

「わ…わかった。やるよ」

『じゃあ、レッツバトル~』


-コーラル平原-

『まずは、そこの鹿と戦ってみよう。剣を構えて、切りかかってみて。』

簡単に言ってくれる…。重い剣を鞘から抜き、適当に構えて切りかかってみた。

「えぇぇぇい」

振り下ろした剣が、鹿の体に命中したその時、鹿の体の周りに緑色のサークルが出現した。

『そのサークルは、自分が占有している敵っていう意味だよ。自分が占有している敵は、パーティを組んだ人や、仲間以外から攻撃されることはないから、安心して狩ってね。』

なるほど、横殴りは禁止ってことだな。よし…

もう一度剣を構えなおして、鹿に切りかかろうとしたが、それより前に鹿が角で突進してきた。

ガィン…何とか盾で防いだけど…

「いってぇ。痛みもリアルのままなのかよ。」

『そうじゃななきゃ、実体験なんて言えないからね。さ、早く構えないと次来るよ。』

慌てて剣を構えなおし、鹿にめがけて振り下ろす…命中。

切りかかった鹿が倒れて、緑色だったサークルが灰色に変わり、目の前に『剣のスキルアップ』と表示された。

『おめでとう。鹿を倒して剣のスキルがアップしたよ。今までより少し、剣が取り扱いやすくなったと思うけどどう?』

確かに、さっきまでより簡単に剣を取り扱えることができる。重さが軽くなった気もする。

『スキルが上がると、どんどん使いやすくなっていくから、頑張って練習してね。じゃあ、チュートリアルはこれで終了!また、聞きたいことがあったらグローブメニューから呼び出してね。はぶ あ ないす アンビリオン』

そう言うと、スィは静かに姿を消してしまった。

…あとは自分でいろいろ考えろ…ということか。

ひとまず、街に戻って食事にしよう。オンラインゲームらしく、ほかのプレイヤーとも交流したいなぁ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ