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003 ドキドキだよ

 んんー?


 ゴーレムの思考が表示されているモニターを見ると、計算方法を心配しているみたい。ちょっと適当すぎたからしら。でも、極大っていうくらいなんだから、1000倍してもおかしくないわよね。うん、問題なし。


 [効果:悟りしモノ:不安→解消]


 もう、またメインモニターに新しい情報が表示されちゃった。これじゃ、まだまだ働かなくちゃいけないじゃない。私はぶつぶつ文句を言いつつも、情報をキーボードで入力していく。どんな時でも私はちゃんと仕事をこなすの!


 まぁ、登録している定型文を入力して、その文章をちょっと変えるだけなので楽なんだけどね。


 {ログ:【悟りしモノ】の効果により、不安状態が解消しました}


 ん、どうやらゴーレムが、ログをオフにしたいって考えているわ。うーん、たしかねぇ、たしか、こういう時は何かあった気がする。


 えーっと、どこだったかしら。私はマニュアルをぺらぺらとめくり、Q&Aにロボットに選択肢を与える方法があるという項目を見つけた。やっぱり私の記憶に間違いはないわね。


 私はマニュアルをさっと読み込む。なるほどなるほど。この機能を上手く使えば、私は仕事をしないでよくなるかもしれないわ。


 ふふふ。


 えーっと、コクピット内で響いている音声はゴーレムに聞こえているのよね。システム音声じゃありがたみがないし、こう、すごい! ってびっくりするような名称にしておいた方がいいわね。


 {運命の選択:世界の声をオフにしますか? オフにした場合、2度と世界の声は届きません}


 うん、なかなかいいんじゃないかしら。世界の声なんて大層な感じがするじゃない。いかにもこの世界が関わってますって感じがする。実際はそんなたいした物じゃないんだけどね。


 そして、一番大事なのがオフにした場合の条件設定よ。2度と世界の声は届きませんとしておけば、情報の入力もしないでよくなるはず。だって、確定ボタンを押すと必ず音声が流れちゃうんだもの。


 ゴーレムは音声をオフにしたいみたいだから、これを機に入力をしないでいいようになるわね。私は働きたいんだけど、ゴーレムがどうしてもっていうなら仕方ないわ。これで私も眠れるよ。


 [確定]ボタンを押して、ゴーレムの反応を待つ。


 はぅ、ゴーレムが考えを変えちゃった。失敗した! 2度と届かないなんて書くんじゃなかったわ!


 でも、ゴーレムがお友達になってくださいだって。


 わー、どうしよう。

 ドキドキだよ。


 生まれて初めてだよ、お友達になってくださいなんて! お友達なんてどうしたらいいんだろ? どうすればお友達なのよ。えへへ、でも照れちゃうな。お友達か。うん、素敵じゃない!


 私とゴーレムはお友達なの!

 えへへ。


 あ、メインモニターに新しい情報が表示された。


 [確定:入力]

 [友好:オペレーター:+5]

 [固定:入力]

 [獲得:称号:声のトモダチ]

 [獲得:スキル:通訳]


 どうやら私との友好が5上がったみたい。うん、お友達だから、当然よね!


 友好か。ちょっと薄っぺらいわ。もう少し難しい単語を使って親睦度ってことにしておこう。ただ入力か非入力かを、今後ゴーレムに選択肢を提示することができなくなっちゃった。選択肢を与えた場合、こんなトラップがあるのね。今後はよく考えて選択肢を提示しないといけないわ。


 けっこう長い文章を入力しなくちゃ。がんばれ、私!


{結果:世界の声はオンの状態で固定されます。親睦度が5上がりました}


{ログ:世界の声の状態変更が不可能になりました}

{称号【声のトモダチ】を得ました}

{称号【声のトモダチ】を得たことにより、スキル【通訳】を得ました}


 うん。完璧! 誤字がないことを確認して、[確定]ボタンを押す。はー、ちょっと休みたいわね。でも、まだまだ私は休めないみたい。だって、また新しい情報がメインモニターに表示されたんだもの。


 [表示:ステータス]


 またステータスを表示させたわ。何をそんなに確認することがあるのかしら。


 {ログ:ステータスウィンドウを開きました}


 表示されたステータスを私も一緒に見てみる。うん、何度ステータスを見ても名前はちゃんと設定されているわね。名前がゴーレム、種族がメタルゴーレム。


 申し訳ないけど、何度見ても、ちょっとバカみたいって思っちゃうのよね。


 あとはスキルと称号が増えただけで、パラメータには変化がないみたい。強化って表示されていたのに、なんでなのかしら? 普通はパラメータの数値が増えるんじゃないのかな。


 あっ、ステータスが変わってないからゴーレムが落ち込んだわ。


 [効果:悟りしモノ:がっかり→解消]


 でも、称号の効果ですぐに立ち直れるみたい。このゴーレムは悩みのない生活を送れそうね。ゴーレムはラボ内にある本や研究資料を次々に手に取り、パラパラとページをめくっていく。でも、全然内容はわかってないみたい。


 あああ、ちゃんと片付けなさいよ! 適当に置かないで。ちゃんと分類分けして並べてるんだから!


 [効果:悟りしモノ:がっかり→解消]


 またがっかりしちゃった。勝手に期待して、勝手に落ち込んで、いい性格しているわ、ほんとに。


 あ、ラボ内からゴーレムが出るみたい。ちょっと緊張するわ。私もこのラボから一度も出たことがないのよね。このラボの外はどんな風になっているんだろう。


 ゴーレムが部屋から出て、魔法陣が刻まれた立方体に触れると、魔法陣が輝きだしたの。ちょっと、なにが起こっているの?


 メインモニターに情報が表示されてるわ。


 [感知:転移石:非登録者]

 [転移:転移石周囲10:転移先未定]


 えっ、転移ってどこかに飛ばされるって事? 私は疑問に思いつつも、キーボードで情報を入力していく。どんな時でも、私はきちんと仕事をこなすの。すごいでしょ!


 どんな世界が転移先には待っているのかな。そう考えると、ちょっとワクワクドキドキしてきたわ!


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