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となりの妹さん  作者: 天城春香
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よく知らない肉親について

1.

 僕と妹の関係は良好といえば良好、そうじゃないといえばそうじゃないと言える。


 さて、兄と妹の関係の良好さを測るグラフを作成するとして、どこからが「良好」と言えるのだろうか。一緒にお風呂に入ったら? 同じ布団で寝たら? ゲームで協力プレイをしたら? 同じテーブルでごはんを食べたら? 同じ家に住んでいたら?


 今挙げたどの段階で線引をすれば「良好な兄妹関係」ということになるのだろう。ちなみに僕は、一緒にお風呂に入ったり一緒の布団で寝るような兄妹はもう仲が良いとかじゃなくて頭がおかしいと思う。園児同士の兄妹だったらまだいいんだが、小学校中学年、妹が3年生を超えたあたりでそんなことをしているようだったら結構やばいんじゃないか。小学生にして既に済ませちゃってるんじゃないか。それも近親で。危ない。例え同意があっても自治体によっては犯罪になってしまう。


 僕がこの兄妹仲良しランクが書かれているグラフに自分の兄妹関係の良好さを記入しなければならなくなったとしたら、どこにも記入することができずに困惑してしまうことになる。なにしろどれも数年間やっていない。強いて印をつけるのであれば、グラフの一番下より下である。


 それって兄妹感系が険悪ってことなんじゃないのか、と思われるかもしれないが、そんなことはない。ぼくの妹は普通に会話する仲だ。喧嘩なんかほとんどしないし、した記憶もない。顔を合わせれば仲良しとまではいかないまでも知り合い程度の親密さの会話は交わす。その程度の仲だ。仲が良いとか悪いとかじゃなく、まだ関係を気づけてもいない程度の関係、ということになる。肉親じゃなければ、の話だが。でも相手は肉親たる妹だから、こうして無理にでも関係が良好であるかそうでないか、決定しなければならないんじゃないか、そう思ったので、僕と妹の関係は良好といえば良好、そうじゃないといえばそうじゃない、と言ったのだ。


 僕が大学に通うために実家を出てからはさらに関係の良好さを言い表しにくくなった。たまに実家に電話(親に対するお米とか送ってくれみたいな感じのやつ)した時に、出たのが妹だった場合には少し喋る。でもすぐに親に変わってもらう。会話の回数が激減したのだ。もはやいいとか悪いとかじゃなく、関係が消滅しかかっていると言い表してもいいくらいだ。


 そんな妹と久しぶりに顔を合わせる機会があった。僕が大学からアパートに帰ってきた、5月のある日のことだ。


 僕が住んでいる隣の部屋のドアが開きっぱなしになっていて、ドアの前の廊下には大量のダンボールが積まれていた。


 そしてダンボールをてきぱきと部屋の中に積み込んでいる引越し屋の人たちを腕を組んで見つめている妹の姿があった。


「あ、お兄ちゃん」


 妹が僕を見つけて声をかけてきた。妹の生声ってこんな感じだったっけ、と思いながら、僕は返答の代わりに質問した。


「一人で暮らすの?」


 このアパートは六畳一間のワンルームである。親と一緒に暮らすにはちょっと狭い。


「まあね」


 まだ十四歳なのに?

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