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Mission2 訓練と懲罰

「くっそ……又負けた……」

「ははは。いやぁ、本当に神崎さんは強いですねぇ」

「あ、ありがとうございます!」

「…………」

小川隊のメンバーに、新人二人が加わってから、一月半がすぎようとしていた。

訓練、デスクワーク、そしてスクランブル配備訓練に哨戒任務。配備されている部隊数が多いお陰もあってゆっくりと回るシフトに慣れ始めた頃だ。

この日のメンバーのスケジュールは訓練。午前は身体を動かし、昼食を終えてからの今のメニューはシュミレーターによる擬似戦闘訓練だった。

想定としては仮に初弾で相手を仕留める事が出来ず、格闘戦に突入した場合の想定で、一対一の戦闘だ。


既に太一と凪はこれまでの間で合計8回程この訓練で一対一をしていたが、まだ一度として太一は凪に勝てずにいた。別に太一が人一倍空戦が弱いとか、そう言う訳ではない。寧ろ逆、太一は同期の中でも空戦はかなり強かった。少なくとも訓練生時代に負けた記憶はない。教官にすら三回に一回程度の確率で勝てた程だ。だが……それ以上に、凪は異常な程に強かった。

そう、その強さはまさしく異常だ。普段弱気な彼女が、空戦となり機体越しになると完全に人が変わる。

戦闘機動の機体の動き、判断力、タイミング、攻撃の鋭さ、どれを取っても、彼女は自分と同じ程度しか訓練を積んでいないとは思えない程洗練され、極められていた。

調べてみると、まあそれもそのはず。訓練生時代から彼女の注目度は高かったようだ。

希代の天才、最強エースの卵、100年に一人の逸材。上げればキリがない程に、神崎 凪の注目度は高かった。

まさしく才能の塊。空に愛され、戦闘機に愛された、言わば空戦の申し子。実際に訓練をしてみるとよくわかる物だ。確かに彼女の才能はレベルが違う。訓練と言うのは強くなるため、実戦が無くとも戦いの勘を忘れないためにするものだが、彼女の場合はその速度がおかしい。

何しろ昨日より強いのだ。この少女は。普通の人間はアドバイスをされたら少しずつ悪い点を改善し、徐々に徐々に強くなって行くものだが、彼女の場合はそれを一日でやってくる。


他人が一成長する間に、この少女は十成長するのである。常識的に考えて、勝てる訳がない。


「っふぅ……」

「?どうしたの?」

「ん、いや、なーんでも」

「……?」

ため息を吐くと、凪が不思議そうに此方を向くので適当にはぐらかす。

相変わらず幼げな顔立ちだなと、太一は思った。まぁ実際子供なのだが……しかしこれだけの腕が有るなら、この年で軍隊こんなところに居るのも有る意味納得と言うものだ。今の日本軍では実力と才能は最も重要視される。日中戦争で海上自衛隊の将官クラスが数多く戦死したせいもあって、ここ数年はトップの方が若年化している海軍の方には、二十代や、その若さの女性で将官任命された人物もいるらしい。

いや、それは何も軍隊内だけに限らない。以前何かの学術誌で読んだが、確か今や世界一の学力を誇る東大には、11歳で主席卒業した化物少女が居たそうだ。名前は忘れたが……


『……才能、才能ね……』

別に自画自賛する訳ではないが、太一自身、決して軍隊内での成績は悪い方では無いと思っている。座学にしろ訓練にしろ、訓練機の操縦でも有る程度の成績は出してきたつもりだ。だがそれでは、一部の……例えるなら凪のような、「天才」と呼ばれる人種には敵わない。

彼等には出来ても、自分に出来ない事、それは確かに存在するのだから。


そんな事を思いながら、太一は名を呼ばれて小川大尉の前に並ぶ。配置は小川大尉の左隣少し前に西島中尉。それと向き合うように凪と太一だ。


「本日の訓練は以上とする。各自、来週の第三中隊との合同模擬戦闘訓練までに問題点や指摘点を纏め以後の訓練の参考とし、改善しろ。又日誌は何時も通りに出すように。最後に、明日は休暇とする。しっかり心身を休ませろ。」

「「「了解しました!」」」

返答にコクリと頷いて、小川は言った。


「解散」

「「ありがとうございました!」」


────


「休暇か……なにすっかな……」

シャワーを浴びてYシャツに着替えた太一は、更衣室前の自販機の脇に座って缶コーヒーを飲んでいた。ちなみにブラックを飲むと吐きそうな衝動に駆られるので、カフェオレである。


「……街にでも出るか?」

しかし出た所で何をした物か……特に私物で買い足さなければならない物は無いし、かと言って娯楽品もさして欲しい物がない。いっそ訓練の追加でもするか……それも良いが自分達が使わないと言う事は他の隊は使う可能性が有ると言う事だ。それを考えると肉体的な物くらいしか出来ないが……


「あーあ、なーんか此処んとこ覚える事多すぎて休み方忘れた感じだぁ……」

「……あの、何してるの?」

ボコッ、と頭を背もたれにぶつけながら天井を見ると、その視界に澄んだ蒼い瞳が割り込んだ。


「……神崎か」

「うん」

コクリと頷いた彼女の顔を少し見た後、太一は首を起こして壁を見る。


「いや……何をしてた。ってわけじゃないんだけどよ……明日の休暇、どうするかなーって考えてた……お前はどうすんの?」

「え!?え、えっと……か、考えてない」

「ふーん……さよか……」

「…………」

黙り込んだ凪を、太一は少しだけ眺める。

相棒。と言われても、今一この少女が未だ自分の相方であると言う実感は無い。

そりゃたしかに訓練は一緒だしデスクも隣だが、そんな物は同じ小隊に所属しているのだから当たり前で、別段相棒らしい、と言う訳でも無い。

勿論単純に二人で一人前扱いだと言うのならわかるのだが、はっきり言って凪はもう「一人で一人前」な気がする……


「……なぁ、」

「え?」

此処で休暇に一緒に出かける、何て選択肢も一部の人間には存在するのだろうが、残念ながら自分達二人の関係性は、そう言う物ともまた違う。


「……夕飯、一緒に食うか?」

「あ……う、うん」

とりあえず、食堂で飯を食って親睦を深める辺りから始めよう。話はそれからだ。


――――


食堂は相変わらず無駄に広く、しかし全体的に賑わっていた。元々此処、北海道第四航空基地は基地の規模が広く、ロシアとの国境線が近いせいもあって所属部隊数が地方基地としては圧倒的に多い。

その分食堂は広くなるし、どの部隊も夕飯時なこの時間は自然と居座る人数も増える。此処に座る人物達の中から、夜間哨戒に出るものや、夜のスクランブル待機をする者が出てくるわけだ。


「えーと……あっちだな」

「わわ、ま、待って」

空いている席を見つけて歩いてゆく太一に、凪は慌てたように続く。パイロットは基本的にたくさん食べなければならないため、ぼんが大きく、重く、小柄な凪には少々扱いづらいのだ。


「ったく……貸せ」

「あっ……」

とは言えこんなにも人の多いところでモタモタ歩かれては邪魔だし二人分の席など見つけた側から無くなってしまう。仕方無く、太一は凪から盆を取り上げると、汁物がこぼれないように器用に持ちながら歩き出した。


「あ、ありがとう……」

「どう致しまして」

苦笑しつつ返すと、目を付けていた席に向けて、二人は歩き出す。先に凪の分をテーブルに置いて、自らはその対面に座る。


「さてと……んじゃま……」

パチンと手を合わせると、凪もそれに続く。



「「いただきます」」

大事な大事な、食事の挨拶だ。


「…………」

「…………」

二人とも、取り敢えず無言で食事を食べる。連れ立ってきたのは良い物の、何しろこの二人、揃って男性経験0、女性経験0のゼロゼロコンビである。普通に話せば良いのだと他人は言うだろうがそもそもこの二人にとってみると普通の話というのがどういう話か分からない。と、そんなこんなで料理を次々口に運んでいると、周囲からひそひそと聞こえてくる声。


『……あの人』

『……神崎凪……』

『……天才……』

『……最強……』

『……の娘だって……』

『……エース……』

「…………」

黙りこくりながら、太一は箸を進めつつ、チラリと凪を見た。

一見無視して食べているように見えたが、初めより明らかに箸が進んでいない。気にしているのは明らかだ。

ちなみに、恐らく太一にかんする話題は一つもなし。いや、少しだけあった。


『……前の人……』

『……誰……』

『……彼氏?……』

『……もう?……』

「……ハハ」

相方の意味がちげーよ。と言う意味も込めて、乾いた笑いを漏らした太一に、凪がびくりと反応した。


「ど、どうしたの?」

「別に……“なんか色々聞こえるなぁ”なと思ってさ」

あえて少し聞こえやすいように言うと、周囲から凪や太一に関する話題が消えた。無論、今のは「聞こえてんだよ」と言う意味である。パイロットは視力が良くなくてはならないのは一般的だが、五感全体を使って周囲を探る以上視力以外の感覚……例えば聴力等もそれなりに鋭い。

パイロットの耳舐めんなと言う話である。


「……大人気だな」

「え、えっと……ごめん……」

「神崎が謝る事ねぇよ。別に怒ってる訳じゃねぇんだし」

太一が笑いながら言うのに対し、凪は無言で頷いて返す。

少しばかりうなだれて居るように見えた。


「みんな……私のこと買い被ってるんだよ……」

「…………」

不意に口を開いた凪に、太一は注目した。苦笑しながら、凪は普段からだが小さめな声で言う。


「私なんて、そんなに大したパイロットじゃないのに……私より凄い人なんて、沢山いるのにね」

「あはは……」と笑う凪に、太一は苦笑した。


「まあそう言うけど……実際、お前が強いってのも事実だと思うぜ?……俺よりどんどん強くなってるし……お前は間違い無く、エースパイロットの器だよ」

「ッ…………」

そう言った途端に、不意に凪が顔を伏せた。


「…………」

「……?」

そのまま何故か顔を上げない凪に、首を傾げた太一の前で、呟くように凪は言った。


「そっか……そう、だよね……」

「え……?」

聞き返した言葉に、凪は答えなかった。小さな音をたてて箸を置いた凪は静かに立ち上がる。


「神崎……?」

「え、えっと……ごめん、先に帰るね」

「あ?あ、あぁ……」

唐突な言葉にロクな言葉を返せず、太一は曖昧に頷く。凪は即座に踵を返すと、食堂の出口に向かって歩いて行った。


「……なんか、悪い事言ったか?俺」

呟くと、何故か周囲から「あ~あ」的な視線を感じて周囲を睨みつける。眼が有った者たちが即座に顔を伏せた。

しかしそんな事をしても何故凪が去ったのか分かる訳もなく、ふむん、と息を吐いて太一は箸を動かすのだった。


────


「…………」

自室のベットの上で、太一は天井とにらめっこをしていた。


『そっか……そう、だよね……』

あの時の、彼女の言葉を頭の中で反芻する。あの時俯いた髪の向こうに有る彼女の表情は、自分には見えなかった。だが少なくとも、声色は愉快な気持ちの人間が出す物ではなく、暗く、聞きようによっては少し悲しげにも聞こえる声だったようにも思う。


「……やっぱ、気に障るような事言ったか……」

自覚は無くとも、相手を傷つける言葉と言うのは有る物だ。他人の心の何処に怒りや悲しみのスイッチが有るかなど測れるほど太一は読心術に長けてはいない。


しかしもしそうなら、それは何と言うか……色々と悪い。

明日か明後日、顔を合わせた時にでも謝るか……そう思ったが、かと言って彼女を傷つけたのならその事で彼女を問い詰めるのはいかがな物かとも思える。


「……とりあえず、全ては明日にするか」

口に出して言ってみて、太一はベッドから起き上がると、頭を掻いた。


「あー、今日の訓練内容……」

太一は自分の事に関しては案外几帳面な人間である。何時も訓練の内容や問題点を洗い出した物をノートに書いて居て、其処から次の訓練で注意すべき点などを考えている。

まだ配属されたばかりの太一のような新米にとって、訓練は練習や授業と同一だ。ベテランのパイロットや上官から意見を聞き、そこから自分の問題点を見つけ出して潰す。全ては本当の命のやり取りで自分の命が取られる前に相手の命をとる為に。

さて、と言う訳で自分のYシャツの上ポケットを探って……太一は気が付いた。


「あ、忘れた」

ノートを、更衣室に忘れて来ていた。


────


「はぁ……なーんだかな……」

自分自身に呆れたように、太一は廊下を歩いて居た。首をコキコキと鳴らして、更衣室に入るとロッカーを開ける。


「あった……」

それは更衣室の上の金網棚にチョコンと置いてあった。手のひらサイズのノート、ちなみにこれは十代目だ。


「さ、帰るか……」

それを取って、再び廊下に出ると薄暗いその中をコツコツと歩き出す。と、不意に、機械音がした気がした。


「?」

何となく左を見ると、其処には二枚扉が有った。

扉の上に書かれた文字は、[飛行訓練シュミレーター室]。今日訓練で使った部屋だ。

首を傾げて、ドアボタンに手を掛ける。まさかな、と思いつつ押すと、リニア式の扉が音もなくスゥッ……と開いた。

奥には飛行訓練や戦闘機動訓練、模擬戦闘訓練などに使う、戦闘機のフライトシュミレーターが四台有るが……その内一台が、稼働中のランプを点灯させていた。


「…………」

深夜の基地内、遠く聞こえる機械音、誰も居ないにもかかわらず、稼働するシュミレーター、幽霊エースパイロット現る!等の三流のホラー映画のような謳い文句がこの時ばかりは一瞬本気で頭に浮かんだが、すぐにそれは無いと知れた。何故ならシュミレーターの中に乗っている人物の横顔が見えたからだ。

それも疑似酸素マスクを付けているその横顔には、見覚えがあった。


「……神崎?」


────


「……ふぅ……」

シュミレーションを終え、凪は疑似酸素マスクを外して一息溜息を吐いた。

先程までは少し心が乱れていたので、いつも通りにシュミレーションが出来るか心配だったが、幸いな事にシュミレーターが起動し、目の前のクリアモニターに機体の外の景色が表示されると、彼女は何時もの空の上の彼女に戻る事が出来た。

しかし今、シュミレーションが一通り終わり、酸素マスクを外すと、再びシュミレーションを始める前の暗い気持ちが戻って来る。


「はぁ……」

シュミレーターから降りたくないなぁ、等と一瞬考えてしまって、しかし今もうすでに一時間半もぶっ続けで訓練をしている事に計器の時計を見て気が付いたので、やむなく少し休憩する事にする。


『少し休んで……また再開しよう……』

そう思い、キャノピー(まぁ飛ばないが)を開けて外に出る。と……


「よぉ、神崎」

「!?」

行き成り声を掛けられて、降りた所に有るタラップから転げ落ちそうになるのを、何とか堪えた。


「か、片倉くん……!?ど、どうして……」

「別に、ちょっと忘れ物取りに来たついでに寄ったらお前居たからさ。あ、ほれっ」

「わっ」

投げてよこされたスポーツドリンクを、凪は慌てて受け取る。

同じドリンクを、目の前で太一が豪快に飲んでいるのを見ながら、凪はチビリと口を付けた。

と、それを口に含みつつ、考える事が一つ有る。先程自分は、彼の前から行き成り立ち去って居るのだ。事情はともかく、それはどう考えても失礼なことである。いつもの癖もあり、反射的に頭を下げようと体を曲げかけた……その時だった。


「あの、ごめ「なぁ、神崎」ん……え?」

下げかけた頭を上げながら、太一の顔を見る。と、彼は真剣な顔で自分の目を見て来ていた。余り男性とそう言った見つめ合い方をした事が無いので、理由もなく恥ずかしくなり、凪は赤面する。


「お前ってさ……何で、パイロットになったんだ?」


――――


「何で、パイロットになったんだ?」

シュミレーターから下りてきた凪に、太一はそんな事を聞いていた。

幾ら才能が有ると言っても、本人の意志無くして軍隊このみちに入ることは出来ない。故に、凪は何らかの理由が有って、此方側に来たに違いなかった。それを、知りたくなったのだ。

キャノピーの外からみた、凪の顔が、余りに真剣で、余りにも必死だったからである。

努力する才能は最強だと言うが、彼女がもしそれを持っているのならば何が、才能ある彼女を其処まで突き動かすのかを知りたかった。


「えぇ!?突然どうしたの?」

「いや、何となく知りたくなって。まだそう言うの聞いたこと無かったろ?」

「う、うん……」

コクリと頷いて、凪は少しだけ考えるような顔をする。まあ彼女の口から『答えたくない』と返答されたなら、その時は太一も大人しく引き下がるつもりだった。

何も無理矢理聞きたい訳ではないのだ。嫌ならば嫌だと言ってくれれば、太一はそれ以上詮索するつもりはない。とりあえずその旨を伝えようかと太一が口を開きかけた……その時だった。


「私の、お父さんがね……パイロットなんだ」

不意に、凪が口を開いた。


「私、お母さんが小さい頃死んじゃったから、ずっとお父さんが、私を育ててくれたの」

「…………」

少し懐かしむような顔で、凪は微笑みながら言った。


「私……ずっとお父さんが飛んでる姿が好きで、憧れてて……だから……」

「親父さんみたいになりたい?」

先行して言った太一に凪は少し驚いたような顔をした後、照れたように微笑んだ。


「うん……お父さんみたいに強い……ううん。お父さんよりも強い、世界中の、誰にも負けないパイロットになりたい!この空で、一番強いパイロットになりたいの」

目を輝かせて、凪は己の理想を語った。その瞳には、夢を追う少女の、何よりも純粋無垢な光があった。


「そうか……」

太一は、ようやく納得した。だから彼女は強いのだ……才能や、素質以上に、目指したい夢があって、彼女がそれに向かって一心に努力できる性分だからこそ、彼女はこの歳で、この短期間で、此処まで強くなる事が出来た。


彼女は、努力の天才でも有ったのだ。だが……そうだとしたら……


「……なぁ、神崎……じゃあ、次の質問にも、正直に答えてくれて良い」

「え?」

「俺がさっき言ったこと……その、お前、嫌だったか?」

「っ……」

少しだけ、言葉に詰まったような顔で、凪は顔を伏せた。しかし少しだけ黙り込んだ後……すぐに顔を上げる。


「……嫌だった……とは少し違うかも知れないけど……この人もなんだって思った」

「…………」

「みんな、私の事を、天才とか、エースって呼ぶけど……でも、私あんまりそう呼ばれるの、好きになれない……誉め言葉だって、分かってるけど……」

「そうか……わかった」

凪の言葉に、太一は小さく頷く。しかし凪のほうはと言うと、しまったと思った。先程の言葉は本心だが、同時に彼のことを真っ向から否定してしまう言葉だ。つまりそれは本心から彼を否定したと言う事……だが、凪は決して目の前の青年が嫌いな訳では無かったのだ。寧ろこれまで出会った同期の訓練生達より、ずっと好意的に思っている。

少なくとも、今の言葉でこれからが険悪になるのだけは嫌だった。せめてそれだけでも何とかしなければと、何時ものように反射的に謝ろうと口を開く……


「ご、ごめ……「悪かった!!」ッ……!?」

しかしまたも謝罪キャンセル。しかも飛んできたのは……相手からの謝罪だった。


「え、ど、どうして……」

「お前がそう言う言葉を好んでない事くらい、俺は察するべきだったんだ……どう聞いたって、嬉しそうじゃなかったお前に、俺はよく考えもしねーであんな事言った……すまん!」

頭を下げながら、太一は猛省していた。

神崎 凪は、疑いようもなく努力家だった。才能以上に努力が彼女の力を支えていたのだ。夢の為に、そのとても果てしない到達点に向けて、全力で努力していた。しかしそれを、自分は「天才」の一言で片づけたのである。

確かに、彼女が才能が有るのは確かだろう。努力の実を結ぶ人間と結ばない人間は居る。しかし、その才能以上に努力で己の実力を育んできた者にとって、努力した部分まで全て才能のお陰と片づけられるのは侮辱以外の何物でもない。


そして何よりもう一つ、太一は自分を赦せない事が有った。


「え、そ、そんな!気にしないで良いよ!私も気にして……なくはないけど……」

先程の自分の発言を思い出したからか、凪の言葉が途中で減衰した。その言葉に、太一は首を横に振る。


「いや……そうはいかん。何より、俺が言ったって事が問題なんだ」

「…………」

自分は、彼女を、エースと言った。

エースパイロットと言うのは、戦場を飛び回り、多くの敵を倒す戦闘機乗りの名手。一種の強者の称号のような物だが、実はその裏には、とても強い重圧を含んだ言葉でもある。


「エースなのだから、いざという時は助けてくれ」「エースなのだから、実戦になったらよろしく頼む」。

「エースだから、」「エースだから、」「エースだから、」。その理由で、人々は沢山の期待をその称号を持つ者に向け、その責任を求める。

勝手に期待して、期待に沿う活躍をしなければ勝手に失望する者も少なくない。

彼女への期待はまだ少ない方だが、いずれは確実にその期待が彼女へ向くだろう。しかし仮にそれが近い未来だとしても、自分がそれを彼女に言ってはならない。


『俺まで一緒になってどうすんだって話だろ……』

自分の上官たちは、自分を彼女の“相棒”だと言った。まだ実感は無いが……しかし相棒を名乗るのなら、せめて彼女とは対等の立ち位置で有るべきだ。ならば、自分は彼女に一方的に頼るような事をしてはならない。相棒とは、頼り、相手に頼られるような存在であるべきなのだから。

それを軽々しく相手をエース等と呼べば、それは「自分は貴女に頼るばかりなのでよろしく」とバカ正直に言っているのと同義である。

反省するべきだ。否、しなければならない。

だが……


「え、えっと……じゃあ、その、ゆ、許します!」

「は……?」

「謝ってもらったし、もう、これで仲直りにしよう!そ、それじゃダメ……かな?」

「…………」

何と言うか、許されてしまった。もしかしたら彼女、正面切って謝られる事に余り慣れていないのかもしれない。って、これは謝って押し切った事になってしまうのでは……


「それに、私別に怒ってたわけじゃないから……」

「…………そう、か」

「うん、寧ろ、ちょっと嬉しい」

「え?」

頬を掻くのをやめて、凪の顔を正面から見る。その顔は、微笑んでいた。


「私、片倉くんとは、良い仲間になれたら良いなって思ってたから、片倉君がそうやって私の事気遣ってくれるの、嬉しい」

「…………そうか」

それはとてもまっすぐで裏表の無い好意だった。余りそう言った物を向けられた事が無いため、太一はまた少し頬を掻く。


「わかった……えっと、ありがとうございます」

「はい」

何と言って良いのか分からない内に、いつの間にか礼を言っていた。

ふと時計を見ると、既に22時近い。この基地の寄宿舎に門限は無いが、余り遅くなっては本来の目的に差し支える。


「っと、んじゃ、俺はそろそろ戻るぞ……お前も早く寝ろよ。明日が休暇って言っても、あんま生活乱すとよくねえからな」

「うんっ。……おやすみ」

「おう、おやすみ」

そう言って、太一はシュミレーター室を出た。


「…………」

残された凪は人知れず、また小さく微笑む。


「良い人だなぁ……」

ああして、凪の事を考えてくれた人物は、実は軍隊このせかいに入ってからは少なかった。

皆、凪の事をエース、天才と言い、その強さに期待や羨望を向ける事はあっても、彼女……まだ15歳の少女に多大な重圧を掛けている事に気が付いてくれる人は、決して多く無かったのである。


手に持ったスポーツドリンクを見る。もう一口飲んだ。

振り向いて、シュミレーターを見る。


「……もう一回……」

今なら、さっきよりもいいスコアが出せそうな気がする。


────


「ふぁ……なんだよ……」

翌日、耳元で鳴り響く電話の音で太一は眼を覚ました。枕元で鳴り響く携帯端末をとり、画面を見る。


[小川大尉]


「おはようございます大尉!!申し訳ありませんただいま起床しました!」

[あぁ、別にかまわん。それより片倉准尉、神崎准尉の行方を知っているか]

「え?神崎、ですか?」

何故突然?と思い聞き返し、理由を聞いた途端に片倉は青ざめた。


[あぁ。“昨晩から寄宿舎に戻って居ない”]

「……っ、十五分時間を下さいすぐに掛け直します!!」

[分かった]

40秒後には太一は自室を飛び出して居た。


────


「っ!」

リニア式の扉が開く時間ももどかしく、太一はシュミレーター室の中に飛び込んだ。

見ると、手前のシュミレーターの前で、恐らくは整備に来た技術者だろう制服を着た人間たちが、困惑した表情で立ちつくしている。


「~~~~~~っ!すみません!」

「え?あ、あぁ、中に居る方のお知り合いですか?」

「はいっ!ちょっと待って下さい!」

駆け寄り、タラップを駆けのぼると疑似風防の中を覗き込む。その中に……


「すぅ……すぅ……」

「はぁぁぁぁぁ……」

気持ち良さそうに寝息を立てて可愛らしい顔で眠る神崎 凪が居た。若干“出ない”ではなく“出られない”と言う様な事も想定していた太一は安堵で大きく息を吐く。


「あ、あの、その人、大丈夫ですか?」

「え?あぁ、大丈夫です」

もう一度、中の少女に視線を戻した。


「ん……むにゃ……」

「飛行バカなだけなんで……」


────


「も、もも、申し訳ありませんでした!!」

がばぁっ!と凪はデスクの向こうの小川大尉に頭を下げた。その体ががくがくに震えている。


「……神崎准尉」

「は、はぃっ!!」

「俺は確かに、夜間のシュミレーター室の使用を許可した。が……“徹夜”での使用を許可した覚えは無いが?」

「そ、その通りですっ……」

既に低い小川大尉の声のトーンが、既に低いのにも関わらず徐々に低くなっていく。

凪の隣に居る太一まで、背筋が冷たくなって来た。


「しかも……規則を破ったどころか、整備兵達の作業を著しく遅らせたそうだな……?」

「は、はい…………」

もう凪は泣きそうである。


「規則を破る物は、罰則を受ける事になる……知って居るな?」

「も、勿論です……」

「……神崎准尉に、基地外周十周、及び、今後俺が許可を出すまでの間、夜間のシュミレーター室の使用禁止を命ずる」

「あっ…………」

凪が顔を上げる、「それだけは」と言った顔だが、小川大尉にそんな顔をしても通用しない事はこの数週間で凪も太一も思い知っていた。


「……復唱は」

「っ……か、神崎 凪准尉は……本日、基地外周を、十周し……」

「…………っ」

促され、凪が命令を復唱していく。しかし、その声に半ば泣き声が含まれているのに、太一は気が付いて居た。

今、新兵で有る自分達は余り空に上がらせてはもらえない。

誰よりも強くなりたいと言う夢を持ち、空が大好きな彼女にとっては、この命令以上に辛い命令は無いだろう事は、太一にも分かった。どうしてもそれが彼女にとって嫌だろうと言う事もだ。そう思うと、太一は、口を開いて居た。


「今後、小川大尉の許可が下りるまで……夜間に、シュミレーター室を……」

「(だぁぁぁ!!どうにでもなれ!!)小川大尉!意見具申の許可を願います!!」

凪の復唱を遮るように、太一は怒鳴った。明らかな規則違反だが、此処は賭けるしかない。


「…………」

「……片倉、くん?」

「……言ってみろ」

「はいっ!小川大尉は以前、自分と神崎准尉二名を一名として扱うとおっしゃいました。又、今回の神崎准尉の失態は、シュミレーターを夜22時近くに使用していたにもかかわらず神崎准尉の寄宿舎への帰投を確認しなかった自分にも責任が有ると考えます、よって!」

其処で大きく息を吸って、太一ははっきり言う。


「神崎准尉に対する厳罰を、自分と神崎准尉で二分していただきたく存じます!!」

「…………」

「え、えっ!?そ、そんな、何言って!?」

「黙ってろ今大尉と話してる!」

「っ……」

何か言いかけた凪を自分の事棚に上げて黙らせて太一は小川大尉と正面から向きあう。

はっきり言おう、この要求は無茶苦茶だ。こじつけであり、屁理屈であり、詭弁その物だ。しかし彼女の相棒を名乗るなら、今後彼女のどんな失態にも自分は付き合わなければならないし、彼女が戦場で死に欠けるような眼に会うならば恐らく自分も其処に居るだろう。

自分の役目はそれを何とか通し、彼女が少しでも自分の力を発揮出来るようにする事だ。

そう思った。今決めた。


ちなみに敢えて言っておく。今太一は全力で怖がっている。脚ががくがくだ。崩れ落ちないのが自分でも不思議なくらいに。

けれど立っている。通じるか通じないかなど知った事では無い。彼女の今までやって来て、これからも彼女がやりたいと願っている努力を続けさせる為に、太一は今此処に立っている。


やがて重々しく、小川大尉が口を開いた。


「神崎准尉、片倉准尉、両名に命ずる」

「っ」

「は、はいっ!」

緊張した面持ちで、二人は大尉と向き合った。


「……両名は本日基地外周を五周せよ、また、今後神崎准尉片倉准尉のどちらかが夜間のシュミレーター室の使用を行う際、必ず、両名が揃って使用しない限り、シュミレーター室の使用は認めない物とする。復唱せよ」

「っ……!」

「は、はいっ!」

大きく息を吸って、二人は復唱を行った。


────


「ね、ねぇ……」

「ん?」

基地の外側に出る為に外を歩きながら、凪は太一に聞いた。


「あの……あ、ありがとう、庇ってくれて……」

「別に?庇ったわけじゃねーよ。庇うつもりもなかったし」

「えっ?」

太一の言葉に、凪は首を傾げる。


「じゃあ、どうして……」

「俺はお前の相棒らしいからな……少なくとも、お前の相棒やる限り、色々お前は面倒がかかりそうだし、今から慣れておこうと思っただけだ」

「そ、それって……」

ガクリ、と凪の体が沈んだ。落ち込み気味の彼女に、太一は苦笑しながらもう一言。


「それと……これから先、お前には空でも振り回されそうだからな」

「えっ?」

「お前みたいなやつの機動に付いてくんだ。体力も、精神も鍛えなきゃ話にならないだろ?空でまでドジ踏まれたら最悪だし、お前を一人で飛ばせるわけにはいかねーよ」

「…………」

それは暗に「お前は一人で飛ぶ訳じゃない」と、自分の背中を押してくれているようにも聞こえた。

そして同時に、これからしばらくの間は、自分の隣で飛んでくれる人が居る事を改めて確認出来るようで、とても胸が温かくなる。


「……うん!ありがとう!」

「おうおう、手間かかるって言われてありがとうはねーだろ?」

「えっ!?あ、そっか……」

その日から二人は、共に自主訓練をしなければならなくなったのである。まぁ本人たちに、嫌がる気持ちは一切なかったが。


いかがでしたでしょうか?


元々がラノベ二次の書き手なので、展開がラノベっぽくなってしまうのは本当に申し訳ありません……

次回以降もこんな展開になってしまいそうなのですが……お付き合いいただければ幸いです。



……ワ-二ング!……

ここから先は、鳩麦がほかの艦魂作者さんのように少しちゃめっけのある事がしたかったために書いた、いわばおふざけです。

そう言ったものがダメだという方。安全のため、スクロールを即時停止。退却されるようよろしくお願いいたします。


では……真アトガキ、始まり始まり~


鳩麦「どうもです!鳩麦です!さて、それではお届けしました第二話。テーマとしては、太一と凪の距離を接近させるための一話でした。まぁ見れば分かりますよねw」


鳩「さて、せっかくこの体系(台本調)なのに一人と言うのは流石にさびしいので、今回からは彼にも来ていただこうと思います。太一君、おいでおいで~」


太「犬でも呼ぶみてぇに呼ぶなっつの」


鳩「はっはっはっ。僕は作者だから君は部下のようなものだ」


太「あぁ。断じて認めねぇけどな」


鳩「だろうね。さて……それでは学校時代から女性関係に全く触れなかった君に突然女性運が回ってきた件について話を聞こうか」


太「ノーコメント」


鳩「おい……」


太「ほら、そういや今回も短編出すんだろ。さっさとしろ。ほいっと」


鳩「あ、ちょっ……!」



After:その後の二人。


「はぁ……はぁ……はぁ……」

「ぜー、ぜー、ぜー、」

柔らかく太陽の照りつける麗らかな陽気の中を、二人は走っていた。

勿論、小川大尉に命じられた罰則、基地外周五周をこなす為である。


基地の周りを走れとか、グラウンドを走れ、と言った罰則は、2040年現在でも、割とポピュラーな罰則の一つである。勿論、軍隊式腕立て伏せ三桁、等の肉体訓練も生き残っては居るが、それは主に陸軍が多い。

筋力よりも、継続的な体力を求められる事の多い空軍では、体力作りにもなる長距離走マラソンの方が一般的かもしれない。

なの……だが……


『っざけんなマジで死ねるぞおいコラァ……!』

声の出ない喉に変わって、太一は内心で全力で悪態を吐いた。


そうなのだ。よーく思い出して欲しい。具体的には、一話目の2580文字目辺りからを思い出して欲しい。


この日本空軍北海道第四航空基地、「日本で二番目に広い航空基地」なのだ。

行ったように基地内にはただでさえ広い滑走路だけでは無く、海軍の補給基地まであるのである。

無論海に面しており尚且つ海軍の管轄下である其処を通る事は出来ない為、小川大尉がその他通れない部分等を抜いたルートを出してくれたのだが、その全長たるや実に一周19.8キロ。太一たちがするのは五周である為、総合計は何とピッタリ99キロと言う、殺意むき出しの距離になっている。


走っている途中、どうやら小川に依頼されたらしい西島が特製のスペシャルドリンク等を出してくれて、水分補給程度は出来たが、補給後すぐに真横をジープで(超笑顔)で通り過ぎていく西島には太一の方が殺意を覚えた。


『つーかこれ、大尉の奴神崎に最初十周って……!此奴の事殺す気だったんじゃなかろうな……!』

「か……はぁ……はぁ……片倉……くん……」

「あぁ……!?」

後ろから聞こえた弱弱しい声に、声だけで返す。凪の声だった。


「はぁ……ごめん……わたし……もう、……はぁ……だめ、かも……はぁ……」

「ちょ……てめ……諦めてんじゃ……ぜぇ……ねぇぞ……!」

余りにも瀕死状態一歩手前に迫った声に、軽くぎょっとしながら太一は返す。

基地の正面入り口で、走り出す際にまるで特攻隊を見送るかのように帽子を振って涙ながらに自分たちを見送った歩哨の姿が目に浮かんだ。


「あぁ……お母さん……ひさし、ぶりだね……私……ずっと……会いたく、て……」

「おいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!?ぜぇ……おまえ……そっち……行くな……戻って……ぜぇ……こぉぉい……!!」

「うん……やっぱり……私には……お父さん……超えられ……無いや……」

「今する……話じゃ……ねぇだろぉぉぉ……!!」

彼等の走り込みが終ったのは、それからさらに二時間後の事である。



太一「ってこれかよ!!」


鳩「構うまい?


太「つーかお前、神崎のシリアス設定ギャグに使いやがって草薙先生に殺されても師等ねぇぞ?」


鳩「うぐっ……す、すみません草薙先生……けど、皆気になるとおもったんだよ!」


太「ならねぇよ!大体お前これマジで死にかけたんだぞ!?遊びじゃねぇかんな?」


鳩「まぁ僕なら死ねる自身あるね。脚色なしで」


太「ならなんでやらせた……」


鳩「小川さんに文句は言ってくれ。言えるならね」


太「無理だ」


鳩「うん。知ってる」


太「作者ぁ……お前さっきからかってるか?」


鳩「半分はね。なぜなら君は別に怖くないからだ」


太「何?」


鳩「君は艦魂じゃないからね!他の草薙先生のように艦砲や荷電粒子砲で僕が吹き飛ばされる事は無いのだよ!」


太「成程。言い分は分かった」


鳩「ま、こればっかりはパイロットと言う戦闘能力を持たない人物を主人公に選んだ僕の勝利だよねー!なんてったって兵器じゃな(タァンッ!)[Head shot!!](ドサッ」


太「ただし軍人の端くれが拳銃も持ってないと思った勘違いを除いてな。(カシャッ←リロード音)あ、ご意見ご感想よろしくっす」


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