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外伝22,白結晶騎士団観察日記

 本編に出てこないような設定がバンバン出てきます。

 むしろこれ本編にもきちんと書いた方がよかったんじゃないのか? って思う人が出てくるような内容ですが、書きません。

 スカーレットがちょっと壊れ気味ですが、無害です。







 白結晶騎士団観察日記 1回目


 私、スカーレットは今日からリリアンヌ様の騎士団である白結晶騎士団を観察して日記をつけようと思います。

 なぜかって?

 非常に簡単です。

 次回作は騎士団っぽいの出してみようと思うからです。


 なので身近にいる彼らには存分に私の為にネタとなっていただきたいのです。でも内緒です。

 真の目的は密かに胸のうちに仕舞い込み、建前上の理由は客分としての特権を使っての視察です。


 とはいっても所詮客分。

 ほとんどメイドと代わりないわたしが出来る視察には限度がありますのでエリアーナお嬢様を唆し……助言を与えて同行したりして観察してみることにしました。

 エリアーナお嬢様に軽く、リリアンヌ様に何かあっては遅いのですから先に確認するのです。えぇ1度や2度では気づかない事もありますので何度も行くべきです。リリアンヌ様のためなのですから。

 と、助言を与えたら楽勝でした。ベリーイージーです。


 こうして非常にちょろ……素直でリリアンヌ様思いのお嬢様と共に何度も白結晶騎士団の訓練を視察しました。



 実は私、リリアンヌ様の魔眼をずっと前から気づいていたわけですが、どうやら私には魔眼を見抜く才能でもあったようです。

 でも魔眼の効果まではわからないし、確実でもないのでチートではないのでしょう。



 最初に気づいたのは副団長を務めるハッセルフォッシュ殿の右目の違和感でした。

 リリアンヌ様から感じていた強烈なナニカよりはずいぶんと柔らかくか弱いものでしたが、とてもよく似ていることはわかりました。

 アレは魔眼では? そう思ってしまってからは彼の行動を穴が空くほど凝視していました。

 彼の右目から感じるナニカが少し強くなると彼の動きは格段によくなっています。強化系でしょうか。

 きっとコップの水の量を増やせるんでしょう。


 ですがすぐに違うという確信を得られました。

 彼の肉体が強化されたのではなく、彼の動きにまったく無駄がなくなったという結論に至りました。

 これは見切りに似ています。

 いや実際に見切っているのでしょう。

 彼の持っている魔眼は見切りに必要な直観力か動体視力関連でしょうか。

 なかなかいい魔眼ですね。私も欲しいです。エリアーナお嬢様のスカートをめくって中身を目に焼き付けるのに非常に有用そうです。


 確かクリストフ家の書物庫に魔眼関連の資料があったはずです。

 今度読んでおきましょう。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 白結晶騎士団観察日記 4回目


 前回目をつけた女性の騎士――ステファニー・ブラウンはどうやら敏捷強化の魔眼のようです。

 魔眼といっても種類は目を中心とした物ばかりではなく、身体能力の向上や果ては特定の魔術に秀でるような類まで様々です。

 そこまで行くと魔眼の括りではない様な気がしますが、この世界では魔眼の一種なので気にしてはいけません。


 初回と2回目も彼女の行動は少しだけですが見ていましたが、敏捷強化の魔眼を使っていたことはありませんでした。

 やはり魔眼全集に記載されていた、魔眼は奥の手というフレーズは本当なのでしょう。


 何しろ魔眼の力は奥の手に十分値するものです。

 実際にステファニーが敏捷強化の魔眼を使った時の動きは私の動きに追いつけるのではないかと思うほどの向上っぷりです。

 普段の彼女とは雲泥の差といってもいいでしょう。


 実際にこれほどの差が出るほどの動きをしていれば突っ込まれそうなものですが、ここは前世とは違います。

 アンネーラ様のように超人の肉体を軽く凌駕できるほど強化できる人間も存在するのですから特に問題はありません。

 私もかなり使える方ですし。


 ですので注目すべき点はやはり彼女の魔眼。

 もしあの魔眼を私が使えたら……エリアーナお嬢様のスカートをめくらずに中身をおがめるじゃないですか。

 しかも気づかれないで!



 あの目をなんとか移植できないですかねぇ……。あ、もちろん内緒です。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆








 白結晶騎士団観察日記 12回目


 ステファニーの伸びがすごいですね。

 白結晶騎士団内個人戦ランキングで下から数えた方が早かった彼女がいまや上位です。

 あ、ランキングはローランド様公認です。内緒じゃないですよ。


 ですが、最近の私の注目株はやはり彼――アシュトンです。

 ちなみに彼には姓はありません。所謂平民出身というやつです。クリストフ家のしかもリリアンヌ様の騎士団に入団出来たという事は相当な出世だと思います。

 彼は入団当初から個人戦ランキングで上位に食い込むほどの強さを持っていましたが、今は集団戦でこそ真価を発揮しています。


 私が注目しているので当然ですが、彼も魔眼を持っています。

 騎士団に3人も魔眼持ちがいるとかどうなってるんですかね、この騎士団。

 普通は魔眼持ちを探すだけでも一苦労するというのに。


 まぁそんなことはさておき。

 アシュトンの魔眼は彼の周囲数メートルにいる彼が味方と認識している個人の能力の底上げでしょうか。

 味方を識別する、という認識が機能していないならば騎士団全員に効果が及んでしまっているでしょうからおそらく間違っていないはず。

 同じ騎士団の仲間内で集団戦の模擬戦を行っている時でも能力の底上げが適応されているメンバーはきちんと彼の側のメンバーだけですので。


 この能力の底上げというのが結構曲者ですね。

 ステファニーのような特定の能力を向上させるのではなく、ほぼ全ての行動を強化しています。しかも個人ではなく集団で、です。

 ですがやはりステファニーの敏捷の魔眼のような強化具合は出ないですね。

 全体を満遍なく強化している分強化具合が少ないようです。

 ですが集団戦になれば強化が少なくても全員が通常より強化されるのですからかなりのものです。



 そんなアシュトンの魔眼は周りに影響を与えるわけですから、魔術でもなく魔道具でもなく他人を強化できる術を持つというのは当然ながら注目されるわけです。

 アシュトンも奥の手にしたいのでしょうが、自身の魔眼の効率を考えれば開示してしまった方が良いので話したようです。



 しかしアシュトンの魔眼は私には必要ありませんね。

 こんなもの使ってしまったら確実にエリアーナ様が強化されてしまいます。お嬢様は私の味方ですので。

 ですので、スカートめくりが防がれるではないですか。まったくもって嘆かわしい。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆








 白結晶騎士団観察日記 17回目



 白結晶騎士団には3人も魔眼の所持者がいたと思っていたのですが間違いでした。

 結果的に魔眼持ちは8人もいました。


 アシュトンが自身の魔眼を開示した結果、それに同調した騎士達が次々に名乗り出て自身の魔眼についても話したようです。

 1人だけ奥の手を話させるわけにはいかないという連帯感でしょうか。一蓮托生的な? 友情ですね。熱いモノがあります。


 魔眼識別力にかけては誇りのようなものがありましたが、正直がっかりですね。誇りではなく埃だったようです。


 さてその8人の中でも特に期待された魔眼持ちがいました。

 なんとあの有名な千里眼です。

 遠方のものを見れるというあの覗き魔狂乱の逸品ですよ。遠方じゃないと見れないので私には必要ありませんね。あ、でも屋敷の端っこ辺りから使えば見れるんじゃないですかね、もしかして。



 ありかもしれませんね、千里眼。ちょっとその魔眼ください。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 白結晶騎士団観察日記 23回目



 増えました。

 なんでしょう。この騎士団は魔眼持ちで埋まるんでしょうか?

 というか魔眼が後天的に開眼する確率というのは本当に少ないんですよ?

 なのに騎士団の8割が魔眼持ち。しかも後天的開眼者が100%です。



 おかしすぎます。さすがにこれはおかしすぎる。

 ですが事実として白結晶騎士団の8割の団員が魔眼を開眼しているのです。

 事実は小説より奇なり、というやつですね。2本足で立ち上がるよりよっぽど王道ファンタジー的展開ですよ。

 これから最強の騎士団が魔王とか倒しちゃうんですよきっと。


 あ、でもそれじゃ普通すぎるから捻って……。




 おっと、これは観察日記でした。最強の騎士団が魔王を倒そうとして魔王が騎士団に入っちゃう物語はまた別の機会に。

 ちなみに次の討伐対象は勇者だそうです。



 白結晶騎士団というのはリリアンヌ様のための騎士団です。

 選別に選別を重ねた猛者だけが所属できる騎士団ではありますが、だからといって魔眼が開眼する理由にはなりません。

 魔眼というものは強ければ開眼するものではないのです。

 開眼する確率も天文学的数値の上に完全にランダムで法則性というものは見つかっていないそうです。

 ただ、先天的なものと後天的なものがあるということだけがわかっているのと魔眼の種類程度でしょうか。



 ですが思い当たる点があります。

 白結晶騎士団はリリアンヌ様の騎士団。

 彼らが魔眼を開眼させたのは白結晶騎士団に所属してから。



 リリアンヌ様も魔眼持ち。

 しかも類を見ない魔眼であり、その詳細は魔力を持つモノを見れるということだけしかわかっていない。



 もし……リリアンヌ様の魔眼が……他者に魔眼を強制的に開眼させるような代物なら……。







 ちょっと透視系の魔眼開眼してくれないですかねぇ!




 というのは冗談で。

 いえ、開眼させてもらえるなら是非とも欲しいですけど。

 でも大丈夫。私のスカートめくりの腕は達人級ですからね。このために体を鍛えたといっても過言ではありません。えぇ、あの地獄を生きぬいたのはこのためですとも!







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆








 白結晶騎士団観察日記 X回目



 ついに騎士団員全員が魔眼持ちになりました。

 あ、全員じゃありませんでした。

 団長であるローランド様とテオドール坊ちゃまとエリスティーナお嬢様のお3人様は開眼しておりません。


 恐らく騎士団員という認識ではなく、家族という認識の方が遥かに強いためだと思います。


 リリアンヌ様はもしかして無意識のうちに魔眼の強制開眼を行っているのでしょうか。

 もし任意に選択できているのならばローランド様や専属の皆さんにも開眼させていると思うのですがその様子はありません。





 あぁ……私の透視が遠のいたように思います。

 リリアンヌ様……早く任意に開眼出来るようになってください。





 今日で白結晶騎士団観察日記は終わりです。

 十分ネタは収集できました。

 白結晶騎士団観察日記というよりは魔眼観察日記のような気がしますが気にしたら負けです。

 タイトルなんて二の次なのですよ。



 さて次回作は魔眼が2本足で……あ、これはキケンなカヲリが……。





安定のスカーレットでした。

結局どうして魔眼が開眼してしまうのかはわかっていません。

リリーも意識して魔眼を開眼させているわけではありません。

でも何かが関係しているのでしょうね!


気に入っていただけたら評価をして頂けると嬉しいです。

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