第九十六話
大和型の主砲は五六センチ砲から五一センチ砲に変更します。
―――十二月五日、クリッパートン島―――
『クリッパートン島』
東太平洋のレビヤヒヘド諸島の南付近のフランス領の島である。
日本海軍は伊号潜の偵察によって無人島であることが確認され、クリッパートン島にパナマ攻撃の中継基地にしていたのだ。
桟橋が作られ、環礁内には防空として零式水戦五四型(零戦五四型の水戦型)二七機が配備されていた。
クリッパートン島には伊号潜の巡潜の伊七、伊八、甲型の伊九、伊一〇、乙型の伊二一、伊三〇が駐留していた。
今は伊七、伊一〇、伊一三はパナマ方面に通商破壊作戦をしていた。
「はぁ〜いい天気ねぇ〜」
艦魂の伊八は、砂浜で己の身体を焼いていた。
「………………暑い………」
伊八から少し放れたところに傘をパラソル代わりにして海を眺めている伊九がいた。
「イク姉さんは泳がないの〜?」
そして環礁内を遠泳している伊二一が伊九に声をかける。
「……………泳ぐ………」
伊九は艦魂の力で水着に着替えて、環礁内に入る。
ちなみに水着はスク水である。
伊九はあっという間に泳いでいた伊二一を追い抜いた。
「ちょ、イク姉さん速いよぉ〜」
「………私はスレンダーな体型だから………」
伊九は立ち泳ぎをしながら自分の胸を見る。
流石に絶壁ではないが、貧に近い形であろう。
え?何が貧に近いだって?
………察しろ………。
「大丈夫。だって私には代わりがいるもの」
そんな某ネタを言うな。
「イク〜、ニイ〜。そろそろ上がるわよ〜」
日焼けをしていた伊八は伊九と伊二一に告げる。
「………はい……」
「了解だよイハ姉さん」
二人はイハのところまで泳ぐ。
「そろそろイナ姉(伊七)達が帰ってくるから艦内に戻って出撃準備よ」
充分に身体を焼いた伊八は二人に言う。
「ふわぁ〜イハ姉さんはボンキュッボンだねッ!!」
伊二一は伊八の身体を見ながら言う。
伊八は女性特徴の大きい胸をプニュと触る。
「肩が重くなるだけよ」
「………此れが巡潜と甲型の差なのか………」
『いや違うからby作者』
そして伊八達は伊七達と入れ代わるように出撃をしていった。
ちなみに、クリッパートン島への輸送は潜補が行っていた。
潜補は史実のように飛行艇による泊地攻撃のための潜水艦ではなく、潜水輸送艦として建造されていた。(史実を踏襲する意味で潜水補給艦=潜補としている)
武装は史実と同じだが、輸送にも魚雷を搭載している。
爆弾を運ばないので、魚雷は四十本搭載している。
潜補は二隻が竣工していて二隻ともクリッパートン島への輸送任務に従事しているのである。
勿論、敵に見つかれば施設を破壊して撤収する予定である。
今のところは米軍には見つかっていない。
米機動部隊は西海岸で訓練中(ただし三隻はオアフ島に回航されている)であり、パナマから来る艦艇は大陸側を航行しているので見つかっていないのだ。
だが、パナマ方面での通商破壊が続けばアメリカもクリッパートン島に気付くであろう。
「ま、向こうに見つかるまで派手に暴れてやろうじゃないの」
潜航した伊八の艦内にで伊八はそう呟いた。
そしてオアフ島では新型空母群の到着に歓喜に包まれていた。
―――オアフ島、パールハーバー基地―――
「………凄い声援ね」
新型空母エセックスの艦橋にいた艦魂のエセックスは、パールハーバーに停泊していた艦艇から歓迎をしてもらっていた。
パールハーバーには護衛空母は停泊していたが、久しぶりに見る正規空母に乗組員達もアメリカの底力を見て喜んでいたのだ。
『アメリカが本気になれば、ジャップやナチスのドイツなど恐くない』
乗組員達は口々にそう言い合ったのであった。
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