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反逆の大東亜  作者: 零戦
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第九十三話







―――十一月二十日ベルリン、総統官邸―――


「東部戦線の状況はどうなっているかね?」


「は、スターリンはウラル山脈の要塞に立て込もっております」


「それは一ヶ月前から知っておるッ!!マンシュタインの南方軍集団は何をしておるのだッ!!」


「マンシュタイン元帥は前回のモスクワ戦を教訓としまして全部隊に冬服の装備をしてゆっくりとウラル山脈に前進しております。これはゲリラ対策です」


「………それなら仕方ない………か」


 ヒトラーは以前よりかは柔軟な姿勢を取っていた。


 これは部下達にはウケていたが。


「総統ッ!!朗報が入りましたッ!!」


 その時、総統室に部下が慌ただしく入ってきた。


「何事かね、騒々しいぞッ!!」


「は、申し訳ありませんッ!!」


 ヒトラーの激怒に部下は恐縮する。


「それで何が朗報かね?」


「は、北方、中央軍集団がモスクワを陥落、占領しましたッ!!」


「ほぅ、早いな」


 ヒトラーは思わず驚いた。


 ヒトラーはモスクワを占領する気はなかったが、スターリンがモスクワを放棄して以降、モスクワ守備隊の士気は大幅に低下していたのでヒトラーはもう一度モスクワ攻略を承諾したのだ。


 ちなみに承諾したのは二日前の事である。


 北方、中央軍集団に包囲されたモスクワは僅か二時間の速さで白旗を掲げた。


「治安維持を徹底的にするのだッ!!市民が我々に味方すればゲリラ戦で有利になる」


 占領したフランスのパリでは相変わらずレジスタンスによるゲリラ活動があった。


 ヒトラーはそれを利用したのだ。


 後に、モスクワや各占領都市の治安は向上するのであった。






―――イタリア、ローマ―――


「海軍の再建計画はどうなっているかね?」


 イタリアの統領ドゥーチェことベニート・ムッソリーニは海軍長官として就任したアンジェロ・イアキーノ大将に聞いた。


「は、日本の大使館にいる海軍武官から戦艦、巡洋艦、駆逐艦の性能データを受け取って、戦艦以下の艦艇は航続距離を伸ばすために改装しております」


 ムッソリーニの質問にイアキーノ長官はそう答えた。


 北アフリカ戦が終結してからイタリアは陸軍と空軍をソ連の東部戦線に送る中、海軍の再建をしていた。


 イタリア海軍はタラント港空襲やマタパン岬沖海戦等で敗退をしており、まさに良いところはなかった。


 それを聞いたムッソリーニは海軍の再建計画を思案してイアキーノ中将を大将に昇進させて海軍長官に大抜擢をした。


 イアキーノ長官は日本軍の海軍武官と交流をして日本海軍の艦艇データを入手した。


 別にスパイではなく、単に日本海軍がアメリカ海軍を撃ち破っていたので接触したのである。


 三笠もイタリア海軍をイギリス海軍並にとは言わないが、対抗出来るならとデータ公開をしても良いのではを?と賛成した。


 イタリア海軍は地中海を縄張りとせずに、イギリス海軍と対決出来るように外洋型海軍を目指した。


 その始めとして空母アキラの完成だった。


 海軍は総力を結集して空母アキラを完成させたのである。


 かなりの突貫工事だったため、竣工後も改装と称して手抜きな部分を工事していたりする。


 搭載機数は戦闘機、艦爆、艦攻は共に十八機ずつである。


 艦爆と艦攻は日本から輸入した九九式艦爆と九七式艦攻を使用していて、戦闘機はMC206Zゼロである。


 更にイタリア海軍は空母部隊を増やすために、空母赤城の図面を流用してミラノ級大型空母三隻と小型空母コルス級六隻が建造中であった。


「うむ。ドイツの海軍はUボートしか頼りにならない。我々イタリアがドイツを支えるのだッ!!」


「分かりましたッ!!」


 ムッソリーニの言葉にイアキーノ長官は敬礼をして部屋を出た。


「………ちょび髭伍長に手柄を持っていってたまるか」


 誰もいなくなった部屋でムッソリーニはそう呟いた。


 イタリア海軍が外洋型海軍になるのはまだ先の話だった。









御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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