第九十二話
―――チタ郊外―――
チタ周辺に日本軍の工作隊が構築したトーチカの砲台や機関銃座、戦車豪などが見受けられている。
そして、チタの北西部からソ連軍がいた。
チタには約五十万の部隊が集結している。
対してソ連軍は約八十万で主力は歩兵である。
『ウラーーーッ!!』
ズドオォォォンッ!!
ズドオォォォンッ!!
ソ連軍が総攻撃を開始して、122ミリ榴弾砲M-30、152ミリ榴弾砲ML-20等の重砲が一斉に砲撃を開始する。
「敵ソ連軍が総攻撃を仕掛けてきますッ!!」
「重砲隊撃ち方始めェッ!!」
ズドオォォォンッ!!
ズドオォォォンッ!!
日本軍の重砲隊である九六式十五センチ榴弾砲や九二式十センチ加農砲等が砲撃を開始する。
「戦車第九連隊を投入しろッ!!」
チタ防衛軍司令官の佐藤幸徳中将は指示を出す。
なお、彼の配下にある第三十一師団長は宮崎繁三郎中将である。(史実の功績によって昇進している)
「行くぞッ!!露助共を蹴散らすんだッ!!」
戦車第九連隊長の五島正大佐は三式中戦車の中で指示を出す。
戦車第九連隊は、中隊長車は新型の三式中戦車だが他はまだ一式中戦車改で全ては更新していなかった。
しかし、一式中戦車改でも初期型のT-34中戦車には十分に対抗出来たのである。
「チハが来たぞッ!!」
「戦車第九連隊だッ!!露助をやっつけろォッ!!」
塹壕で十二.七ミリ機関銃や九九式軽機関銃、九九式小銃で応戦していた兵士達は、戦車第九連隊の登場に士気が上がっていた。
「八九式重擲弾筒を撃てッ!!俺達も粘るぞッ!!」
ボシュゥッ!!ボシュゥッ!!
ある小隊長の言葉に八九式重擲弾筒の部隊が次々と榴弾を発射する。
ズガアァーーンッ!!
ズガアァーーンッ!!
命中した付近にいたソ連軍兵士は四肢を吹き飛ばされたりして地面に叩きつけられたりする。
「撃て撃てェッ!!」
ダダダダダダダダダダッ!!
空になった弾薬箱を取り替えた十二.七ミリ機関銃の兵士がコッキング・ハンドルを前後に戻す操作を二回繰り返して押し金を押して射撃を開始する。
「さっさと帰れ露助ェッ!!」
ブオォォォォォーーンッ!!
その時、ソ連軍の方角からYak-7戦闘機やYak-1戦闘機などが接近してきた。
「敵戦闘機だッ!!散開しろッ!!」
五島大佐が叫ぶ。
ダダダダダダダダダダッ!!
ソ連軍の戦闘機が機銃掃射していく。
「畜生ッ!!」
タタタタタタタタタタッ!!
九九式軽機関銃を操作する兵士が自分に向かってくるYak-7戦闘機に照準して引き金を引く。
「そんな豆鉄砲で戦闘機に立ち向かうのは無謀過ぎるぞヤポンスキーッ!!」
Yak-7戦闘機のパイロットはニヤリと笑って引き金を引こうとした。
キランッ!!
ダダダダダダダダダダッ!!
「ガァッ!?」
その時、Yak-7戦闘機の上方から陸軍の疾風が急降下をしてYak-7戦闘機に機銃弾を叩き込んだ。
Yak-7戦闘機はパイロットを撃たれて、フラフラしながら地面に激突をして爆発した。
「あれは疾風ッ!!飛行第六四戦隊かッ!!」
九九式軽機関銃を抱えた兵士は上昇していく飛行第六四戦隊に所属する疾風を見つめた。
「よし、これでまた一機増えたぞ」
上昇していく疾風の操縦席で檜中尉が呟く。
『無茶はするなよ檜』
高度二千で水平飛行に移した檜機の後方から一機の疾風が来た。
「分かってますよ黒江さん」
『分かってるならいい。檜、あのYak-1戦闘機をやるぞ』
黒江少佐の指指す先に、地上へ機銃掃射しているYak-1戦闘機二機がいた。
「了解です黒江さん」
檜中尉は操縦桿を倒して再び急降下に入った。
二機のYak-1戦闘機の後方に一気についた。
「落ちろォッ!!」
ダダダダダダダダダダッ!!
ズガアァァァーーンッ!!
檜機が放った十二.七ミリ機関銃弾がYak-1戦闘機のエンジンに命中して、Yak-1戦闘機は地面に激突した。
満州方面の空は疾風が制していた。
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m




