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反逆の大東亜  作者: 零戦
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第七十六話






―――1943年、五月二十五日横須賀航空基地―――


「豊田長官、今日は何の召集ですか?」


 トラック諸島から急遽帰国した三笠は豊田長官に話しかける。


「………漸く完成した物がある」


 長官室の椅子に座る豊田長官がポツリと呟いた。


「………まさか………」


 霧島少佐が何かを思い出す。


「………まさかあの機体が完成したのですかッ!!」


 霧島少佐の反応に、何かを思い出した三笠は豊田長官に詰め寄る。


「そうだ………Z計画の『富嶽』が完成したのだ」


「「ッ!?」」


 豊田長官の言葉に二人は驚いた。


「格納庫に案内しよう。来たまえ」


 豊田長官は二人を連れて格納庫に向かった。






―――格納庫―――


「コイツが富嶽だ」


「こ……これが富嶽………」


 三人の前には、六発のエンジンを搭載した大型爆撃機がいた。


「最大速度は六二七キロで爆弾搭載量は十二トン。航続距離は一万二千キロだ」


「………作れたんですね」


「あぁ、試作機は二機で既に三機が生産されている。何せ大型爆撃機だからな中々生産は出来ないんだ」


「予定より早くに出来ましたね?」


 三笠も霧島少佐もZ計画の事は知っていた。


 むしろ、三笠は発案者と言っていい。


 三笠は逆行直後の昭和15年九月に陸海共同で計画するように打ち明けていたのだ。


「ドイツから技術者を出向させてもらったりしてカネにカネをかけたからな」


 豊田長官は苦笑する。


「今のところはハワイを占領してから富嶽をハワイに進出させて西海岸を爆撃する………という構想が海軍内である。山本さんも富嶽の生産は賛成している。そのおかげで縮小して生産していた一式陸攻、九七式艦攻、九九式艦爆、零戦二二型、三三型は生産が中止されて富嶽の生産を優先するようにしている」


 また、陸軍でも同様の事が起きており、九七式重爆、百式爆撃機『呑龍』、九九式襲撃機等の生産は中止されて富嶽の生産を急がせていた。


 唯一、飛龍だけは縮小されての生産となっている。


「………それだけ上層部も本気だという事ですね」


「その通りだ」


「ところで、名古屋の工場移転は順調ですか?」


 三笠は豊田長官に訪ねた。


 1944年に東南海地震が起きるので、名古屋付近にある軍事工場は内陸部へと疎開をポツポツとしている。


「工場は主に、岐阜、長野、滋賀に疎開している」


「それなら一安心です」


 三笠はホッとするように言った。







―――ホワイトハウス―――


「………これはまさにハプニングだな。チャーチルから機動部隊の派遣を求められるとはな………」


 ルーズベルトは疲れたように大統領室の椅子に座る。


「しかし、北アフリカが降伏するとなると、北アフリカのドイツ軍の戦力は対ソ戦用か、対イギリス戦用に転用されますからな」


「あぁ、チャーチルの焦った顔が浮かぶよ」


 マーシャル参謀総長の言葉にルーズベルトはそう答えた。


「大西洋に機動部隊を回さないといかん。至急準備をしてくれ」


 ルーズベルトはキングに向かってそう言った。


「ですが大統領。太平洋は………」


「………延期するしか無いだろう。ヨーロッパをナチに奪われるのは阻止せねばならん」


 ルーズベルトは顔を歪めながら言う。


「忌々しいジャップとナチだ………」


「そうなると、マッカーサーはまたフィジーで足止めになるでしょうな」


 マッカーサーはオーストラリアで対日戦の指揮をしていたが、オーストラリアの降伏を受けてガトー級潜水艦でオーストラリアを脱出してフィジー諸島に逃げていた。


「ジャップの海軍もそうですが、陸軍も侮ってはなりません。奴等のタンクの装甲は薄くありません」


「うむ、それは私も聞いている。M4戦車もジャップの戦車には歯が立たないらしいな」


「ジャップはノモンハン後に強力なタンクを開発していたみたいです。更にドイツからティーガーをも購入したと情報があります」


「………戦車の開発も急がせた方がいいな」


 海軍贔屓のルーズベルトには珍しい判断だった。








御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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