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反逆の大東亜  作者: 零戦
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第七十一話








 翌日、三笠達は松山航空基地にいた。


「これはこれは姫神中佐。わざわざ御苦労様だ」


 松山航空隊司令官はあの台南空の斎藤司令官だった。


「斎藤司令、お出迎えありがとうございます」


「いやなに、最近は試作機の飛行しかしていないから暇だったものでな」


 ハッハッハと斎藤司令官が笑う。


「試作機を見にきたのだろう?山本次官から昨日のうちに連絡が来ていてな。姫神中佐達が来るから試作機を見せるように言われていたのだよ」


「そうでしたか(山本次官もお節介し過ぎやで………)」


 三笠は心の中で溜め息を吐いた。


「早速試作機を見せよう。ついてきたまえ」


 三笠達は斎藤司令の後を追って試作機の場所へ向かった。






「此処の格納庫だ。おい、格納庫を開けろ」


「はッ!!」


 斎藤司令の言葉に整備兵が格納庫の扉を開けた。


ガラガラガラガラガラッ!!


 そして、格納庫の中にそれはいた。


「こ、これは………」


「へぇ」


「むぅ」


「ふぅん」


「ふむ」


「これが………」


 三笠達六人はその戦闘機を見て各自の感想を呟いた。


「これが、一七試艦上戦闘機『陣風』だ」


 三笠達の目の前にある陣風は四枚プロペラで、エンジンは誉を搭載して、主翼は九七式艦攻のように途中からほんの少し程上へ曲がっていた。


 主翼には強力な機関砲がある。


「最初は川西も局地戦闘機として考えていたが、局地戦闘機は雷電や飛燕にその座を奪われたので艦上戦闘機として設計されたのだ」


 斎藤司令は陣風に近寄って左翼を撫でる。


「エンジンは誉を搭載して二千二百馬力。武装は機首に十二.七ミリ機銃を二門と主翼は三十ミリ機銃だ」


「三十ミリ機銃ですか?」


「あぁ。この三十ミリ機銃は烈風も搭載する予定だ。今のところの最大速度は六七二キロだが、試作機だからな。区々なんだ」


「試作機はこれだけですか?」


「いや、まだ四機ある。五機とも最大速度は六五〇キロ〜六七〇キロ辺りを彷徨いているから量産型もそのぐらいになるだろう」


「成る程」


 三笠は斎藤司令の言葉に頷いた。


「どうかね?乗って操縦してみるか?」


「宜しいのですか?」


「構わんさ。山本次官からも乗せてやってくれと言われてるからな」


「(山本次官………)」


 三笠はまた深い溜め息を吐いた。


「是非乗せて下さい」


「分かった」


 そして才渓を除いた五人が試作機の陣風に乗る事になった。


 五人は満足するまで試作機の陣風で空戦をしたりした。







「いやぁ、中々機体は良かったな」


 六人は松山航空基地の食堂で昼飯を食べていた。


「機体も馬力があるから素直に動きやすいわ」


 八重が魚を食べながら言う。


「(しかし………誉四二型が開発出来たとはな………)」


 陸海軍に徴兵されたベテランの工員が工場に戻ってきたおかげで、誉四二型は史実より試作だけだったのが量産も出来たのだ。


 中島飛行機も誉一一型の生産は中止して誉四二型の生産を進めている。


 誉を搭載した零戦は実は誉四二型を搭載しているのだ。


 更に、肝心の誉は史実ではエンジンの不調が多かった。


 しかし、この世界の誉はベテラン工員が出来るだけ不調にならないように組み立てているので史実よりかは不調は少ない。(それでも不調はあるが………)


「まぁベテラン工員が工場にいるから少なくなるだろう。それにドイツからの工作精密機械もあるしな」


 三笠はそう呟いた。


「失礼しますッ!!」


 その時、通信兵が食堂に入ってきた。


「どうした?」


「姫神中佐はおられますか?」


「自分が姫神だ」


 三笠の言葉に通信兵が敬礼をした。


「これは失礼しました。GF司令部より入電です」


「おぅ」


 三笠は通信紙を受け取る。


「何やて?」


 通信紙を読んだ三笠は思わず呟いた。


「アフリカのイギリス軍が降伏した………」


 戦いは混迷しようとしていた。









御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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