第七十話
先日、大学の教授が靖国神社に行ってチハたんの話だけ授業が終わりました。(笑)
―――1943年、三月三日旗艦敷島―――
この日はひな祭りの日であるが、聯合艦隊旗艦敷島の作戦室は異様な空気が包まれていた。
「………姫神少佐」
「は、はいッ!!」
作戦室には陛下、吉田大臣、山本次官、豊田GF長官、三笠がいた。
「貴官の今までの功績を評して中佐の階級を授ける」
「はッ!!」
中佐の階級章を手に持った陛下が三笠に手渡した。
「ありがとうございますッ!!」
「本当なら将官くらいが好ましいが何分、姫神はまだ若いのでな」
陛下が苦笑する。
「いえ、陛下から直接階級章を手渡してくれるなら問題ありません」
「そうか。引き続き皆を支えてくれ」
「はッ!!」
陛下の言葉に三笠は敬礼をした。
「では朕は此処で失礼しよう。それと姫神。無茶をするなよ?この前みたいに負傷して朕を心配させるな」
「はッ!!肝に命じますッ!!」
三笠は作戦室を退出する陛下に頭を下げた。
「まさか陛下から直接階級章をくれなんて驚きました」
三笠は吉田大臣に言う。
「なに、陛下が自ら姫神に階級章を授けたいと仰ってな。陛下から階級章を授けてもらえるなど到底あり得ない事だ。記憶に留めておくんだな」
「そのようですね」
吉田大臣と三笠は苦笑した。
「それと君に報告をしておきたくてな」
「何をですか?」
「零戦の改良型が第二機動艦隊に配備される」
「本当ですか?」
「あぁ、山本から説明させる」
「全く、俺に押し付けるなよ………」
吉田大臣の言葉に山本次官は苦笑しつつ、三笠に説明書を手渡した。
「今度の零戦五四型のエンジンは金星だが、馬力は千九百三十馬力にまで向上している」
「エンジンが不調になる事は無いのですか?」
「今のところそう言った報告は無い。ベテランの工員が工場に復帰しているから史実みたいな不具合は低下している」
「それとドイツからの工作精密機械を輸入してますからね」
「その通りだ」
三笠の言葉に山本次官は頷く。
「最大速度は推力式排気管を採用して六五三キロで航続距離は二千七百キロだ。武装は今までと同じで変わりはない」
「配備の方はどうなっていますか?」
「今のところは第一機動艦隊に配備されている。第二機動艦隊は内地で休息を取っている間に配備される」
「F6Fと互角に戦えますね」
「いや、F6Fには圧勝させてもらう。F4Uと互角だろう」
山本次官はニヤリと笑う。
「零戦の後継機はどうなっていますか?」
「烈風は試作機を飛ばして急がせている。速度は零戦より少し遅いが試験パイロットからは安定感があると報告があるからヒヨコが烈風に乗っても大丈夫だろう」
「ですが、烈風は大型機ですよ?小型空母にはやはり零戦ですか?」
三笠は山本次官に聞いた。
「いや、零戦はいずれ退役させる。軽戦の改良型は五四型か誉を搭載した六五型で打ち切るだろう」
「ほ、誉を搭載した零戦があるんですかッ!?」
山本次官の言葉に三笠は驚いた。
「あぁ。零戦に誉を搭載させたら速度が六七〇キロ近くまで出たんでな。陸軍も疾風の名称で制式採用するか迷っているらしい」
「………零戦は奇々怪々………と言うやつですか?」
「ハッハッハ。そうに違いない」
山本次官は三笠の言葉に笑う。
「ですが、どちらかに統一しないといずれ支障になります」
「それは俺も分かっている。だが、零戦は来年で空母から降ろす。代わりの機体も開発中だ」
「何ですかそれは?まさか紫電改とかですか?」
「紫電改ではない。紫電改は元々は水戦の強風からの派生だが速度は六百で頭打ちなんだよ」
山本次官は一枚の紙を見せた。
「明日、松山航空基地に行くといい。この試作機が飛行予定だ」
「ッ!?や、山本次官。この戦闘機は………」
紙を持つ三笠の右手が震える。
「史実では幻となった戦闘機………陣風だ」
山本次官は三笠にニヤリと笑った。
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