第七話
この話から第三者視点になります。
「………」
朝、三笠は少しだけ開いている窓からの風の涼しさにゆっくりと目を開けた。
「………知らない……天井だ……」
……ちゃっかりと某アニメの主人公の言葉を言ってみたりしている。
「姫神さん、朝御飯の用意が出来ました」
「あ、どうも」
三笠が士官服に着替えていると、八重が部屋に入ってきた。
「昨日はスミマセンでした。それに泊めてもらって………」
「いいんですよ。兄も夜中まで姫神さんを飲ませていましたし」
八重はそう言って苦笑する。
「さ、何もありませんがどうぞ」
「あ、頂きます」
三笠は八重から白米が入った茶碗を受けとる。
「お早ぅ〜」
その時、夜桜四○奏のV・じゅり・Fによく似た女性―――霧島樹里が食卓がある部屋に入ってきた。
「……また夜勤ですか樹里姉さん?」
三笠の隣で黙々と朝食を食べていた聖が呟く。
「そうよ聖ちゃん。もう眠くて眠くて……ふわぁ〜」
樹里が大きな欠伸をした。
「ちょっと樹里。姫神さんがいるんだからはしたないわよ」
「あ、そうだった。ごめんなさいね姫神さん」
樹里はテヘと笑い、三笠に謝る。
「あ、いえ。気にしないで下さい」
三笠は多少あたふたしながら言う。
「(………美女三人と朝食……前ではありえへんかったなぁ……ということは俺はもうすぐ死ぬんやろか……)」
『流石に死亡フラグはないから………by作者』
そして、三笠は三人の美女と朝食を食べて東京に帰る事にした。
「御世話になりました」
三笠は三人に敬礼をする。
「いえ、また何時でも来て下さい」
八重はそう言う。
三笠はそのまま横須賀駅へ向かった。
「………ふぅ。ぁ〜敬語を使うから肩が凝るわ」
八重は三笠が見えなくなると、おしとやかさから一変していた。
「まぁまぁ、でもあの三笠って人は中々面白そうだね」
樹里は双子の姉である八重に言う。
「確かにそれはそうね」
「ね、寝坊したァッ!!お、おい八重ッ!!姫神少佐はどうしたッ!!」
その時、漸く起きた霧島大尉が慌てて玄関に来た。
「姫神さんなら帰ったわよ馬鹿兄貴」
八重は溜め息を吐きながら言う。
「しまったしまったシクラメンッ!!姫神少佐に会ってもらおうとした女性がいたのにッ!!」
「歳樹兄さん、何ですかそのボケは?それより会ってもらおうとした女性とは何ですか?」
聖が疑問に言う。
「ほらアイツだよアイツ」
『……………』
霧島大尉から出たアイツとの言葉にさは目を点にした。
「………何でアレを姫神さんと会わすのよ?」
八重は頭を押さえながら言う。
「いやアイツは前から軍に入りたいと言っていたからな。姫神少佐が提案していた女性パイロットが出来るかもと思ってよ」
「女性パイロット?」
「あ、いや何でもない。機密だ機密」
霧島大尉は慌てて言う。
「ま、また言えばいいか。さぁて朝食でも食べるか」
「朝食は姫神さんが馬鹿兄貴の分で食べたから無いわよ」
「な・ん・で・す・とッ!?」
霧島大尉は町内に響く程絶叫した。
ガタンガタンッ!!ガタンガタンッ!!
「………やっぱ昭和って感じやなぁ」
三笠は汽車で横須賀から東京に帰る途中、外を見ながら呟く。
外は木造住宅が溢れていた。
「相席宜しいですか?」
「ん?」
その時、女性の声が三笠の後ろから聞こえて、振り返るとショートヘアで黒髪の女性が立っていた。
その女性の局部ははち切れんばかりだが……。
「あ、あぁどうぞ」
「スミマセン。東京の人で?」
女性が三笠に尋ねてきた。
「えぇまぁ。東京の海軍省で働いています」
まぁ、三笠の服は士官服で横須賀と言えば海軍なので女性もそう聞いたと三笠は思った。
「そうですか、うちの親戚に陸軍に行っていますけどね。ご苦労様です」
「い、いえ」
女性が頭を下げてきたのを三笠も思わず頭を下げる。
それから二人は他愛ない話をして東京に着いた。
「それでは」
「えぇ」
二人は会釈をして別れた。
これが後日、再び出会うとは三笠も女性も思っていなかった。
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