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反逆の大東亜  作者: 零戦
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第六十六話







―――1943年、一月二十五日陸軍調布航空基地―――


 この日、首相の東條英樹、海軍大臣の吉田善吾以下陸海の上層部は陸軍の調布航空基地にいた。


「東條首相に敬礼ェッ!!」


 菅原中将の言葉に滑走路の待機所にいた陸海の搭乗員が東條首相に一斉に敬礼をした。


「………今日、本土防空隊が設立出来た事を本当に良かった。君達の出番は米軍の重爆撃機が日本を攻撃圏内に入った時だ。その時まで耐え忍んでもらいたいッ!!」


 東條首相は本土防空隊のパイロットにそう訓示した。


 日本軍は42年の四月に起きたドーリトル空襲の本土爆撃を警戒して本土防空隊を発足させた。


 本土防空隊司令長官には陸軍の菅原中将が就任して、参謀長には海軍から小園大佐が就任した。


 陸軍は航空部隊の三分の一程度を本土防空隊に注ぎ込んだ。


 海軍は母艦飛行隊や基地航空隊の事もあり、少数ながら出していた。


 更に陸軍はパイロットを海軍に提供して母艦飛行隊の増強図らせてもらっているのだ。


「陸さんには本当に助かります」


 吉田大臣は海軍省に帰る途中、東條首相に頭を下げる。


「いえいえ。この戦争の主力は海軍さんですからな。陸鷲を何時までも温存させるわけにはいきませんからな」


 しかし、これには陸軍も狙いがあった。


 ドイツから受領した三両のティーガーを昼夜を問わずに徹底的に解剖した陸軍は、ライセンス生産したアハトアハトを戦車砲にした新型戦車を開発中だった。


 パイロットを提供して浮いたカネを開発費用に注ぎ込んでいたのだ。


 戦車開発部の合言葉は「チハたんを最強のチハたんにッ!!」が合言葉である。


「お詫びとはなんですが、排気タービンを搭載した局地戦闘機雷電の試験飛行は終了して改良型が生産ラインに入っています。三月には四個中隊三六機が厚木航空隊に配備されます」


 排気タービンを搭載した雷電二二型は三菱の工場で組み立てが行われていた。


「ほう、それは良かったです。我が陸軍にも搭載の仕方をご教授してくれませんか?」


「はい。この戦争は総力戦ですからね。協力しなければなりませんからな」


 陸海軍の壁は、三笠の協力もあって徐々に壊れて始めている。


「それはそうと………油の方は大丈夫ですかな?」


 東條首相は吉田大臣に耳打ちをする。


「大丈夫です。今朝、宮様の第一護衛艦隊が輸送船団と共に呉へ入港しました。第一機動艦隊の赤城や加賀も投入しているのでかなりの量の航空ガソリンと艦艇用重油を積載しているので本土防空隊にも高オクタン価の航空ガソリンを提供出来ます」


 呉に入港した第一護衛艦隊は積み荷の航空ガソリン、重油、鉄鉱石や資材等を吐き出している。


 積み荷が無くなり次第、再び南方へ向かうのである。


「おぉ、それは有り難いです。ガソリン無くては航空機は動けませんからな」


 東條首相は安堵するように言う。


「ところで………エセックス級空母が続々と竣工していると聞きますが………」


 陸軍の情報部は既にエセックス級空母が竣工しているのを掴んでいた。


 掴んだ理由はハニートラップである。


「はい。今のところは五隻が竣工していますが、そう簡単にはこちらには来ないでしょう」


 吉田大臣は少し自信満々に言う。


「何か秘策でもおありで?」


 吉田大臣の表情に東條首相は聞く。


「実はアメリカ西海岸一帯に伊号潜水艦が通商破壊作戦を展開しております」


 伊号潜水艦はミッドウェー島を補給基地(十二隻)にして西海岸まで進出をして通商破壊作戦をしていたのである。


 通商破壊を展開してから一ヶ月が経つが、敵輸送船を八隻を撃沈している。


 そのため、アメリカ軍はエセックス級空母の喪失を恐れて対潜警戒をしていた。


「取りあえずは第二機動艦隊の作戦も期待しておきましょう」


「そうですな」


 吉田大臣の言葉に東條首相は頷いた。









御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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