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反逆の大東亜  作者: 零戦
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第六十三話








 正月三が日が過ぎた一月五日。


 海軍省の一室で、海上護衛隊参謀長の及川大将は頭を悩ませていた。


「………輸送船の数が足りん………」


 輸送船は各占領地域に物資を届けたり、内地へ届けたりとてんてこ舞いな状態である。


 開戦前に、三笠からの提案により幾分かの輸送船とタンカーが建造されたが、それでも足りないのだ。


 開戦後に、南方で接収した英米の輸送船やタンカーも動員している。


 各造船所では第一次輸送船計画で計画されている戦時標準船が建造されている。


 この戦時標準船は生産性を高めるために幾分かの耐久性は犠牲になっている。


 しかし、この戦時標準船はまだ建造中(少数は竣工している)なので輸送の戦力にはならない。


 昨年には、宮様と及川参謀長が豊田長官にこれ以上の戦線拡大中止と艦艇を一時的に高速輸送艦にしてほしいと直談判をした。


 三時間にも及んだ直談判は承認されて、戦線拡大は一旦中止となり、艦艇の派遣は軽巡琢磨型と天龍型の六隻と、重巡青葉型四隻、空母龍驤になった。


 軽巡琢磨型の大井と北上は史実でもガダルカナル島への輸送のために魚雷発射管を撤去して大発等を載せた高速輸送艦をしていた。


 十隻の戦闘艦は武装が降ろされて(龍驤は格納庫が使用出来るためそのままとなった)高速輸送艦として内地〜南方を行ったり来たりしている。


 だが、それはただ単に輸送船の穴埋めをしているのに過ぎない。


「何とかしなくては………」


 及川参謀長は考えるが一向に浮かび上がらない。


 ………いや、一つだけ浮かび上がってはいた。


「………しかし、それを豊田長官に具申すると航空屋の連中は黙ってはいないだろうな………」


 しかし、そうでもしないと内地へ油が届けられなくなるのだ。


「………許せよ………」


 及川参謀長は航空屋に謝りつつ、豊田長官に連絡を入れた。








―――トラック諸島―――


 トラック諸島には第一機動艦隊が集結していた。


 米軍の反攻を防ぐためにトラック諸島へ進出していたが、米軍が反攻に乗り出す気配は無かった。






―――第一機動艦隊旗艦赤城―――


「………成る程。及川大将も中々上手い事を考えるものだ」


 通信参謀から電文を受け取った小沢長官はそう呟いた。


「ですが、銀鶴と紅鶴も輸送艦として参加しているのにまだ入りますか?」


 草鹿参謀長は少々不満顔である。


「仕方ありませんよ参謀長。油が無ければ我々は動けないんですから」


「それは分かっているんだがなぁ………」


 内藤航空参謀が草鹿参謀長を宥める。


「我々は相手と戦う事しか訓練されてないからな。第一次大戦の戦訓を軽視した結果だ」


 小沢長官は諭すように言った。


「はい。それでどれを派遣しますか?」


「及川さんは大型が欲しいと思うから赤城と加賀、炎龍を出そう。二航戦の飛龍と蒼龍はトラックに居させる。念のためにな」


「分かりました。三空母の飛行隊はトラック島航空基地へ臨時に配備させましょう」


「うむ。それで頼むよ」


 そして、海上護衛隊への一時的な派遣の空母は赤城、加賀、炎龍の三空母となり、二航戦の飛龍と蒼龍は米軍の警戒のためにトラックで待機となった。


 三空母の飛行隊はトラック島航空基地へ臨時に配備され、三空母は海上護衛隊の護衛駆逐艦に守られながらトラック島を出航した。


 なお、飛行隊は史実の『い』号作戦や『ろ』号作戦みたいに使われる事は全くない。


 第一機動艦隊も旗艦は飛龍に変更となった。


「まぁ油が足りないから仕方無いわね」


 インドネシアへ向かう中、艦魂の赤城は防空指揮所で呟いた。


 艦隊は十五日までにインドネシアに到着した。








御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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