第六十一話
―――十二月中旬オアフ島―――
「ウガアァァァァーーーッ!!何なんだこの暗号文はッ!?」
オアフ島の対日本軍暗号解読室で戦略情報室長のロチェフォート中佐が叫んだ。
「(おい、また室長が暴れだすぞ)」
「(仕方ないさ。ジャップの暗号解読が出来ないんだからな)」
情報室にいる室員がヒソヒソと話し出す。
米軍は必死に日本軍の暗号解読をしていたが、一向に解読が進まなかった。
日本軍が暗号を変えたのはミッドウェー海戦が過ぎてからだった。
突然、暗号が解読出来なくなった米軍は必死に解読作業をしていたが発狂する者が続出する始末である。
「何なんだよワロスってッ!!何なんだリア充ってッ!!」
ロチェフォート中佐は怒鳴り散らす。
三笠は史実の日本軍(海軍)の暗号がほぼ解読されているのを逆手に取って、暗号文を現代の2ちゃんねる用語にしたり昔の人物の名前に地名したりして撹乱させたのだ。
『明智を討つktkr(攻略)』
等のようにしている。
また、情報を撹乱するように定期的に現代人にしか分からない暗号文を放ったりしている。
『信長×蘭丸は腐女子受けワロス』
『俺とやらないか?』
等々、男が寒気になるほどの暗号文を送っていたりしている。
「………これがカミカゼというやつなのか………」
ロチェフォート中佐が暴れだした報告を聞いたニミッツ長官はそう呟いた。
いや違うからby作者
―――内地、神戸造船所―――
カンカンカンッ!!
ジジィッ!!
日本全国の造船所では戦時標準船が大量に建造中だった。
今のところ、輸送船の喪失は敷設した機雷に触雷して沈没した輸送船四隻のみだった。
これは海上護衛隊の護衛が一応ながら成功している事を示すものだ。
陸海軍は一致団結してブロック工法等を使って輸送船を建造しているが、元々工業力が弱い日本ではチートなアメリカのように大量建造は出来ていない。
今は開戦前からある輸送船や南方で捕獲した輸送船を活用してまで内地や最前線に輸送をしている。
しかし、史実のように内地へ追い詰められてもいいように海軍はある決断をした。
それは空母を輸送艦として使う事だ。
史実では空母雲龍がこの任務についていたが、潜水艦の攻撃により戦没している。
まぁ空母といっても、祥鳳型や千歳型などの小型空母群が輸送の任務についた。
一部の例外としてはミッドウェー海戦の傷を癒した空母銀鶴と紅鶴だ。
二隻は搭載するパイロットが練度不足なので輸送任務に回されたのだ。
この発案は勿論三笠である。
最初は三笠の発案に対して一部の左官が反発をしたが、豊田長官や吉田大臣、山本次官が賛成したので反対派はやむを得ず鳴りを潜めるのであった。
―――空母銀鶴―――
「輸送は暇っス〜」
銀鶴の防空指揮所で艦魂の銀鶴が大の字で寝転がっていた。
「邪魔」
「ぷげらッ!?」
そこへ姉である紅鶴が転移をしてきて、銀鶴の頭を踏みつける。
「な、何するんスッ!?」
「気にしない。転移した場所に貴女がいただけ」
「理由になってないっスよヨーク姉ッ!!」
銀鶴はプンスカと怒るが紅鶴は気にしてないようである。
「輸送任務は舐めたら駄目。私達の中は重油で一杯」
紅鶴と銀鶴の格納庫はドラム缶に入れられた重油を収めていた。
「史実のジャパンはそれを怠った」
「んでアメリカは勝ったんスよ。別に日本は負けるからいいじゃないスか」
銀鶴は反発する。
「今のアメリカではミカサに勝てない。彼は未来人だもの」
「ならミカサを殺すんスか?」
「駄目。彼を殺したらエンター達が黙っていない。彼は面白い人、観察する義務がある」
「じゃあ、あたし達は現状のままっスか?」
「そう」
「了解っス。お米は美味いっスからね〜」
二人はあくまでも日本空母として生きようとしていたのであった。
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