第五十二話
今回は空母と東南アジア国々です。
ミッドウェー海戦から約二週間が過ぎた。
三笠は横須賀海軍病院に移されていた。
「大丈夫ですか?」
「あぁ、綺麗にスパッと切れてたみたいやから縫いやすかったと軍医長も言ってたからな。後一週間くらいやろな」
面会に来ていた八重、樹里、聖、桃野少尉、才渓少尉に三笠はそう報告する。
「翔鶴はまだ掛かるみたいです」
「まぁそうやろなぁ」
翔鶴は爆弾二発が命中したせいで、ドック入りをしていた。
ドック入りをしたのは高角砲や対空機銃の弾薬を半自動装填式に改造するためでもあり、多少マシになるように若干の追加装甲も載せるためでもあるし、もう一つあるがそれは下で。
これは姉妹艦である瑞鶴も同様に改造していた。
「第一航空艦隊は暫く編制不可能やしなぁ」
三笠はそう呟いた。
空母三隻が使用不能になった第一航空艦隊は一旦解散となった。
飛龍も加えた空母四隻はドック入りをして修理をしながら改装をしている。
飛龍と蒼龍は艦を延長して搭載機を増やし、高角砲や対空機銃も半自動装填式に改造されている。
赤城と加賀は修理をしながらアングルド・デッキへの改装をしている。
アングルド・デッキは空母アンティータムのようにする予定である。
アングルド・デッキの空母は赤城と加賀に加えて、建造中の大鳳と信濃、修理改装中の翔鶴と瑞鶴の六隻である。
「ところで才渓。目の具合はどうや?」
三笠は右目にアイパッチをしている才渓少尉に聞いた。
「はい。最初は不慣れでしたが、今は何時も通りに生活出来ています」
「そうか………スマンかったな才渓。あの時、無茶をして艦橋に行っておけばよかったな」
「いえ、戦闘中に移動していると流れ弾に当たるのはよくある事です。ですから気にしないで下さい」
「けどな………」
「少佐。貴方は此処で何をしたいのですか?」
「才渓?」
不意に才渓少尉は三笠に質問した。
「私は一兵士です。一兵士の私に声を掛けてくれるのは有り難いですが、少佐は少佐の事をして下さい」
「……………」
才渓少尉の言葉に三笠は黙り込んだ。
「………スマンかったな。取りあえず今は傷を癒すわ。それからや」
「分かりました」
三笠と才渓少尉はニヤリと笑った。
「………何か面白くないわね」
「何か言ったか八重姉さん?」
「何でもないわ聖」
八重が呟いたのを聖が聞くが、八重は何でもないと言った。
後に、才渓少尉に新たな事が起きるのはまた後日である。
―――1942年七月一日―――
日本が占領していたフィリピン、ビルマ、インドネシアが相次いで独立を宣言をした。
フィリピンは先のフィリピン戦で捕虜になっていたフィリピン軍人を再び軍に入れて軍の増強を図る事にした。
日本は三国に対して、近代化の協力をする代わりに日本の生命線が脅かす事になれば、日本軍も共同してこれに当たる事を要請した。
三国は了承する事にした。
フィリピンは自国が戦場になるこに若干拒んだが、近代化の協力をしてくる上、フィリピン自体が戦場になる事は無さそうだと判断をして了承をしたのだ。
インドネシアには旧式の三八式歩兵銃や九五式軽戦車等の武器を低価格で売却する代わりに石油を低価格で売ってほしいと交渉をしてインドネシア政府もこれを了承した。
三国で一番活躍したのはブルドーザー等の工作隊である。
日本の小松製作所では砲身が無い九七式中戦車の前部に排工板を付けて大量に生産されていた。
ブルドーザーは内地でも活躍しており、東京から大阪を結ぶ高速道路が建造されていたりする。
後に歴史家は「日本が三国に対して近代化の協力をしていなかったら、三国の近代化は約二十年は遅れていただろう」と述べた。
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