第四十四話
何とか出来ました。
第一航空艦隊から発進したミッドウェー島爆撃隊は長い飛行を経てミッドウェー島に到着した。
「………敵の爆撃隊はいないな………」
「そうですね。滑走路は一機も残ってないですね」
ミッドウェー島爆撃隊総隊長の友永大尉が呟いたのを偵察員が答える。
爆撃隊の眼下にはミッドウェー島が見えるが、滑走路には爆撃機が一機も居なかった。
「………チ、さては向こうも感づいて第一航空艦隊を爆撃しに行ったかもしれないな」
友永大尉は思わず舌打ちをした。
「隊長、艦隊に打電しておきますか?」
機銃手兼電信員を務める二飛曹が言う。
「あぁ、艦隊に打電しておけ。『敵爆撃機、ミッドウェーニ無シ。用心サレタシ』と付けろ」
「了解です」
電信員がキーを叩く。
「あッ!?零戦隊が増槽を落としましたッ!!敵戦闘機ですッ!!」
友永の後ろに座る偵察員が叫んだ。
「敵戦闘機は零戦隊に任せておけッ!!全機にトツレの電文を打てッ!!」
「はいッ!!」
電信員が『突撃態勢作れ』を意味するトツレの電文を送る。
電文を受信した爆撃隊は所定の位置についた。
「全機、準備完了しましたッ!!」
「よし、ト連送を打てッ!!」
『ト・ト・ト………』
電信員がト連送を叩く。
そして、ト連送を受信した赤城艦爆隊隊長の千早大尉が急降下を開始した。
千早機に続いて列機も急降下を始める。
ドンドンドンドンドンッ!!
ミッドウェー島は盛んに高射砲を撃ち上げるが、艦爆隊はそれには目もくれずに急降下爆撃を敢行する。
ヒュウゥゥゥーーンッ!!
ヒュウゥゥゥーーンッ!!
千早大尉が狙ったのはレーダー基地だった。
ズガアァァァーーンッ!!
ズガアァァァーーンッ!!
千早大尉の小隊が放った二百五十キロ爆弾は全弾がレーダー基地に命中した。
勿論、レーダー基地は木っ端微塵に破壊された。
他の九九式艦爆隊は格納庫や、高射砲等の対空陣地を爆撃して水平爆撃である九七式艦攻隊の任務を少しでも手助けをする。
「よし、此れより爆撃に移るぞ」
友永大尉はそう判断をした。
一方、第一航空艦隊ではカタリナ飛行艇の接触を受けていた。
「………迎撃の零戦隊の数を増やすか」
黒煙を噴きながら落ちていくカタリナ飛行艇を見ながら小沢長官は呟いた。
「分かりました。補用の零戦も組み立てて迎撃の用意をさせます」
内藤航空参謀はそう言った。
「うむ。それで頼む」
小沢長官は頷き、四空母の補用の零戦が組み立てられて迎撃隊に加わる事になった。
「………第二次の爆撃は必要無いな」
友永大尉はミッドウェー島基地を見ながらそう言った。
「そうですね、滑走路も破壊されてますね」
偵察員も頷く。
「第一航空艦隊へ打電しろ『第二次攻撃必要無シ』だ」
「了解です」
電信員がキーを叩く。
―――第一航空艦隊旗艦赤城―――
「ミッドウェー島爆撃に向かった友永大尉機より入電ッ!!『第二次攻撃必要無シ』ですッ!!」
「………史実より数を多くしたのが幸いしたな」
「そのようですな」
小沢長官の言葉に草鹿参謀長が頷く。
「………なら後は米機動部隊を捕獲するのみだな」
「………まぁそうなんですが、そう簡単に上手くいきますかね?」
小沢長官の呟きに草鹿参謀長は思わずそう言った。
「確かにな。ハワイ沖では上手くいったが、今度は分からん。だが、やらないよりやった方がマシではないか?」
「………確かにそうですが、失敗した場合は第一航空艦隊が壊滅するかもしれません」
「………その場合は………」
小沢長官の言葉は続かなかった。
「ミッドウェー島方面から敵機接近しますッ!!」
見張り員が叫んだ。
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