第三十二話
翡翠「結局出したな」
まぁまぁ。
―――第二航空艦隊旗艦翔鶴―――
「山口長官ッ!!ツラギ島攻略部隊から入電ですッ!!敵艦載機の空襲を受けたとの事ですッ!!」
通信兵が艦橋に通信紙を持って報告に来た。
「………来たか」
山口長官は通信紙を受け取り、電文を見て呟いた。
「これで、第一段目は終了しました。次は………」
「MO攻略部隊か………」
「はい」
山口の言葉に三笠は頷く。
「護衛している空母瑞穂、龍鳳は全て零戦が搭載されている。それに奮戦してもらうしかないな」
山口長官はそう言った。
「………あのぅ、一体何の話ですか?」
「「ッ!?」」
三笠の後ろから女性の声が聞こえた。
「………才渓少尉か。驚かすなよ」
三笠は、日本人にはかなり珍しい銀色の髪をし、ショートヘアの髪型をした女性尉官がいた。
「(………ぶっちゃけ、蒼○の世紀の才谷艦長やんな?)」
………サテナンノコトヤラ?
「申し訳ありません。聞こえてきたので………」
「まぁいい、今のは軍機だ。分かったな?」
「は、分かりました」
才渓少尉が三笠に敬礼をする。
才渓美紀少尉は桃野少尉と同じ女子兵学校の一期生であり、パイロットではなく艦長志願のために砲術を学んでいた。(八重や樹里達は二期生)
そして女子兵学校を卒業したのはいいが、配属先をどうするか迷った吉田大臣は、三笠に任せたのだ。(ぶっちゃけ押しつけた)
名目上、才渓少尉は三笠の副官となっている。
「(危ない危ない。もう少し小さく喋るか。てか、才渓は気付いたかな?)」
三笠はそんな事を思っていた。
一方、才渓少尉はというと。
「(………何故、山口長官と姫神少佐はMO攻略部隊が襲われる事を分かっているのかしら?………予知夢かな?)」
才渓少尉はそんな事を思っていた。
そして、五日と六日は特に大きな動きは無かった。
0545。
空母翔鶴から発艦した九七式艦攻が空母を含む機動部隊を発見したと電文が来た。
―――第二航空艦隊旗艦翔鶴―――
「確か………給油艦と駆逐艦の小艦隊だったな?」
山口長官は三笠に聞いた。(今度は小声)
「はい。一応、もう少し詳しく教えろと打った方がよくないですか?」
「むぅ、そうなると電波で敵艦隊に見つかってしまう恐れがあるな」
三笠と山口が話していると、再び通信兵が艦橋に来た。
「索敵機から追加報告です。先程発見した機動部隊は給油艦一隻、駆逐艦一隻の艦隊と報告してきましたッ!!」
「………攻撃隊の発艦は見送りですね」
「だろうな」
山口長官は三笠にそう言った。
―――第四艦隊旗艦出雲―――
「全艦、一時ラバウル方面へ退避する」
大改装が終了した重巡出雲の艦橋で南雲忠一中将はそう決断する。
勿論、敵機動部隊の空襲を警戒してだ。
それに先程、偵察機であろうSBDドーントレスが飛行していた。
ドーントレスは直ぐに迎撃隊の零戦に落とされたが、電波を発していた。
「直ぐにやってくるぞ」
第四艦隊司令部はそう判断をして龍鳳、瑞穂に零戦の発艦準備をさせて迎撃機を増やしていた。
そして彼等はやって来た。
『電探に反応ッ!!敵機来襲ですッ!!』
電探室から電探員が叫んだ。
「零戦を全機発艦させろッ!!全艦対空戦闘用意ッ!!」
MO攻略部隊は俄に騒ぎ始めた。
『敵機は約百機ッ!!』
電探員が更に報告をしてくる。
「……………(ツラギで落とされたはずなのにまだそんなにあるのか?)」
南雲はそう思った。
ツラギ島を空襲したフレッチャーは艦載機の損害にかなり動揺をし、艦載機補充のためにエスピリトゥサント島の沖合い七百キロまで後退をしてエスピリトゥサント島から飛来する艦載機を収容してから急いで珊瑚海に戻ったのだ。
フレッチャーは確かに攻略部隊を発見して攻撃隊を送った。
しかし、自分の艦隊も山口第二航空艦隊の九七式艦攻に発見されていた。
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m




