第三十一話
才谷艦長の抱き枕の画像をネットで取って、それを壁紙にした俺は何も悪くない。
翡翠「………おい作者」
―――五月四日、海軍省―――
「入るぞ吉田」
「うん?山本か」
海軍省大臣室にいた吉田に山本大将が訪ねてきた。
「さっき調理室でみつ豆をギンバイしてきた。食べるか?」
「相変わらず菓子が好きだなお前は………」
戦利品を懐から出した山本に吉田は苦笑した。
「確か………今日はツラギ島空襲だったな………」
「あぁ。ただ、史実より参加兵力は多いから史実のような結果にはなるまい」
吉田大臣は山本からみつ豆の缶詰めを受け取ってみつ豆を食べる。
「ならいいが、緩慢になるのは許されないな」
「………ミッドウェーか?」
山本が吉田に聞く。
「あぁ。情報が民間人にもバレていたのはな………豊田にはしっかりと部下にふんどしを閉め直すように言ってはある」
「………ドーリットル空襲の時もそうらしいからな」
双発機を空母から発艦するのは考えておらず、艦載機からの空襲と考えていたためにやられたのだ。
「空襲で思い出したが、米内さんはどうしている?」
「大人しくしているよ。何か良からぬ事でも企んでそうな雰囲気だ」
「そうか………。姫神に米内さんの怪しさを指摘されるまで俺は米内さんを仲間と思っていたが………」
「そうくよくよするな山本。案外早とちりの可能性もある」
「だといいがな………」
山本はそう言ってみつ豆を食べる。
「そう言えば、姫神には言っておいたのか?」
「何をだ?」
「新しい女性士官を翔鶴に送ったんじゃないのか?」
「………………」
山本の言葉に吉田は視線をずらした。
「………吉田……まさか………」
「スマン………姫神に言うの忘れていた………」
『………………』
大臣室に何とも言えない空気が流れた。
「………まぁ姫神なら大丈夫だろう」
「………俺は知らんぞ」
「茶でも飲むか?」
「………貰おう」
話をはぐらかした吉田に苦笑しながら山本はお茶を貰った。
―――敷設艦沖島―――
『電探に反応ッ!!敵機ですッ!!』
電探員が叫んだ。
「零式水戦は直ちに離水しろッ!!」
沖島の艦橋でツラギ島攻略部隊司令官の志摩清英少将は部下に指示を出す。
二七機の零式水戦が次々と離水していく。
「対空戦闘用意ッ!!」
「対空戦闘用意ッ!!」
沖島に搭載されている十四センチ連装砲、十二.七センチ高角砲(八センチ高角砲は戦車砲となって撤去)、四十ミリ対空機銃、二十五ミリ対空機銃が上空へと砲身と銃身を向ける。
なお、沖島にはカタパルトと水偵が搭載されていたが改装で撤去されて機銃が増やされていた。
ツラギ島攻略部隊の対空戦闘用意は万全だった。
一方、迎撃に向かった零式水戦二七機は、接近してきた米攻撃隊を見つけた。
「米軍め、護衛機も無しとは日本軍を舐めてるな。全機かかれッ!!水戦隊の恐ろしさを思い知らせろッ!!」
『了解ッ!!』
林隊長以下水戦隊は急降下で米攻撃隊に迫った。
この時の米攻撃隊はSBDドーントレス十三機だった。
ドーントレスは水戦隊の急降下に気付いていなかった。
ダダダダダダダダダダッ!!
ドドドドドドドドドドッ!!
急降下で銃撃してきた零式水戦に漸く気付いたのは仲間のドーントレス八機が落とされてからだった。
残りのドーントレス五機は慌てて散開するが、あっという間に全機落とされた。
そして水戦隊が編隊を組み直すと、今度はTBDデバステーター十二機が飛来した。
これも五分もいかないうちに全機落とされた。
そして雷撃隊を壊滅させると、今度はまたドーントレス十五機が飛来してきた。
零式水戦は二十ミリ機銃は撃ち尽くしていたが、まだ機首の十二.七ミリ機銃があるため迎撃を開始した。
結果、零式水戦一機が火を噴いたが急降下で消し止められ、ドーントレスは四機だけが遁走した。
志摩少将は水戦隊の補給をしつつ、電探で警戒をしていたが米攻撃隊が飛来する事はなかった。
米軍は思わぬ被害に、一旦ニューカレドニア付近まで退避を開始したのだ。
こうして、ツラギ島空襲は何とか日本軍の勝利となった。
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m




