第三十話
『第二航空艦隊』
史実では福留繁中将が着任していた航空艦隊である。
しかし、この世界では空母を主力にした航空艦隊で設立された。
所属艦艇は、第五航空戦隊の翔鶴と瑞鶴、母艦隊の編成が完了した蒼鶴、飛鷹、隼鷹、千歳、千代田の七隻。
戦艦は金剛と榛名。
重巡は筑摩、摩耶、和泉、笠置の四隻。
軽巡は名取、由良。
駆逐艦十六隻で艦隊は構成されている。
第二航空艦隊司令長官には第二航空戦隊司令官だった山口多聞少将が就任して同時に中将となり参謀長には寺岡謹平少将が就任した。
「………吉田大臣は、いつの間にこれを作ったんだろうか?」
三笠達はトラック諸島へ向かう一式陸攻に便乗させてもらってトラック諸島へ向かっていた。
「豊田長官と話しはしていたみたいだがな」
霧島大尉が三笠に言う。
「俺も混ぜて欲しかったですけどね………」
三笠は苦笑した。
そして、一式陸攻はトラック諸島へ着陸をした。
―――第二航空艦隊旗艦翔鶴―――
「第二航空艦隊特務参謀兼パイロットで着任しました姫神三笠少佐です」
「陸軍連絡士官の霧島歳樹大尉です」
三笠達に続いて桃野少尉達も第二航空艦隊司令長官山口多聞中将に着任の報告をする。
「おぅ、俺が山口多聞だ。よろしく頼むぞ特務参謀」
山口多聞中将は笑いながら三笠の左肩をポンポンと叩いた。
「姫神参謀と霧島大尉は着任早々で悪いが作戦室に来てくれないか?」
「分かりました」
二人は頷いて、山口と一緒に作戦室に入った。
―――作戦室―――
「ポートモレスビー攻略の陸軍の部隊は約二個師団だ。それを護衛するのは南雲さんの第四艦隊だ」
山口中将は指揮棒を持ちながら地図にあるトラック諸島を示す。
「我々第二航空艦隊はソロモン諸島を南下してレンネル島付近を迂回してから珊瑚海へ突入する」
「米軍のツラギ島空襲対策はどうなっているんですか?」
三笠が山口に聞く。
「敷設艦沖島には対空電探が搭載されている。それに、ツラギ島の水上機部隊には零式水戦が二七機配備する予定だ。それと軽巡天龍と龍田もツラギ島攻略に参加している」
山口中将が三笠に言う。
零式水戦とは文字通り零戦の水上機版である。
史実では二式水戦であるが、零戦と同じだと言うことなので零式水戦になっている。
「それと、索敵だが………エンジンを新しい金星に取り換えた零式水偵にやらせる」
三座で有名な零式水偵に零戦二二型などに搭載している金星千三百馬力エンジンを取り換えた零式三座水偵二二型が重巡筑摩に搭載されていた。
「それでも足りないなら筑摩以外でも出すが………」
「そうですね………後三機増やして九機での二段索敵でどうですか?」
「一段目は水上機でどうにか出来るが二段目はどうするのだ?水偵は哨戒任務もある」
「二段目の水上機は三機だけで残りの六機は千歳、千代田の九七式艦攻でどうですか?」
「………それはいいな。どうだ奥宮?」
山口中将は奥宮航空参謀に尋ねた。
「大丈夫だと思います。何とか行けるでしょう。ただ、敵艦隊を早くに見つけたいならば、改良型の零式水偵と九七式艦攻で一段目の索敵をするのがいいと思います」
「確かに敵艦隊を見つけるなら早めにがいいな。姫神少佐もそれで構わんか?」
「はい。構いません」
こうして索敵の計画は終わった。
―――夜、三笠の部屋―――
「………ふぅ。漸く一日が終わったな」
三笠は自室で酒を飲んでいた。
「けど………漫画やアニメが無いのはきついなぁ。のらくろとかはあるけど………」
オタである三笠にとって、漫画やアニメが無いのはかなりきつい事だった。
「まぁ逆行前にあったのはこれだけやからな………」
三笠は『はつ恋連○艦隊』と書かれた本を見る。
三笠が逆行前に日本橋で購入していた本だ。
更には大○国の小説があったりする。
「そういや桃野少尉が似てたような気がする………まぁええか」
そして三笠が読もうとした時、艦魂が転移してきた。
「あれ?エンターやないか。どないしたんや?」
エンターこと蒼鶴は何やら思い詰めた様子だった。
「………三笠さん、お願いしますわッ!!――――――ッ!!」
「え?」
そして平和な珊瑚海は戦場になろうとしていた。
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