第二十九話
う~ん………歴史の修正力なのか。
―――横須賀海軍航空基地司令官室―――
「海軍は一体何をしていたんだッ!!」
ダァンッ!!
坊主頭で眼鏡をかけ、陸軍の士官服を着た士官が机に頭を叩いた。
『……………』
司令官室にいた横須賀航空隊司令官の小園大佐や、三笠は終始不機嫌な表情をしていた。
理由は、怒鳴り混んできたのは閉職についているはずの辻政信中佐だったからだ。
「海軍の不甲斐なさに敵機の侵入を見逃して陛下がお住まいになる宮城に奴等は爆弾を落としていったのですぞッ!!どう責任を取るおつもりかッ!!」
一機のB-25が、低空飛行で何と相模湾から侵入。
対空砲火を受けつつも、墜落には至らず東京へ侵入して、爆弾倉を開いて爆弾を投下していった。
住宅三十棟程が炎上したが、死者はおらず負傷者九名だけだった。
しかし、一発の爆弾が宮城に落ちた。
幸いにも不発弾だったようで然したる被害は無かった。
だが、三笠の意見によって閉職に回された陸海軍の軍人が挙って三笠を批難し始めたのだ。
史実を知っている三笠にとっては今回の空襲はむしろ奇跡に近い。
だが、史実を知らない者は未来を知っている三笠を貶していた。
「それでは私はこれで失礼しますが、他の方々はどうするでしょうなぁ………」
辻はニヤニヤしながら三笠を見ながら司令官室を出た。
「………くそ、辻の分際で何をほざいとるねん」
三笠は忌々しげに辻が出た扉を見つめる。
「………史実を知らない人間だからこそ文句が言えるんだろう。姫神、しばらくは警戒した方がいいぞ」
小園大佐の言葉に三笠は頷いた。
「はい、一応はこいつを持っています」
三笠は小園大佐に十四年式拳銃を見せる。
「しかし小沢、戸塚艦隊が意気揚々と帰ってくるのになぁ………」
小園はそう呟いた。
小沢、戸塚艦隊はインド洋から意気揚々と帰還中だった。
小沢第一航空艦隊はセイロン島の軍港技能を全て破壊し、航空戦力も壊滅させた。
戸塚艦隊は航空戦力でアッズ環礁にいたイギリス東洋艦隊を壊滅状態にさせ、更にはアッズ環礁を占拠した。
ソマーヴィル大将は占拠される前に無傷だった駆逐艦五隻でマダガスカル島まで撤退した。
アッズ環礁を占拠した戸塚艦隊は工作艦二隻を使って、航空攻撃で損傷したイギリス東洋艦隊を昼夜問わずに修理を行い、何とか航行が可能になった艦艇は回航員を伴ってシンガポールに向かった。
高速輸送船に乗っていた大半は回航用員だった。
シンガポールまで回航された艦艇はシンガポールの工廠で本格的な修理をしてから日本に来る予定である。
「まぁ小沢さんや戸塚さんも史実を知っているので」
「だろうな」
小園大佐は苦笑した。
数日後、三笠の意見によって閉職に回されていた将官達が三笠を批難し始めた。
三笠は沈黙していたが、それをいいことに陸軍は辻、海軍は嶋田(裏では米内も)などが三笠に対して腹を切れと要求してきた。
これに対して、陛下が「姫神を切れと言うならまずは余から切れッ!!」と直接、辻や嶋田の元へ訪れてそう言いはなった。
これには辻や嶋田も発言を撤回せざる得なくなり、発言は撤回された。
これを聞いた三笠は陛下に謝ろうとしたが、陛下は「史実に比べたら無駄に国民を死なせずに済んだのだ。ありがとう」と逆に謝られたので三笠が困惑する場面もあった。
そして、オーストリアからの反抗を防ぐためにポートモレスビー及び、ニューギニア島を攻略する事が決定された。
―――海軍省、大臣室―――
「急に呼び出してすまないな姫神少佐」
「いえ」
三笠は吉田大臣から呼び出されていた。
「実は君にある艦隊の特務参謀をしてほしい」
吉田は三笠に辞令書を渡した。
「こ、これは………」
三笠は思わず驚いた。
『姫神三笠少佐は、第一航空艦隊特務参謀から第二航空艦隊特務参謀の異動を命ずる』
辞令書にはそう書かれていた。
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