第二十七話
八センチ高角砲は実は76ミリだったとは………。
取りあえず、一式中戦車はそのままにして新型戦車は新型戦車砲を搭載させます。
そう、あれです。
―――1942年四月十七日、横須賀海軍航空基地―――
「………これが零戦の改良型ですか」
三笠達が訪れた横須賀基地の格納庫に、六機の零戦が待機をしていた。
「零戦三三型です。エンジンは三菱の金星エンジン千五百六十馬力です」
説明役の技師が零戦のエンジンに手を触れる。
「(………史実の零戦五四型に搭載された金星エンジンと一緒やな)」
三笠は心の中でそう思った。
「へぇ〜これが日本の戦闘機なんですね〜」
「………綺麗な飛行機だ」
「これで敵を落とすのね」
三笠と技師の他にも、格納庫にブカブカの飛行服を着て、胸の部分が大きい三人の女性の声が響いた。
「………悪いけど、三人とも最後まで話を聞いといてな」
『は〜い』
三人は頷く。
そろそろ気付いている読者もいると思うが、この三人は霧島大尉の妹である八重、樹里、聖だ。
三人は日本軍海軍少尉として所属している。
日本軍初の女性兵士である桃野少尉の活躍(国民の士気向上のために女性兵士募集のポスターや宣伝もしている)もあり、日本軍へ志願する女性が急増している。
三人は女性士官二期生として訓練を受けて今年の四月に短期ながら卒業をしていた。(入学したのは41年の六月。三笠と会った時はたまたま休暇だった)
三人(というより軍令部の命令)は艦隊乗組員ではなく、パイロットとなっている。
これは以前、三笠が吉田大臣達に言った女性パイロットを上手く活用するためでもある。
後に三人は、桃野少尉と一緒に日本軍撫子四天王と呼ばれる事になるがそれはまだ先の話である。
「零戦三三型の武装ですが、これは二二型と変わりません。速度は推力式排気管を採用して五八五キロです」
「成る程、航続距離は?」
「落下式燃料タンクを入れて二千八百です」
「ふむ。まぁまぁやな」
三笠は腕を組む。
「他にも、重爆用の雷電一個中隊、零戦三三型と同じ金星エンジンを搭載した三式戦闘機『飛燕』一個中隊が東京周辺に配備されています」
陸海軍は二式戦闘機鍾馗に代わる新たな局地戦闘機を開発していた。
それが飛燕と雷電である。
飛燕は主に戦闘機との戦闘を主軸にし、雷電は重爆の迎撃を主軸にしている。
機種を統一したらいいのでは?と内部で続発したため、陸海軍はどちらにするか話し合いをしていたが、両者は一歩も譲る事はなかった。
結局、三笠の仲裁もあって重爆用には雷電を、戦闘機用には飛燕をと振り分けられる事になり、二機種は迎撃に関しては大活躍をする事になる。
「(まぁこれでドーリットルの空襲は防げるかもな)」
三笠はそう思った。
しかし、事態はそう簡単に日本の元へ転がるつもりはなかった。
―――ホワイトハウス―――
「何としてもジャップの首都トウキョウに爆弾を落とさせるのだッ!!」
大統領執務室で、フランクリン・D・ルーズベルトは叫んでいた。
アメリカは負けが続いていた。
真珠湾では戦艦部隊が壊滅し、燃料タンクは殆どが破壊され、空母エンタープライズと重巡が捕獲。
フィリピンも遂には占領された。(ただしマッカーサーは史実より早くにフィリピンを脱出していた)
国民が喜ぶ勝利が欲しいルーズベルトはドーリットルから提案された日本爆撃を決行したのである。
「ドーリットル隊が全滅した場合はハルゼーに突っ込ませるのもいいな」
「(………流石にそれは無理でしょう)」
ルーズベルトの呟きに部屋にいた秘書官は内心ツッコミを入れる。
「………何としても勝たねばならんのだ。これ以上、ジャップを太平洋を我が物顔にするのは耐えられん」
ルーズベルトはそう言った。
そしてドーリットル隊を載せた空母ホーネット、それを護衛する空母ワスプ(大西洋から回航)、それらを護衛する護衛艦隊は史実通りに日本本土へ忍び寄っていた。
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m




