第二話
それから数日後、吉田海軍大臣は宮様の協力の元、連合艦隊の再編成や海上護衛隊の設立、艦船の建造や改装に着手した。
また、零戦の改良型や新型局地戦闘機(後の雷電や紫電改)、新型艦上戦闘機(陣風や烈風)、九九式艦爆や九七式艦攻の改良型や後継機等の開発も緊急に急がせた。
そして俺は、特別に海軍少佐となって陸軍省にいた。
―――とある一室―――
「…………君が陛下が仰っていた未来から日本人かね?」
「はい、その通りです」
俺は今、東條英樹と面会をしていた。
「何か証拠はあるのか?無かったら陛下をたぶらかせていたとして儂は許さんぞ?」
……恐いです東條さん。
「では証拠を見せます」
俺はパソコンを起動して、『抜刀隊』をかけた。
『〜♪〜♪』
「は、箱から音楽が……しかもこれは『抜刀隊』だと……」
東條さんはかなり驚いていた。
一通り聞き終えると、東條さんは俺を見た。
「……良かろう。君を未来からの日本人だと認めよう。今の日本やドイツ、アメリカでは到底不可能な技術だ」
「認めて下さってありがとうございます」
俺は東條さんに頭を下げる。
「それで儂に何の用だね?」
「はい、まずは…………」
俺は東條さんに史実の出来事を全て語った。
「………そうか、帝国は滅びるのか……」
俺が話終えると、東條さんは静かに泣いていた。
「……姫神君。私も少なからず協力はしよう」
「ありがとうございます閣下」
俺と東條さんは握手をした。
そして、俺は東條さんに次の事を提案した。
『1、陸海軍の武器の共通化。2、工業用部品の統一。3、新型戦車の開発。4、中国からの撤退をして満州の防衛。5、技術者や熟練工員の除隊等々』
この時代の日本は今の日本と違って貧乏やから共通化はしとかないとな。
東條さんもそれは分かっていたみたいで、賛成してくれた。
あ、新型戦車の開発の参考資料として三式中戦車のを見せたらかなり喜んでいた。(パソコンの中にウィキの文章を保存していたから)
やっぱ、ノモンハンでソ連軍に負けたのがかなり応えてたんかなぁ?
中国からの撤退も約束してくれた。
多分、ソ連対策と思っているんやろうな。
熟練工員や技術者の除隊も約束してくれたしな。
それから数日後、陸軍は突然中国大陸からの撤退を発表した。
首相であった近衛文麿は陸軍の急な方向転換に驚きつつもこれを承諾して、中国大陸からの撤退を決定した。
そして、日本政府は次の提案をした。1、蒋介石の国民政府を中国唯一の正統な政府とする。2、毛沢東の共産党を撃滅する事を提案する。3、日本軍の中古武器を国民政府に低価格で売却する見返りとして満州国を独立国として認める事を求めた。
蒋介石は日本のいきなりの方向転換に驚きつつも、この提案を呑んで日本と同盟を組んだ。(歴史的に見ても満州は異民族の土地と認識しているため)
―――ホワイトハウス―――
「……予想外の事態だなハル」
「はい、まさか日本と蒋介石が手を結ぶとは思いませんでした」
ホワイトハウスの大統領室で、フランクリン・ルーズベルトとコーデル・ハル国務長官が話をしていた。
「だがなってしまったのは仕方ない。あらゆる手段で日本を追い込むのだ」
「分かりました」
ルーズベルトの言葉にハルは頷いた。
しかし、この決定は合衆国を破滅にまで追い込む決定だったと後の歴史研究家は言った。
日本の産業は熟練の工員や技術者が作業場に帰ってきたおかげでほんの少しずつ、生産量が増えてきた。
陸軍は三十八式小銃から九九式小銃を更新するために、制式採用されていた九九式小銃を大量生産をして部隊に配備をしていた。
戦車は三式中戦車を作っていたが、まだ完成には至ってない。
戦闘機は共通化として海軍の零戦が採用された。
陸軍での名称は『隼』やな。
そして海軍はと………。
「姫神君、横須賀に行かないかね?」
「横須賀ですか?」
たまたま海軍省に用事で来ていた山本さんが言ってきた。
「俺はもう長門に帰るけど今の横須賀には長門や金剛、榛名とかが来ているからついでに見に行かないか?」
「是非御一緒させて下さいッ!!(即答)」
「あ、あぁ。そりゃぁ構わないよ」
山本さんが少し引いてるけど気にしない気にしない。
そして俺は山本さんと一緒に横須賀へ向かった。
あいつらと出会う数時間前の事だった。
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