第十八話
―――第一航空艦隊旗艦赤城―――
「小沢長官ッ!!利根四号機から入電ですッ!!『我、敵艦隊発見。空母視認ス』ですッ!!」
草鹿参謀長が通信紙を持ってきて小沢に渡した。
「いたか。それにしても利根四号機とは何かを感じるな……」
小沢は三笠に言う。
「そうですね。ミッドウェーでも敵艦隊を発見したのは利根四号機でしたし」
三笠は言う。
「航空参謀。攻撃隊の発艦準備はどうなっている?」
小沢長官は内藤航空参謀に問う。
「第一次攻撃隊は既に全機収容をして対艦準備をしています。もう少し待っていただければなりません」
内藤は小沢長官にそう報告をした。
「分かった。なるべく急ぐように」
小沢長官は頷いた。
それから二十分が経った。
『電探に反応ッ!!敵偵察機だと思われますッ!!真珠湾から真っ直ぐこちらに向かっています』
赤城の電探員がそう報告をしてきた。
「………つけられていたみたいですね」
「そのようだな」
三笠の言葉に小沢長官も同意する。
この時、接近してきたのは真珠湾で破壊を免れたカタリナ偵察機であった。
カタリナのパイロット達は何としてもジャップの艦隊を見つけてやると意気込んで、第一次攻撃隊の後をつけていたのだ。
カタリナのパイロット達は幸いにして第二次攻撃隊からは見つかる事はなく、第一次攻撃隊の後を飛行していた。
「零戦六機を向かわせて落とせ」
「分かりました」
小沢長官は単純に落とすように命令をした。
第一航空艦隊上空にいた迎撃隊の零戦十八機のうち、六機が現場に急行した。
現場に着いた零戦六機はカタリナ偵察機を包囲して銃撃をしていくが、カタリナ偵察機は雲を利用して隠れたりして零戦から必死に逃げていく。
そんな追いかけっこが続いてる時に、カタリナ偵察機は遂に第一航空艦隊を発見した。
カタリナ偵察機が打電をしている時に、カタリナ偵察機も零戦の二十ミリ機銃弾が命中した。
カタリナ偵察機は炎上しながらも打電をし続けて、海上に墜落をした。
「………敵さんも中々やるじゃないか」
打電されていた事に小沢長官は思わずカタリナ偵察機に賞賛を送った。
「攻撃隊の準備は?」
「何時でも行けますッ!!」
小沢長官の言葉に内藤航空参謀は力強く頷いた。
「よし、攻撃隊発艦せよッ!!」
小沢長官の命令に各空母から攻撃隊が発艦していく。
攻撃隊の数は零戦三六機、九九式艦爆三六機、九七式艦攻三六機の百八機である。
攻撃隊隊長は赤城の村田重治少佐になった。
攻撃隊は編隊を組んで、敵艦隊へと向かった。
「敵艦隊も攻撃隊を発艦させていると思った方がいいかな?」
小沢長官は内藤航空参謀に問う。
「可能性はあります。なので迎撃の零戦隊を備える必要があります」
「ふむ。それは同意するが第二次攻撃隊を収容中に敵攻撃隊が来たらどうするかね?」
「先に零戦隊を降ろして、燃料タンクを付けてからまた発艦させてはどうですか?」
三笠が内藤航空参謀に言う。
「それは名案だッ!!長官」
「うむ、それでいこう」
内藤は小沢長官を見て、小沢長官は受諾した。
―――ハルゼー艦隊旗艦エンタープライズ―――
「行けッ!!ジャップをぶちのめせッ!!」
エンタープライズの艦橋で、発艦していく攻撃隊に言葉を送っていたのはハルゼー中将である。
発艦していく攻撃隊はF4Fワルイドキャット十二機、SBDドーントレス三六機、TBDデバステーター十八機である。
エンタープライズに残ったのはワルイドキャット二四機である。
「何としてもジャップを殺すのですよッ!!」
エンタープライズの防空指揮所では艦魂であるエンタープライズがハルゼー同様に攻撃隊に声援を送っていた。
「勝てるんですかねエンタープライズさん?」
「勝つんですのチェスターッ!!」
赤毛のそばかすである女の子―――重巡チェスターの艦魂チェスターに、クルクルドリルが特徴のエンタープライズが怒る。
「だって敵は空母六隻ですよ?レキシントンさんはミッドウェー島で動けないんですから」
空母レキシントンは機関故障でミッドウェー島から出る事は出来なかったのだ。
「お黙りなさいチェスター。貴女は臆病風に吹かれたのですか?東洋の猿ごときに合衆国が負けるものですかッ!!」
エンタープライズはそう意気込んだ。
己の待ち受ける運命も知らずに………。
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