第十六話
真珠湾にいる米太平洋艦隊に第一次攻撃隊が襲いかかります。
小沢第一航空艦隊では、第二次攻撃隊の発艦が開始されていた。
零戦は第一次攻撃隊より九機多めの六三機であり、九九式艦爆は百八機、水平爆撃隊は五四機である。
攻撃隊総隊長は瑞鶴の嶋崎重和少佐である。
これで第一航空艦隊は、艦隊迎撃用の零戦と補用機を除いて全て真珠湾に航空機を差し向けたのである。
「………これで一段落だな。参謀長、対空、対潜警戒を厳にせよ」
「分かりました」
草鹿は小沢に敬礼をする。
「さて、他の部隊はどうなっている事やら………」
小沢は東南アジアの地図を見た。
予定通りなら南雲中将の南遣艦隊の空母から攻撃隊が発艦しているころである。
南遣艦隊から発艦した攻撃隊の目標は、英国東洋艦隊がいるシンガポールである。
「………頼みますよ南雲さん」
小沢は地図を見ながらそう呟いた。
第一次攻撃隊は順調に飛行をしていた。
マレー方面でも作戦は順調に進んでいた。
コタバルなどの上陸地点には戦艦長門、陸奥、扶桑、山城が砲撃の準備をしていた。
そして、日本陸海軍の攻撃が始まる十五分前に日本は世界に向けて米英蘭への宣戦布告を発表した。
日本の宣戦布告の発表に喜んだのはルーズベルトとチャーチルである。
しかしチャーチルの場合、チャーチルは直ぐに顔を青ざめる報告が来た。
偵察機からの報告でコタバルの沖合いに戦艦四隻を発見したのだ。
チャーチルは直ぐに東洋艦隊に撃滅命令を出そうとするが、その東洋艦隊は既に壊滅寸前なのだがそれはまた後の話しである。
それは兎も角、第一次攻撃隊は真珠湾に到着して雷撃隊から順に攻撃準備に入った。
「真珠湾やでッ!!水木、ト連送やッ!!」
淵田の後方にいる水木一飛曹がト連送を打つ。
村田の雷撃隊が高度を下げる。
真珠湾の空には一機も戦闘機がいなかった。
「水木、『トラ・トラ・トラ』やッ!!」
水木一飛曹は『我、奇襲に成功せり』の意味である『トラ・トラ・トラ』の電文を打った。
―――村田重治少佐機―――
「高度十メートル」
「ヨーソロー」
星野飛行兵曹長からの報告に村田は頷く。
「距離八百……七百……」
「投下ッ!!」
星野が七百と言った時、村田は投下レバーを引いた。
ヒュウゥゥ……ザパアァンッ!!
一気に機体が軽くなるのを利用して村田機はゆっくりと上昇していく。
「魚雷走っていますッ!!」
平山一飛曹が村田に報告してくる。
ズシュウゥゥゥーーンッ!!
ズシュウゥゥゥーーンッ!!
村田隊が放った魚雷は見事に目標のウェストバージニアに命中した。
その記しである水柱は五本が吹き出ていた。
「魚雷命中ッ!!」
「よし、いいぞッ!!」
米戦艦群は必死に仰角をとって対空砲を撃とうとするその時、淵田中佐の水平爆撃隊が高度二千で戦艦群上空に進入した。
―――淵田中佐機―――
「コロラド型や行くでッ!!」
淵田の中隊は爆撃コースに入った。
「投下ッ!!」
淵田が投下レバーを引くと、八百キロ徹甲爆弾が投下された。
それに続いて列機も投下した。
ヒュウゥゥゥ………。
投下された八百キロ徹甲爆弾はコロラド型であるメリーランドに命中した。
ズガアァァァァァーーンッ!!
メリーランドには二発が命中して、火災が発生している。
ズガアァァァァァーーンッ!!!
メリーランドの近くにいたアリゾナが一際激しい爆発音を出した。
「オオォッ!!弾薬庫に直撃したみたいやなッ!!」
アリゾナは史実通りに八百キロ徹甲爆弾が弾薬庫に直撃をして爆発をしていた。
アリゾナの前部はほぼ切断されかけであった。
そして、他のオクラホマなども魚雷を受けて大傾斜をしていた。
一方、零戦隊と九九式艦爆隊はヒッカム陸軍航空基地などのオアフ島の航空戦力を叩いていた。
ブオオオォォォォォーーンッ!!
ダダダダダダダダダッ!!
ドドドドドドドドドッ!!
零戦が滑走路にいたP-40を機銃掃射していき、機銃弾を受けたP-40は次々と炎上していく。
そして九九式艦爆隊は急降下爆撃で格納庫や格納庫を破壊するのであった。
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