第百二十二話
打ち切りと書いたのは、自分が構想していた最終回が打ち切りのように思えたので。
まだ完結ではないので。
「やったぞッ!!」
村田中佐機の偵察員は眼下の光景を見て歓喜した。
閘門は破壊されて海水が一気に吐き出されていた。(映像で言えば紺碧○艦隊のパナマ運河破壊作戦)
「やりましたよ村田総隊長ッ!!」
「浮かれるなッ!! 浮かれるのは帰ってからにするんだ」
「はッ!!」
村田中佐は偵察員にそう言いつつ眼下の光景を見ていた。
閘門を通過しようとしていた輸送船が津波のように襲い掛かってくる波に転覆しようとしていた。
「(作戦だと言え……敵に同情してしまう……)」
村田中佐は飲み込まれていく輸送船に敬礼をした。
一方、他の閘門も天山隊の雷撃によって破壊されこれもまた村田中佐達が目撃した光景をしていた。
「司令官ッ!!全ての閘門が破壊されましたッ!!」
「くそッ!! 何ということだ……」
部下からの報告にパナマ運河司令官は罵倒していた。
「上層部には再三応援を要請していたというのに……それがこのざまか……」
悔しさに背中を丸めるパナマ運河司令官に他の参謀達は何も言えなかった。
「レーダー員から報告ッ!! 新たな敵編隊を探知しましたッ!! 第二次攻撃隊ですッ!!」
伝令からの報告に今度こそ司令部にいた者達は何も言えなかった。
――第二機動艦隊旗艦翔鶴――
「山口長官ッ!! 第一次攻撃隊より入電しましたッ!! パナマ運河の閘門を全て破壊したそうですッ!!」
通信兵が艦橋に通信紙を持ってきた。
「そうか。これでパナマ運河破壊作戦は成功したな」
「はい。後は輸送船等も叩けれたら更にいいんですが……」
山口長官の問い掛けに三笠はそう答えた。
「おいおい、それは欲張り過ぎじゃないか?」
「それもそうですね」
『ハハハッ!!』
古村参謀長の指摘に三笠が照れそうに言うと、艦橋に笑い声が響いた。
「さて、後は第二次攻撃隊の電文も聞いておかないとな」
山口長官の言葉に三笠達は頷いた。
第二次攻撃隊総隊長は江草中佐だった。
「パナマは燃えてますね総隊長」
偵察員が江草中佐に声をかける。
「なに、まだ我々の取り分は残されているさ」
江草中佐はそう言いつつ獲物を探している。
「まだ燃料タンクが残っているな。あれを叩くか」
江草の目の前には、まだ無傷だった燃料タンク群が残っていた。
「よし、俺の小隊は燃料タンクを叩く。後は好きに任せる」
『了解ですッ!!』
無線機から列機の声が聞こえて、江草は急降下を開始した。
相変わらず対空砲火はあるが、江草中佐の小隊はそれを恐れずに急降下をしていく。
「撃ェッ!!」
江草中佐は高度七百で五百キロ陸用爆弾を投下した。
相手は動かない固定目標だからわざわざ五百まで接近して投下する必要は無いのだ。
そして五百キロ陸用爆弾三発が命中した燃料タンク群は次々と誘爆をしていた。
「総隊長、まるで花火ですね」
「汚い花火だ……」
偵察員の言葉に江草中佐はそう呟き、誘爆する燃料タンク群を見ていた。
「よし、戦果報告の電文を打って帰投しよう」
「分かりました」
偵察員はキーを叩き始めた。
――同日、ホワイトハウス――
「何ッ!? パナマ運河が攻撃されただとォッ!!」
「はい」
ルーズベルトの怒号が大統領室内に響いた。
「そ、それで復旧は……」
「……残念ですが、パナマ運河の閘門は全て破壊されたので短時間での復旧は無理です。防衛基地や軍事私設等も破壊されました。復旧には一年は掛かります」
「……何ということだ……」
ルーズベルトは呆然と椅子に座り直す。
「それと艦船の被害ですが、輸送船二八隻が撃沈又は転覆。駆逐艦四隻が転覆しました」
「……陸海軍は何をしていたのかねッ!!」
ルーズベルトはキングとスチムソンを責めた。
「プレジデント、この攻撃は我々の予測を上回ってました。我々はハワイを攻略してからだと判断をしてましてパナマへの増援は決定したばかりでした」
スチムソン陸軍長官がルーズベルトに『言い訳』をする。
「……確かにそうであろうな。私もハワイを完全攻略してからだと何処かを攻撃しようかと思っていたが……うッ!?」
「プレジデントッ!?如何なさいましたか?」
「い、いや何でもない……」
ルーズベルトは左胸を押さえていたが、直ぐに戻った。
「……次の攻撃目標はサンディエゴだろうな」
ルーズベルトはそう呟いた。
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