第百二十一話
どうしても最終回が打ちきりぽくなる……別に打ちきりとは違うんやけど……。
『村田総隊長、電探に反応あり。敵戦闘機です』
第一次攻撃隊の前方を飛行していた艦偵の彩雲が報告をしてきた。
彩雲二二型には対空電探が搭載されており、探知能力は約六五キロだった。
艦偵の帰還率もこの対空電探によって大幅に増えていたのだ。
「数は何機だ?」
『約八十機あまりです』
「分かった。進藤、一個中隊を残して後は敵戦闘機を叩け」
『了解。竹中の中隊は攻撃隊を護衛しろ。残りは全機俺に続けッ!!』
進藤少佐の烈風がバンクをして、上昇していく。
進藤少佐は上空からの急降下攻撃をしようとしていたのだ。
第一次攻撃隊は烈風九機に護衛されてそのまま飛行をした。
「おいおい、敵戦闘機は旧式戦闘機ばかりじゃないか」
敵戦闘機より千メートル上空には進藤少佐の烈風隊がいた。
『隊長、これは入れ食い状態ですね』
釣りが好きな新米パイロットが進藤に言う。
「馬鹿野郎、いくら旧式戦闘機だからと言って油断はするんじゃねぇ」
『了解です』
進藤少佐は新米パイロットに言いつつ敵戦闘機群を観察している。
「(本当に旧式戦闘機だけなのか? どうやらペロパチはいるが、まだいるんじゃないか?)」
進藤少佐は辺りを警戒するが、それらしい戦闘機は見当たらない。
つまり……。
「パナマの敵戦闘機はあれだけなのか……」
進藤はそう呟いた。
「よし、このままやるか。全機突撃ッ!! 一機残らず叩き落とせェッ!!」
進藤少佐はそう叫んで操縦桿を倒して急降下に入った。
他の烈風も進藤少佐同様に急降下を開始する。
あっという間に敵戦闘機が大きくなり、進藤少佐は先頭機に三十ミリ機銃弾を放った。
ドドドドドドドドドドッ!!
進藤少佐機が放った三十ミリ機銃弾は先頭を飛行していたP-38の右エンジンと操縦席に命中した。
右エンジンから黒煙が吹き出し、風防は赤い液体に塗られていた。
P-38はクルンとひっくり返るとそのまま海面へ落ちていく。
「一機撃墜ッ!!」
進藤少佐は急降下から操縦桿を引いて水平飛行に移る。
落ちていくのはどれも星のマークを付けた米軍の戦闘機ばかりである。
「次の獲物を探すか」
進藤少佐は撃墜スコアを稼ぐために再び敵戦闘機との格闘戦に入った。
第一次攻撃隊はそれを遠目で見ながらパナマの上空へ来た。
「撃て撃て撃てッ!! ジャップの攻撃隊を閘門に近づけさせるなッ!!」
パナマの対空陣地から対空砲撃がなされるが、第一次攻撃隊はそれを無視して各閘門に向かう。
「高度を落とす」
村田中佐は各一個小隊に分かれさせて攻撃をさせるつもりである。
「全軍突撃せよッ!!」
村田中佐の命令に通信手がキーを叩き始める。
そして村田中佐機の天山から全機にト連送が発信されて攻撃隊は一個小隊に分かれた。
第一次攻撃隊が分散したのを見た米軍は混乱した。
どれが重要目標か分からなくなったのだ。
「ジャップめッ!! これを狙っていたのかッ!!」
二十ミリ機関銃の銃手が舌打ちをするが実際には違うが……。
そんな事より、村田中佐の小隊はとある閘門を狙おうとしていた。
「距離千ッ!!」
「まだまだ……」
村田小隊の横にある閘門は別の小隊が狙っていた。
対空砲火はあるが、村田小隊は怯まなかった。
「距離五百ッ!!」
「投下ァッ!!」
村田中佐が投下索を引いて離脱する。
しかし、三番機が離脱する途中に高射砲の砲弾を食らって撃墜した。
「魚雷走ってますッ!!」
投下された三本の魚雷は見事に疾走していた。
そして三本の水柱が次々と立ち上る。
水柱が収まると閘門は壊れて、海水が一気に吐き出されていった。
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