第百十三話
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「ヤマトに命中弾ッ!!」
「よし、このまま撃ちまくれッ!!」
見張り員からの報告にリー中将は喜び、更なる砲撃を指示する。
アイオワから六発の四十.六センチ砲弾が発射された。(後部三番砲搭は射撃不能)
六発のうち、二発が大和に命中して大和は左舷から黒煙をあげる。
「いい気味よヤマトッ!! そのまま沈みなさいッ!!」
アイオワの防空指揮所で艦魂であるアイオワが叫んでいる。
アイオワは被弾による負傷で血を吐き、右の脇腹から血を流しているがアイオワの目はまだ死んではいなかった。
「全艦ヤマトとムサシを集中砲撃よッ!!」
アイオワの言葉と共にサウスダコタ等からも主砲が発射される。
砲弾は大和の周りに至近弾となるが、命中している砲弾もある。
だが、聯合艦隊も負けてはいない。
ズガアァァァーーンッ!!
突然、爆発音が響いた。
「何事だッ!!」
「戦艦ワシントン、艦橋に命中弾ッ!!」
リー中将の問い掛けに見張り員が答えた。
戦艦ワシントンは、戦艦陸奥からによる四六センチ砲弾を艦橋と前部二番砲搭に命中弾を受けていた。
艦橋による命中弾は艦長を戦死させて二番砲搭は射撃不能となった。
「敵二番艦炎上ッ!!」
「照準を敵二番艦に合わせろッ!!」
宇垣司令官が指示を出す。
五一センチ砲はワシントンに照準を合わして一斉砲撃をした。
ワシントンはヤマトと武蔵からの五一センチ砲弾十八発のうち、六発が命中した。
残りは至近弾となって水柱をあげるが、六発の命中弾の一発はワシントンの装甲を貫いて機関室に命中した。
「ワシントンより手旗信号ッ!! 『我、航行不能』」
「……くそ」
見張り員からの報告にリー中将は舌打ちをした。
その時、アラバマの主砲弾が戦艦扶桑に命中した。
扶桑に命中した砲弾は左舷の副砲群を壊滅させた。
更に後部三番砲搭が射撃不能となる。
「全艦フソウを狙えッ!!」
リー中将はヤマトとムサシより、確実に沈めようと扶桑に照準を合わせたのだ。
「ファイヤーッ!!」
航行が不能なワシントン以外の戦艦が扶桑に主砲を発射した。
「左舷から浸水ッ!!」
「衛生兵ェーーーッ!!」
「消化急げェッ!!」
扶桑の艦内では男達の怒号が響いていた。
「右舷へ注水急げッ!!」
扶桑の戦闘艦橋では艦長の阪少将が奮戦していた。
「敵砲弾来ますッ!!」
「総員何かに掴まれェッ!!」
阪艦長の言葉に艦橋にいた乗組員達は手すり等に掴まる。
そして扶桑は水柱に包まれた。
「扶桑に敵砲弾がッ!!」
「…………」
見張り員の報告に宇垣司令官は無言で双眼鏡で扶桑を見た。
「……扶桑……」
水柱が無くなると、扶桑が炎上しながら現れた。
その時、扶桑から発光信号が来た。
「扶桑より発光信号ッ!! 『我、大破。我、敵艦隊ニ突入ス』」
発光信号を読み上げる見張り員の声が震えていた。
それに伴い、扶桑が戦列を離れた。
「宇垣司令官ッ!! 扶桑が戦列を離れますッ!!」
「阪の馬鹿野郎ッ!! 扶桑に発光信号、突入中止せよッ!!」
宇垣司令官は罵倒して扶桑に突入中止を伝えさせる。
しかし、扶桑は出しうる速度十六ノットで敵艦隊に向かう。
「……皆、後は任せるわ」
右目から血を流している艦魂の扶桑はそう呟いて微笑んだ。
そして日本刀を抜いて敵艦隊に向ける。
「目標は敵一番艦のアイオワのみッ!! 突き進むわよッ!!」
扶桑の声が大和達に聞こえる。
『扶桑(姉さん)ッ!!』
「……自らを囮にするとは……」
突撃してくる扶桑にリー中将は扶桑の覚悟に怖れていた。
「司令官、フソウをやらねば味方の被害は増えます」
参謀長が具申する。
「だろうな、全艦フソウに止めを刺せッ!!」
ズシュウゥゥゥゥゥーーンッ!!
リー中将がそう叫んだ時、アイオワの右舷に二発の水柱が上がった。
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