第百八話
「見つけたッ!! 米軍の攻撃隊だッ!!」
烈風のパイロットはバンクをして迎撃隊に知らせる。
「全機突撃ッ!! 一機たりとも第一機動艦隊には近付けるなッ!!」
迎撃隊隊長の兼子少佐は急降下をして米攻撃隊に迫った。
「喰らえッ!!」
兼子少佐が放った三十ミリ機銃弾はヘルダイバーのエンジンを貫いた。
エンジンを貫かれたヘルダイバーは爆発四散をして僚機をも巻き込んだ。
兼子少佐は一度に三機のヘルダイバーを撃墜したのである。
更に他の烈風や陣風らも銃撃をしてヘルキャットを狙わずにヘルダイバーとアベンジャーを撃ち落としていく。
「くそッ!!ヘルダイバーとアベンジャーを守れッ!!」
ヘルキャットのパイロット達は何とか烈風と陣風を妨害するが、逆にやり返されているところもあった。
しかし、そのヘルキャット達のおかげで空戦の包囲網を抜けたヘルダイバーとアベンジャーが多数いた。
「敵機接近してきますッ!!」
「……やはり迎撃隊だけでの迎撃は無理だったか」
小沢長官は悔しそうに呟いた。
「撃ち方始めェッ!!」
比叡、霧島の主砲から三式弾が斉射される。
三式弾の直撃や機体の何処かをやられた機が落ちていく。
それでも米攻撃隊は怯まなかった。
「高角砲撃ち方始めェッ!!」
秋月型防空駆逐艦、駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母の高角砲が射撃を開始する。
弾種は三式弾であり、高角砲も長十センチ高角砲や十二.七センチ高角砲等である。
そして最後に四十ミリ、二五ミリ機銃が火を噴いた。
空母の周りに水柱が立ち上る。
各空母の回避運動は順調だった。
だが油断をしてはいけない。
そしてそれは訪れた。
「て、敵機急降下ァァァッ!!直上ォォォッ!!」
蒼龍の見張り員が叫んだ。
「さっさと撃ち落としなさいよッ!!」
防空指揮所で艦魂の蒼龍が怒鳴る。
余裕そうに見える表情だが、腕を組んでいる手はプルプルと震えている。
「総員衝撃に備えろォッ!!」
艦長は回避不能と判断をして衝撃に備えるよう指示を出す。
「…………」
蒼龍は急降下してくるヘルダイバーをずっと見つめている。
遂にヘルダイバーは投弾した。
ズガアァァァーーンッ!!
ヘルダイバーが投下した四百五十キロ爆弾は蒼龍の前部エレベーターに命中した。
前部エレベーターはこれにより破壊されてエレベーターの使用は不可能になった。
「続けてきますッ!!」
今度は後部飛行甲板に命中した。
後部飛行甲板に命中した四百五十キロ爆弾は飛行甲板を突き抜けて格納庫に到達。
到達した四百五十キロ爆弾はそこで力を開放した。
「ごふぉッ!?」
蒼龍は口から大量の血を吐き出した。
そのままヨロヨロと蒼龍は座り込むように前のめりに倒れた。
「ガハッ!? ゴホゴホッ!!」
蒼龍は咳き込み、更に血が床にぶちまけられる。
「消火急げェッ!!」
蒼龍の応急隊員が消火ホースを持って消火活動をする。
「……やってくれたわねぇ……ゴホ」
蒼龍は咳き込みながら星のマークを付けて飛行しているヘルダイバーを睨み付けた。
「蒼龍に爆弾二発命中ッ!!」
「……分かっている」
小沢長官は炎上する蒼龍を見ながらそう呟いた。
その時、小沢長官の視界の端で雲龍が水柱をあげた。
「空母雲龍に魚雷二発命中ッ!!」
「……これが攻撃隊を出す前ならミッドウェー並だな」
小沢長官はそう言った。
「蒼龍より発光信号ッ!! 航空機の発着艦不能なりッ!!」
「……飛龍と天城で受け入れてもらおう。これを乗り切ればな……」
「敵機急降下ァァァッ!! 直上ォォォッ!!」
その時、大鳳上空にヘルダイバー二機が急降下をしてきた。
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