5話「厄介な近所付き合いの解決法」
「よし……洗濯物も干したし、掃除もこのくらいでいいかな……」
凰牙さんにもらった自分の日用品を片付ける傍、少しずつ散らかっていたものを片付けていたリビングは、初めてきた頃よりもだいぶスッキリして見えた。
(それにしても、ここにきてもう一週間……早いような短いような……)
あの日、この生活が始まった日から、凰牙さんはまだ人を殺していない。
(もし実際に彼が血だらけで帰ってきたら……私は、どう思うんだろ……)
もしかしたら、恐怖するかもしれない。
今すぐこの関係をやめて、罪悪感とか後ろめたい気持ちで警察に駆け込みたくなるかもしれな
それともあの日よりも冷静になり落ち着いた私でも、あの日と同じようになんとも思わないのだろうか。
(考えてても仕方ないし、買い物行こう……)
エプロンを脱いで、玄関の扉を開ける。
この時の私は、一週間経ち油断していたのかもしれない。
ここにきたときは、扉の外側に人がいないかしっかり確認してから扉を開けていたっていうのに。
もし同じようにしていれば、こんなことにはならなかっただろう。
「あら……?あなた見ない顔ね。ここは矢木さんの家だったはずよね?」
「……!」
玄関扉を開けると、そこにはお金持ちそうな女性が数人立っていた。
「本当ね、ハウスキーパーさんか何か?」
「そんなわけないでしょう、エプロンもつけていないし、そもそもあの矢木さんが不在中に人を家にあげるなんてするわけがないわ」
「それもそうね」
「え、あ、えっと……私は凰牙さん……じゃなくて矢木さんの家に居候させてもらっていて……」
正直、この人たちと凰牙さんにどんな関係があるのかわからないのでどう答えていいかわからない。
一応嘘はついていないはずだけど……
(お金持ちのお姉さんたち怒らせたら何されるかわからない……)
そもそもお金持ちと関わりのなかった人生だ、こんな立派なマンションでどんな人が普通となるのかわからない。
「……もしかしてストーカーとか?」
「えぇ?確かに矢木さんイケメンだし……」
だんだんと雲行きが怪しくなってきた。
(私このまま通報されたりしない……わよね……?)
「おい」
(……あれ?この感じなんかデジャヴ……ってことは)
「凰牙さん……?」
「あ!矢木さぁん!この人ストーカーですよぉ!矢木さんの不在中に我が物顔して矢木さんの家から出てきたんですぅ」
さっきまでと違い、甘ったるい声を出す女の人たち。
(いや、我が物顔はしてないと思うけど……)
「……そうか。それで來香、買い物に行くところだったのか?」
「あ、はいそうですけど……?」
「なら行くぞ」
「お、凰牙さん???」
まるで女性たちが目に入っていないような……というか今すぐにこの場から立ち去りたいとでもいうように私の手を引き彼が登ってきたばかりの階段に足をかける。
「や、矢木さん……?」
「お前らが誰かは知らないが、來香が俺の家から出てきたのは当たり前だろう。これは俺の女だからな」
……いや違いますけど……?
「え、いや、矢木さんちょっと冗談きつ……」
「來香」
急に名前を呼ばれたかと思うと、額に柔らかいものが触れる。
「……!?!?」
「ってことだから。これ以上しつこいならお前らをストーカーで訴えてもいいんだぞ」
「あ……な、何にもない……です」
「い、いこ……」
「うん……」
凰牙さんの威圧を受けて、気まずそうにその場を離れていく彼女たち。
彼はそれを確認すると、いまだ状況に頭が追いついていない私の頭の上に軽く手を乗せた。
「急に触れて悪かったな」
「い、いえ……え、えっと、凰牙さん今日も早かったんですね」
「この時期はそこまで忙しくないからな。ほら、買い物行くんだろ」
「あ、はい」
何事もなかったかのように歩き出した彼だけれど、急にき、キスをしてきた上に女発言したことへ多少の罪悪感があったのか、しっかりと買い物を手伝ってくれた。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
学校が始まってしまったので更新頻度は落ちるかもしれませんが、よければ次回も読んでいただけると嬉しいです!




