4話「噂話」
(お米買っちゃったからお、重い…)
蓄えは必要だろうと思って色々買ってしまったために、荷物がとんでもないことになってしまった。
“ねぇ、聞いた?“
「…?」
階段を登っていると、凰牙さんの部屋の方から何やら声がする。
(ご近所さん…かな…これ私会っても大丈夫…?)
恐る恐る階段から顔を覗かせると、主婦らしき人たちが三人で話をしていた。
「もしかして竹尾さんのとこ?」
「そうそう、旦那さんいなくなったんだってねぇ」
「噂ではあの殺人鬼にやられたみたいよ」
「金持ちばかり狙ってるんでしょう?怖いわねぇ」
(殺人鬼……?まさか……)
凰牙さんのこと……じゃない……よね……?
「おい」
「は、はい!!……って凰牙さん……?もう帰ってきたんですか?」
話の内容を考えていると、突然声をかけられ反射的に返事をしてしまい、慌てて後ろを振り返るとそこには朝と同じスーツ姿の凰牙さんが不思議そうに眉を顰めてこちらを見ていた。
「あぁ。仕事が早く終わったからな。それで、こんなとこで何してんだ」
「えっと、その……人が……」
「は……?」
「ってあれ!?いなくなってる……」
先ほどまで話していたはずの主婦さんたちはいつの間にかいなくなっており、凰牙さんはますます眉を顰めた。
「……まぁいい。とっとと入るぞ」
凰牙さんは私の持っていた荷物を軽々と持ち上げ、さっさと中に入ってしまった。
『いただきます』
テレビがついているだけの無言の夕食。
気まずさはあるけれども、かといって何か話す内容があるわけでもない。
(で、でもなんか落ち着かない……!)
なぜかソワソワする気持ちを落ち着けようと、現在流れているニュースを見る。
「速報です。〇〇山の山道の外れにて、遺体が発見されました。死因や遺体を乱暴に扱ったと見られる跡から、近日世間を騒がせている連続殺人犯による犯行と予想されます」
〇〇山……?
それって……
「……これ」
「あぁ……意外と遅かったな」
テレビの方を見向きもせず、淡々と食事をしながら答える彼。
しかしその口ぶりからして今ニュースでやっていることは、昨夜私が居合わせた事件だということは確実だった。
「……ご馳走様。美味かった」
「あ……はい、ありがとうございます……」
いつの間にか食べ終わっていた凰牙さんは、丁寧に感想を言った後しっかりと食器まで下げて行った。
(ほんとに、昨日と同一人物なのだろうか……?)
今日1日見ただけの感想だが、正直彼は仕事も気遣いもできて、少し愛想が悪いくらいの人間だ。
自分の快楽や恨みだけで人を殺すような人には思えなかった。
(……そういえば、凰牙さんが言ってたルールって結局なんなんだろう……?)
ここまで読んでいただきありがとうございました!
次回も良ければ読んでいただけると幸いです!




