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16話「渦巻くココロは嫉妬か親心か」

「ご注文はお決まりですか?」


堂々と自分からバラして言った椎名に凰牙さんがツッコんだタイミングで店員さんが注文を聞きに来る。


「あぁ、このパフェ二つとアメリカン一つ」

「かしこまりました〜」


一瞬目を通した凰牙さんは私たちの意見も聞かずにささっと注文してしまう。


「え?なんですか?矢木さんもしかして私たちにパフェ奢ってくれるんですか〜?」

「何言ってんだ、俺と來香の分に決まってるだろ」

「え!?矢木さんが食べるんですか!?そして女の子がいるっていうのに自分優先で注文するんですか!?」

「だから來香の分は頼んだだろ。お前は自分で頼め、そこまで俺がしてやる義理はねぇ」

「あーそういうこと言っちゃうんですね矢木さんは!矢木さんモテないでしょ」

「モテなくて結構だ」


仲がいいのか悪いのか、わーわーと言い合いをする凰牙さんと椎奈。

さっきまで緊張した雰囲気が漂っていたのに意外にその雰囲気がとけるのが早かった。


「し、椎奈。パフェ、私一人じゃ食べれなさそうだから一緒に食べてくれない?」

「え?いいですよ別に!!パフェが食べたかったっていうよりこの人に金を使わせたかっただけなんで!先輩から奪うくらいなら自分で頼みます!!」

「えっと……じゃあ凰牙さんに……」

「あ、なら私食べます!」

「そう……?」

「もちろん!……っていうか今更ですけど矢木さん甘党なんですね」

「なんか文句あるか?」

「いえ別にー?なんか可愛いところもあるんだなーって思いまして〜?」






「んー!美味しかったですね〜先輩!」

「そうね。雰囲気も写真の通りでよかったし……」

「また来ましょうね!今度は二人で!」

「え、あ、えっと……」


店を出たところで、満面の笑みで「また来よう」と椎名に言われた私はちらりと凰牙さんの方を見る。


「……別にわざわざ俺に確認取らなくても來香が好きなようにすればいい」

「あ、ありがとうございます……」

「これで保護者公認ですね!」

「保護者じゃねぇ!……わかってると思うが」

「もちろん!鈴音先輩の居場所がバレないようには気をつけますよ!」

「じゃあいい。まぁもしバラしたのなら……」

「なら……?」


凰牙さんは一瞬、あの夜と同じ怪しく、鋭く、覚悟を決めた目をした。

それだけで、私にはなんとなく、凰牙さんが言おうとしていることがわかった気がした。


「……いや、なんでもない」

「えー?なんですかそれー」


バラしたらどうなるのか……と気を張っていた椎奈は曖昧な反応に不満を唱える。


「……」

「來香」


多分椎奈はバラしたりなんかしない。

でももしバラしたら……

そのもしもが頭によぎってしまった私の頭に凰牙さんが軽く手を乗せる。


「……やらねぇよ。安心しろ。言っただろ?俺がやるのは悪人だけだってな」


せいぜい監禁くらいだ、と椎奈に聞こえないように呟いた凰牙さんに私は小さく頷く。


「鈴音せんぱーい?」

「ほら、呼んでるぞ」

「はい。……あ、あの……」

「どうした?」

「……ありがとうございます」

「……お前はよく礼を言うな」


お礼を言った私に凰牙さんは苦笑しながら再び私の頭に軽く手を乗せた。




















最近、來香がよく出掛けるようになった。


「ただいま」


いつもならすぐにお帰りなさいという來香の声が聞こえてくる。

が、今日は代わりに机の上に紙と料理が置かれてあった。


『椎奈と出かけてきます。夜は食べてくるのでレンジで温めて食べてください』


「……やっぱ許可しねぇ方がよかったか……?」


自分の心を押し殺していた來香が最近少しずつ自分の意見を言うようになってきた。

ただ一つ持っている意見は……望みは、「殺してくれ」ということだけ。

そんな來香が、自分の意見を言えるようになった。

それがなぜか嬉しくなると同時に、來香も俺の元から離れていってしまうのではないかという不安や寂しさとかいうものが俺の胸の中を渦巻いている。


「ったく……めんどくせぇ……」


來香の笑顔は、俺が今までに触れたことのない温かさをくれる。

來香と話していると、人を殺している俺でもまだ“人”であると感じられる。


(……考えれば考えるだけ、わからなくなってくるな……)


「……さっさと飯にするか……」





















その晩、夢を見た。

暗く、寒く、恐ろしく、そして……寂しい夢。

孤独で、ただ一人凍えることしかできず、周りは誰もこちらを見ない。

目の前では小汚い大人たちが怪しげな笑みを浮かべながら会話をしている。

汚れた瞳は人々を見下し、嘲り笑うかのように口角をあげる。

ニュースで流れてくるのは裏金だとか戦争だとか、そんなことばかり。

目を開いても光は見えない。

耳を塞いでも聞こえてくる。

あぁそうだ、これは昔の夢だ。

この道を選択した……あの時の……


ここまで読んでいただきありがとうございます。

本当は昨日いつも通り予約投稿しようと思っていたのですが……ちょうどメンテナンスの時間とかぶってしまい、1日遅れとなってしまいました、すみません。

また度々トラブルがあるかと思いますが、これからも読んでいただけると嬉しいです。

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