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4/6

地獄の底で絶望していると、ギャルからチョコをいただけることに!?




「はぁ、はぁ、はぁ……オエッ……」


 俺は屋上を離れ階段を駆け降りると、トイレの個室に駆け込んだ。そして、息を整えると。


 くそがアアアア!!!あんなクズがなんっっでモテるんだよ!!し、しかもセッ、セセセッ……って、まだ高校生だぜ!?ダメじゃね!?犯罪だよ犯罪!!てか、俺も彼女ほしーよ!!彼女とセ……いや、あんなことやこんなことしてーよー!!それよりも、バレンタインチョコがほしーよぉォォォ!!!!


 と、便器の蓋を閉めてそこに座りながら、暫く内心で絶叫した。



◇◆◇



「…………そろそろ教室戻るか」


 気が済むまで内心で叫んだりブツブツと呟くと、俺は大きな溜め息を吐きながらトイレを出て、とぼとぼと教室に向かう。両足に鉄球の枷でもあるかのように足が重い。もう既に、地獄の底にでもいるような絶望的な気分だった。


「はぁ~……」


 溜め息を吐きながら、ガラッと教室のドアを開けたその時だった。目の前に同クラの藤沢さん(ギャル)が立っていて、俺と藤沢さんは「「うわっ!?」」と同時に驚きの声を上げた。


「ビクッた~……ん?てか、あんた誰?ここのクラスの人? 」


 と、藤沢さんが俺に向かって言うと、隣にいた藤沢さんの友達 (ギャル)が言った。


「フジってば、マヂしつれー。ほらぁ、あれだよあれ、前にテストの時におならした人だよ~」

「あー!そっか、プーさんかー!」


 その話やめてくれないかな~……と俺は内心で思いながら「ははは」と、ひきつった愛想笑いをして藤沢さんたちの前から離れようとした。すると突然、藤沢さんは俺の腕をガシッと掴んだ。


「……え?」

「プーさんはまだ、あたしからチョコもらってないよね?」

「は?は、はぁ……」

「じゃあ、プーさんにもチョコあげるからちょい待ってて」


 と、藤沢さんは持ってたスクールバッグの中を、がさがさと探しはじめた。


「今日バレンタインじゃん?でも、今あたし彼ピいないさびしーやつでさ。友チョコと、どーせだからクラスのみんなにもチョコあげよっかなーって。だからさっき、みんなにチョコ配ってたんだー。つっても、チロルチョコ3個くらい詰めてラッピングしただけの、たいしたものじゃないんだけど。てか、プーさんはチョコ大丈夫な人?」

「え?だ、大丈夫ですけど……」


 ……てか、え?今チョコくれるって言った?俺に?えっ……え!?マ、マジで!?藤沢さんから!?てか……む、胸が見えて……


 肩にかけたスクールバッグを体の前に持ってきて、がさがさと俺の前でチョコを探す藤沢さん。少し屈んでいるせいで、シャツの胸元から白い谷間がチラッと見える。結構、大きい……

 チョコがもらえるかもしれないのと、チラチラと見える藤沢さんの白く深い谷間のおかげで、ドキドキと鼓動が早まる。変に緊張し、ガッチガチに体を固めて棒立ちしていると。


「あれー?おっかしーなー、あと2つあったけどなー」

「あ~!そういえばフジ、さっき別のクラスから来てた男子二人にチョコあげてなかったっけ?」

「え?……あっ!そーだ、そーだったわ!余っちゃってるからってあげたんだ~……」


 そう言いながらチラッと、藤沢さんは俺の方を見た。なんだか申し訳なさそうな顔だ。これは……


「ま、まっち!もしかしたら1個くらい残ってるかもだし!ちょっと探させて!」


 と、藤沢さんはスクールバッグを床に置いて、慌てたようにがさかざとスクールバッグの中を探した。しゃがんだことにより、藤沢さんの白い谷間がさらによく見える。藤沢さんが鞄の中を探るたびに胸がふるふると揺れ、チラチラとうすピンク色のブラも見えた。


「いっ、いいいです!気持ちだけでいいですから!そっ、それよりも、む……み、見えっ!!とにかくいいです!」


 俺は目の前で揺れ動く藤沢さんの白い谷間の存在に堪えきれず、目を瞑りながらそう言った。これ以上、藤沢さんの胸元で暴れる白い谷間を見ていると、俺の半身の理性が効かなくなりそうで。すると。


「……ごめんプーさん、やっぱ無いみたい。今日は無理だけど、明日あげるから勘弁!」


 スクールバッグを肩にかけて立つと、藤沢さんは手を合わせて謝った。


「いやあの、ほんと気にしないでくださいって。気持ちだけでほんと、充分ですから。ありがとうございます」


 もうほんと、いろんな意味でありがとうございますなので、と内心で思う。チョコは物凄く欲しかったけどでも……藤沢さんの白い谷間が見れただけで、本当にもう充分。幸せだ。

 そう思いながら席に戻った、けど。


「俺、女子からチョコもらうの初めてだからめっちゃ嬉しい!」

「俺も。藤沢さんにマジで感謝だわ。これで今年はチョコゼロの地獄に落ちなくて済むわ~」

 

 自分の席に着いた瞬間、そんな声がうしろから聞こえてきた。そうだ……藤沢さんは女子含めたこのクラスの全員に、チョコをあげたんだよな。ってことは……今、このクラスでチョコもらってないのって、俺だけってことなのか!?


 ザワザワと、周りでは藤沢さんからもらったチョコの話題で溢れていた。いつもなら女子からチョコを貰えないであろう俺と同じ非モテ男子たちも(失礼)、物凄く嬉しそうに藤沢さんから貰ったであろうチョコを頬張っていた。


 ふ、ふん!俺なんて目の前で藤沢さんのたわわを見れたんだぜ!?チョコより価値ありだろ!

 ……別に、チョコゼロでも俺は──……


 チョコより貴重なものを見れたはずだけど。俺はまた、地獄にいるような気分になった。

 




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― 新着の感想 ―
勢いがあり、読みやすかったです。 テンポも良くて、スムーズに書いてるよなー、と。 あんま、オイラみたいにウンウンしてないのかな? それにしても。 乳の間(あわい)は見れたけれども。 んー。 いつか、そ…
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