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12月1日より毎日、小説『みちのく転び切支丹』を連載します。乞うご期待。
ある研究によると、江戸時代初期には全国に約30万人ものキリスト教徒がいたという。ザビエルが日本にキリスト教を伝えてほんの半世紀の間に、日本の総人口の2%もの人がキリスト教徒になったと見積もられているのだ。九州を始めとした西日本だけでなく東北地方においても、キリスト教に改宗した者はかなりの数に上っていた。そしてその人々は、幕府の禁教令によって弾圧され、殉教を選んだ者や、転びキリシタンとして生き延びた者がいた。江戸時代、迫害にも関わらず、潜伏キリシタンとなって、密かにずっとキリスト教を信じる者たちもいた。かれらの中には明治の世になって、カトリックに入信した者もいれば、そうすることなく自分たちが信じる伝統的なキリスト教に留まる者たちもいた。かれらを隠れキリシタンと呼ぶ。
これは、山形の黒鷹町に伝わる潜伏キリシタンの話を使って町おこしをしようと目論む者たちのドタバタ劇である。そこに転びキリシタンと隠れキリシタンの末裔の悲しい旋律が流れる。主人公のぼくには、子供の頃に転んだ心の深い傷がある。
この物語はすべて架空の話である。