千葉ニュータウンのテコ入れについて北条さんと相談してみた
さて、限界ニュータウン化しつつある千葉ニュータウンのテコ入れのため、俺は北条さんにまずは相談することにした。
「北条さん。
千葉ニュータウンの状況って知ってる?」
「千葉ニュータウンですか?
ある程度ならわかりますが」
「うん、じゃあもうちょっと詳しく説明するよ」
というわけで現状の千葉ニュータウンは大失敗で、計画人口34万人に対し、入居者数は7万6000人に留まっているが、鉄道や高速道路用地などの取得はある程度すんでいて非常にもったいない状況であることも説明した。
「ちなみに千葉ニュータウンは現状では印旛郡白井町・船橋市・印旛郡印西町・印旛郡印旛村の4つにまたがっているが、まともに鉄道が開通してるのは鎌ケ谷市の北初富から船橋市の小室までだな。
一応、新京成の松戸まで直通はしてるみたいだけど」
「まあ、北初富止まりでは短すぎますわね。
そしてその他の印西町や印旛村地域には鉄道が通っておらず、道路もあまりないわけですわね」
「そういうことなんだ。
このあたりって松戸から津田沼までの新京成線や新松戸から西船橋までのNR武蔵野線、柏から船橋駅までの東武野田線周りは走ってるんだけど千葉ニュータウンに直接つながる経路はないんだよな。
で、まず相談なんだけど、北総開発鉄道乗り継ぎで新京成経由のNR常磐線乗り換えで東京に出るのだと、運賃が高くなりすぎるから北総開発鉄道のすでに運転を開始している区間や取得している鉄道用地も含めて、京成線・新京成線に経営権を全て譲渡させて、京成線の千葉ニュータウン線として日暮里や京成高砂から青砥はすでに繋がれているけど、そこから千葉ニュータウンを経由して成田までをつなげて成田から東京都心まで直結した、比較的安い定期料金で通勤できるようにしてほしい」
俺がそう言うと北条さんはため息をついたあといった。
「それはまた無茶をいいますわね」
俺も苦笑でそのため息に返す。
「ごめん。
新三郷の時みたいに鉄道用地の取得縫NR貨物が関わってればもう少し話は早いんだけどな。
新幹線ほどではなくとも高速な特急車両も欲しいな」
これは京成線のスカイライナーがミニ新幹線並みの速度は出せるようだからなんとかなるとは思う。
「まあ、そのあたりは京成電鉄とも協議が必要ですわね」
「そうだね」
とはいえこのあたりは京成線スカイアクセス線として2010年にはちゃんと開業しているからそれを前倒しで行けばいいとは思う。
「あとは、成田新幹線建設予定地だった線路のわきにある、すでに取得済みの高速道路予定地も高速道路につなげたいけど、これも東西に伸ばして外環道こと東京外環自動車道から成田空港までをつなげる感じかな」
これは北千葉道路の建設計画を高速道路併設として推し進めればいいだろう。
まあ、外環道も本来よりは早く進むと思うので湾岸道都と外環道が説即する高谷ジャンクションが開通するのは2018年よりは早くなると思う。
「とにかく多摩ニュータウンは多摩都市モノレールがあるし、港北ニュータウンは横浜市営地下鉄のブルーラインやグリーンラインがあるし、高速道路も比較的利用しやすい。
千葉で成功しているニュータウンの場合も千葉都市モノレールやユーカリが丘線があるしね。
移動のために便利でやすい交通手段があるってとても重要なんだよ」
「まあ、それはそうですわね」
「千葉県でも人口増加が見込める船橋南部地域は西船橋から乗れる総武線と武蔵野線に東西線、さらに京葉線と東葉高速鉄道も開業するし、高速道路は京葉道路と湾岸道路が使える。
柏や流山は常磐線に高速道路の常磐道が使えるからね」
「それでは千葉県や関係する市町村、京成電鉄や新京成電鉄などと協議してなるべく早く京成電鉄で都心へ直接出られるような状況を確保したしましょう」
「うん、あとは住宅地だけでなく、新三郷で作ったような遊園地と映画館や大型アウトレットモールを組み合わせた商業施設やホテル、小学校や中学校に高校や大学のような教育機関や地元の名産である梨を含めた野菜や鶏卵なんかの農産物直売所、バーベキュー場、物流倉庫に工業団地の建設計画も提示してほしい。
それと成田空港への利便性が上がればパイロットやスチュワーデスなんかが住む場所としても使えうようにしていけると宣伝してほしいかな。
基本的に住民から『これがあれば便利なのに』という声が上がる前に、必要になるであろう施設を揃え、サービスを行うようにしていくべきかなと思う」
「なるほど、それもそうですわね」
「そして、ニュータウンの北側と南側の環状道路の整備とそこを周回するバス路線の整備もね。
これは京成バスに頼むことになると思う」
「あなたは京成グループになにか恩義でもあるのですか?」
北条さんがそう聞いてくるので俺は答えた。
「谷津遊園を格安で譲ってもらえたことの恩返しってとこだね」
「まあ、たしかに谷津遊園を格安で譲っていただけたのは私達にも大きなメリットがありましたわね」
「そうそう、遊園地っていう娯楽施設の運営・管理の方法を学べたのは大きかったからね」
「それはたしかに私もそう思いますわ」
北条さんが笑顔でそういうので頷きつつ俺は言葉を続けた。
「あとユーカリが丘に習うのであれば千葉ニュータウンの入居者数が予定ほど多くなかったのはむしろ幸いかもしれない」
「それはまたなぜですの?」
実際に高度成長期に次々と誕生したニュータウンや大型の団地などの多くは2020年代には大きな苦境に立たされていたりする。
人口減少と市民の高齢化により、なかには住まう人が半減、空き家が目立つようになったニュータウンもあるくらいで、同時期に住居を大量供給し、一斉入居した場所では、当然の如く住民も一斉に高齢化し、住居も老朽化する。
さらにその家はそれを買った親世代の一代限りのもので、息子や孫は家に引き続き住むことはほとんど無い。
だから一時期に集中して分譲され、その後街にやってくる新住民がいない状況が続くと、街はどんどん高齢化・老朽化し、活力を失っていく。
これは一見すると成功していた用に見える多摩ニュータウンや港北ニュータウンなどでも例外ではない
「新しい住居と若い居住者を少しずつ増やしていけば、街全体が高齢化老朽化することは避けられるからね」
「なるほど、それもそうですわね」
「普通の分譲住宅や団地みたいな、一度に建てて一度に売り切るという方式では、街はあっという間に高齢化してしまうし、生活する上で不便を感じるとより快適な地域を求めて人が移動してしまう。
地方から人が減ってるのはそれが原因だから、逆に必要なものをどんどんつくっていく必要があるんだ。
便利で働く場所があったり通勤が便利なら人は集まってくるからね」
多くの自治体や民間宅地開発業者は、開発して分譲してしまったら「はい、おしまい」という「分譲逃げ切り」型のビジネスモデルであるのに対して、ユーカリが丘のディベロッパーは長期にわたって住宅を少しずつ分譲していく「成長管理」型ともいえるビジネスモデルを採用した。
だから一時に多くの利益は得られないが、常に利益をあげ続けることができた。
やはり何十年も先を見据えたやり方は強いということだと思うし、交通の便の良さは大事だと思う。
船橋の東京湾岸や幕張あたりが発展し続けてるのもそのためだと思うしな。




