心の底から尊敬しかない
本当に感動しました。
新潟県で開催されている「越後妻有2022大地の芸術祭」で同県の修学旅行で訪れた中学生が作品を破損させる事件が起こった。
破損された2作品のうち、クワクボリョウタ氏製作の「LOST#6」は全損認定され、展示が不可能な状態とのことだ。
そんな中で作者であるクワクボリョウタ氏がだしたコメントに私は心の底から尊敬しかない。
作品を破損した中学生たちに憤りをぶつけるのではなく、若いうちは間違いもある、なぜ、そのような行動にいたるかを考えて、彼らがそうした行動をした原因にアプローチしなくてはいけないと語り、壊された作品を修復する気力体力はあると、作品を愛しているファンたちへもしっかりとフォローを入れる。
とても素晴らしい人格者であり、自らの作品を壊されたことに対して「今回、誰かを怪我させた訳でなく、物は物ですから」と中学生たちの行動が行き過ぎていたけれど、直接的に誰かを傷つけた訳ではないから許してあげましょうよと、作者本人が自らコメントすることの意味は本当に大きいですよね。
なにせ、中学生に対して誹謗中傷など出来ませんよね、これでは。作者本人が「中学生なら間違いをおかすのも仕方ない」とした上で「そのような行動をしてしまう環境にあることが問題」であり「正しくフラストレーションを解消できる」人間になって欲しいと願われては外野もクワクボリョウタ氏の心意気に同意せざる得ませんですからね。
願わくば、中学生たちがきちんと反省し、作者さんたちにしっかりと謝罪した上でクワクボリョウタ氏が修復作業を行う時にはその製作過程をしっかりと見て例えただの物だとしても、そこには魂が籠められていることを知って欲しいですね。
私がクワクボリョウタ氏の立場なら、きっと怒り狂い、悲しみにくれて、このような冷静な対応は出来なかったでしょう。少なくとも当該中学生たちに自分がどれだけ作品に想いを籠め、作り上げたかを直接語って恨み節のひとつも放ってしまう自信があります。
でも、それをすればネット上で誹謗中傷合戦が起きる、特定祭りが起きるかもしれません。
敢えて「子供が間違えて」しまっただけで被害も幸いにして誰も怪我した訳ではないと、「大したことではなかった」ことにした。
素晴らしい判断と対応ですよね。悔しいし悲しいと辛い筈なのに、まず被害者本人が加害者を思いやって発言している。
今回の行動はどんな理由があれ、決して赦されるものでは無いと私は思います。
それでも、当該中学生たちが反省し、市と学校が再発防止につとめ、各家庭がお子さんと向き合うきっかけにして欲しいと思います。
作者本人がそれを望み、「物を壊されただけ」と語ってくれたことには、それだけの重みがある。
作品の1日もはやい修復を心より願っております。