≫≫≫ ジェロニモ2 ≪≪≪
ジェロニモは日本にやって来ていた
彼は西部開拓時代のアメリカからタイムスリップして来たアパッチだ
現代のアメリカに知り合いがなくて、寝泊まりするところがなかったので、ニューヨークで知り合った優しい日本人キンタくんについて来たのだ
もちろん巨大なトマホークも持って来た
パスポートがないので飛行機の屋根に乗って飛んで来た
日本は優しいところだった
キンタの言う通りだった
優しすぎて退屈になってしまった
ジェロニモはトマホークを手にした
「ホホホー! ホーホホホホー! アーハッ!」
ジェロニモがトマホークを振り回す
のどかな日本の日常生活
いつもの風景に
日本人たちの首が飛ぶ
タラちゃんの首も取ぶ
しいなここみの首も飛んだ
お父さんもお姉さんも分け隔てなく
みんなの首が笑いながら飛んだ
「ウム。すっきりした」
ジェロニモはコントローラーを畳の上に置いた
「すっきりするだろ? このゲーム」
キンタもコントローラーを畳の上に置いた
『アパッチになってムカつく日本人の首を切り落としまくろう』
あまり人気のないアクションゲームだが、キンタおすすめの一本だ
日頃溜まりまくるストレス発散のため一家に一本どうぞ
ヒメが襖を開けて入って来た
彼女はキンタの恋人で令嬢で太めの29歳だ
「またゲームばっかりやってる。少しはあたしとの将来のことも考えてよね!」
「うん、そうだな」
キンタは何を言われてもそう答えるような言い方で答え、ジェロニモのほうを向いて、
「この国はいい国だろう?」
「ウム。平和で、優しくて、いい国だ」
ジェロニモはそう答えると、おもむろに立ち上がった
「いい国だが、私には少し退屈だな。筋肉が落ちてしまう」
「筋トレすればいーじゃん」
ヒメがパワーボールを差し出し、シャカシャカ回した
「これ、効くよ? やってみ?」
ちなみに作者はうまく回せない
「トマホークが錆びつくだろ」
キンタは1人でゲームを続けながら言った
「やっぱ本物の首とか切り落としてスカッとしたいだろ」
ヒメは畳にマスカットを入れた皿を置くと、聞いた
「キンタマスカット切ろうか?」
「痛そうだからやめて」
「私は私の生きる世界へ行く」
ジェロニモは2人が繰り広げるつボイノリオ大先生のパクリギャグを無視すると、窓の外を見つめた
「私が望む世界はあるはずだ」
そして遠くに見える東京スカイツリーを故郷の高い山を眺めるように見つめると、寂しそうに笑った
これまでにします