ペンギン三兄弟 〜 49話 冬の夢 の巻
ペンギン三兄弟
チャン・・・性格は几帳面。声がいいが顔がデカい。
サングラスをかけている。つぶあんが大好き。
ドン・・・体はちっちゃいが、器用に何でもこなす。
収集癖あり。
ゴン・・・ド天然。普通のことが超不器用。
日々体を鍛えてる。ゴジラが大好き。
ダミオ・・・近所の猫。鳴き声がダミ声。
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
今日も仲良く暮らしています。
寒い冬の夜、3羽はこたつで鍋をかこんでいました。
チャン「今日の海鮮鍋はおいしいな」
ドン「ま、具はワカサギオンリーだけどね」
ゴン「あーエビ食べたい」
チャン「声に出して言うなよ、食べたくなっちゃうだろー」
ドン「そうそう、ワカサギで十分おいしいよ」
ゴン「みんなの声を代弁してやっただけだろー」
3羽は、しめの雑炊をフーフーしながら食べました。
チャン「あー、あったまった」
ドン「こたつで鍋ときたら、次はみかんでしょ」
ゴン「いいね、みかんみかん」
ゴンはみかんの皮をむくと、1個丸ごとくちばしの中へ放りこみました。
チャン「ひとふさずつ食べなさいよ」
ドン「味わって食べなきゃ」
ゴン「丸ごとだって、十分味わえるんだよ」
そのとき、
「ぎゃーお、ぎゃーお」
窓の外から、しゃがれた鳴き声が聞こえてきました。
チャン「あ、あのダミ声は」
ドン「ダミオだ」
ゴンが窓を開けると、近所の野良猫ダミオが何かをくわえて入ってきました。
チャン「ダミオ、外は寒かっただろう」
ドン「ダミオ、何持ってきたの?」
ダミオは、くわえていた袋をこたつの上に置きました。
ゴンが袋をあけてみると、なんとそこには大きなエビが4匹入っていて、赤くツヤツヤと輝いていました。
ゴン「おお!ダミオ、エビを持ってきてくれたの?」
チャン「ずいぶんりっぱなエビだなあ」
ドン「よし!エビ鍋にしよう!」
ダミオ「ぎゃお〜ん!」
それから3羽と1匹は、エビ鍋を作って、またこたつで鍋をかこみました。
チャン「エビ、うま〜い」
ドン「エビ、超うま〜い」
ゴン「エビうますぎ、殻まで食べちゃう」
ダミオ「ぎゃぎゃ、ぎゃーお」
3羽と1匹は、おいしいエビ鍋をあっという間に平らげてしまいました。
チャン「不思議だね、お腹いっぱいだったのに、おいしいものは食べれちゃうね」
ドン「別腹ってやつね」
ゴン「でもまさか、ダミオがこんなおいしいものを持ってきてくれるなんて」
ゴンは、よしよしとダミオの頭をなでました。
チャン「ダミオにも何かご馳走しないとね」
ドン「みかんじゃねえ...」
ゴン「あ、たしか、いいものがあるよ」
ゴンは冷蔵庫からケーキの箱を持ってきました。
ゴン「これ、おいしいクレープだよ、みんなで食べよう」
チャン「このアイスおいしいね」
ゴン「アイスじゃないの、生クリームなの」
ドン「クリームが冷たいからアイスみたいだよね」
ダミオ「ぎゃーお」
ゴン「アイスじゃないの、ムーミンはカバじゃないの、妖精なの!むにゃむにゃむにゃ...」
3羽はいつのまにか、こたつに足を入れたまま眠ってしまっていたようです。
でもダミオの姿はありません。
あれ?いつから夢だったのでしょうか?
それぞれブツブツと寝言を言い合っています。
チャン「ムーミンはカバじゃないの?むにゃむにゃ」
ドン「じゃあスナフキンは?むにゃむにゃ」
ゴン「スナフキンはなんだろ...むにゃむにゃ」
夢までシンクロしている3羽なのでした。
おしまい