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悪の勇者の異世界征服  作者: 東乃西瓜
二章  邪悪に魅せられた者たち
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成果の確認

「おう、待たせて悪かったな」


 俺は何事もなかったかのように闘技場の外で待っていたネザーとメアリーに声を掛ける。


「うむ、しかしあの緋剣に対して随分一方的であったものだなバンディット。少しくらい苦戦が見られるかと思っていたのだが。いつ勝利を確信したのだ?」


「殺したら負けって条件をあいつが言った時だな、それを聞いたときにこいつは俺を殺さないって思ってな」


 そう、だからディーンが【マグマセイバー】で斬りつけて来た時に腕ではなく、身体を斬るように身体を動かした。

 そこからは俺のやりたい放題だ。

 ディーンが2度と俺と戦いたくないと思うように、2度と俺と戦えないようにトラウマになるように攻撃を続けた。


「なんだよメアリー、恋人の勝利を喜んでるって顔じゃねえな」


「あ、いえ……改めて変わった自分の立ち位置のギャップがちょっと受け入れられなくてですね……」


 ……まぁそれはそうだろうな。

 俺がもしフィーナに唆されて勇者の側に回ったらと考えるとメアリーの気持ちはわからないでもない。


 しかしメアリーが俺の味方になるというのなら、あのままの勇者のパーティーの僧侶のメアリーでいられるわけにはいかない。


 悪の仲間の僧侶のメアリーになってもらわなければ困るのだ。


 いつまでも優しさと心配を抱えて、守って救う為の人間ではこっち側にはいられない。

 その証拠に今のメアリーの目は決闘を見る前と今とでは違う。

 優しさに溢れていて輝きのあるぱっちりと開いていた目は少し淀んでおり、現実をはっきり見ないようにしているのか少し目を細めている。


 しかし、いややはりとは思ってはいたがネザーはこっち側の人間だった。


 あの戦いをみて表情も、態度も、口調も全く変わらない。

 悪の側の人間だとは思っていたがこの決闘を見ても全く変化を見せないのは少し驚いてしまう。


 そしてこいつの抱えている悪の支えがなんなのか、それに興味が湧いてくる。

 まぁ、目的があって俺の側に来たのならいつか自分から話す事だろう。


 それが復讐であれ、私怨であれ、悪としての仲間の事ならば力になろう。



「してバンディットよ、貴様の勝利に終わったわけだが条件は考えているのか?僕の考えが正しいなら貴様はあの場でディーンを殺して適当に謝って終わりにすると思っていたのだがな」


 その通りである。

 俺はあの場でディーンを殺すつもりだった。

 いや、なんならあの場でディーンを殺し、逆上して出てきたヘリオも殺すつもりだった。


 しかしあの場でヘリオが冷静であったのは予定外である。

 冷静にならなければならないと考えたのか、もしくは元々あの状況で冷静でいられるだけの精神の持ち主だったか。


 もしそれが後者だった場合、ディーンを痛めつけていた時のあの挑発と態度は不自然すぎる。

 あの挑発はまるで俺にディーンを殺させようとしていると捉える事もできた。


 俺がディーンを殺す事がヘリオにとって、もしくは王国にとってのメリットになると考えた時、あの場でディーンを殺すのだけは避けたかったのだ。


 ヘリオがここまで俺の考えを読んでこの結果に持ち込んだとするならば、ヘリオとの交渉戦は俺の負けと受け入れるしかないだろう。


「まぁ色々考えててな、条件はまだ決めてねえ。ネザーの言う通り、ディーンから負けたら謝れって言われた時はディーンを殺して終わりのつもりだったからな」


「ふむ、まあディーンも条件を今すぐ寄越せと言える状態ではないだろうし、問題はないだろうがな」

「今白魔法士の皆さんがこぞって【ヒール】を掛けてますから死ぬ事はないでしょうしね」


 まぁ問題は復活した後のディーンの反応なんだがな。

 ディーンがトラウマも抱えず次は負けない!とか言ってくるような馬鹿でない事を祈るばかりだ。


 まぁそこまで心配はしていないのだが、唯一問題があるとすればあの決闘を最後まで見ていた生徒と教師がいた事である。

 恐らくまた明日には学園で噂になる事だろう。


 これ以上学園で変に注目されるのは避けたい。

 しかしフィーナとエルザが決闘を見に来ていなかったのは幸運だったと言える。


 あの2人が見に来ていたならばこの決闘の結果もまた違うものになっていただろう。


 それにしてもせっかくの灰適正の英雄だったのだから少しくらい力は見たかったものだ。

 結局【マグマセイバー】しか見られなかったし。


 しかしあのタイプの武器に黒魔法を付与するのを見られたのはありがたい。

 いつか俺も黒魔法で出来るのだろう。


 学園の授業での楽しみがまた増えた。

 まぁこのままでは俺もいつまで学園に居させてもらえるかわかったものではないのだがな。


 当人はそんな事は心配する必要のない事だと分かっておらず、頭を掻きながら歩い出す。


「とりあえず寮に帰ろうぜ、腹減ったし今日の授業の復習もしておきたいしな」


「……貴様は真面目の置き所を間違えている」



 ネザーの説教を無視して俺は歩いて行く。

 その俺の横にはしっかりと前を見て並んで歩くメアリーがいたのだった。

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