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悪の勇者の異世界征服  作者: 東乃西瓜
二章  邪悪に魅せられた者たち
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貴族と力と悪友と

 教室に入ると何人かの生徒がもう座っていた。

 どうやら席は自由らしい。

 3人でひとつの机を使うタイプの席。

 後ろの方に座るネザーの周りには誰も座っておらず、前の方に集まっている。

 俺はネザーの座る方へ向かい隣に座る。

 メアリーも俺の横に座る。


「よう、さっきぶりだな」


「…先程の騒ぎの後で僕の横に座るか」


「周りに誰もいなくて居心地が良さそうでな」


「くっく…才ある者とは孤独であるものだ。その才が権威であれ、力であれ。貴様の1番の親友のようにな」


「なんだよ見てたのかお前、フィーナはお前と違って1人は寂しいみたいだけどな」


「いずれ慣れる。そういうものだ」


 淡々と話すネザーだがその目には寂しさが見える。

 ネザーにも経験があるのだろう。


「しかし貴様のような人間が勇者フィーナと友人とはな、貴様達は真逆に見えるが?」


「……まぁな、アイツは善い奴だからな。俺みたいな悪い奴でも信じてんだろ」


「隠す気もないか、バンディット」


「隠さなくたってアイツは俺を見限らねえさ」


「善い奴だからか」


「親友だからだよ」


 ネザーは俺の答えが意外だったのか目を丸くしている。

 しかしすぐに冷静になり笑い出す。


「くはは!それは何よりだな!友は一生の宝と言うからな!」


「そういうこった、よろしく頼むぜネザー・アルメリア様」


「堅苦しいぞバンディット、ネザーで構わん。どうせ学園の中では権威など役には立たぬ」


「……貴族様ってのはもっと偉そうなもんだと思ってたぜ」


「権威が力だという事は分かっている、それだけでは民には認められぬという事も。だから僕は学園に力を付けに来た」


 よくできた人間だ。

 自分に足りない物が何か分からなくても、それを探すための努力をする。


「あ、メアリー・ロッドと申します。勇者のパーティーの僧侶を務めています」


「うむ、貴様の事は知っている。【白の守護神】、【無限回復】、【ヒールガーディアン】、【無死の聖女】。挙げればキリがない」


「ふふ、ありがとうございます。ネザー・アルメリア王子」


「貴様もネザーでよい。僕は権威を見せびらかす為にここにいるわけではないのだから。雑談はここまでだ、教師が来た」



 気付くと席は生徒で埋まっており、正面の教卓の所に教師が立っている。

 教師は深呼吸を一つすると話を始める。



「まずは君達に入学おめでとうと言っておく。だが勘違いはしないでもらいたい。この学園には入学試験や学費というものはない事は知っているはずだ。つまり君達は自分の意思でここに来た。君達が誰か1人問題を起こして辞めてもこちらは何も困らない。この学園で学ぶ以上、何か力を付けてここからいなくなる事。私が言いたいのはそれだけだ」



 不真面目な人間や、やる気のない人間はいらないと言う事か。

 そりゃそうだ。タダで学べるとは言え慈善事業ではないのだからな。

 必要な人材育成の為だ。


「では早速だが模擬戦を行う。全員闘技場に集まってくれ。パーティーは今座っている三人一組だ。うまく戦え」



 ほう、いきなり模擬戦とは楽しみができた。

 ネザーの力も気になるしな。


「模擬戦か、これは良い催しだ。バンディット、ロッド、僕を失望させてくれるなよ?」


「言うじゃねえかよネザー、お前こそ俺の力を見て漏らすなよ?」


「くはは!言いよるわ!まずは適正からだな、僕の適正は薄緑、緑魔法と白魔法。緑魔法の方が得意で特に地面から土や鉄から武器を生成し戦う。剣でも槍でも弓でも棍でも武器ならば扱える、近接でも遠距離でも構わん」


「俺は灰、黒魔法と白魔法だ。魔力解放で相手を足止めして、部位強化で戦う。近接のが得意だが黒魔法でのサポートも可能だ。回復はあんま得意じゃねえな」


「私は白魔法です。回復と遠距離からのサポートを担当します。自分の身を守る程度の戦いは出来ますので気にせず戦ってください」


「ふむ、では僕とバンディットで前衛を担当するのがいいか。意外と悪くない組み合わせかもしれんな」


「確かにな、まあネザーがヤバそうだったら黒魔法で援護してやっからよ」


「ふん、貴様の力など必要ないわ。僕の眼前に立つ者は僕が切り捨てる」


「はいはい、いいから闘技場に行きましょう?」


 言い合う俺たちを宥め、メアリーが提案する。

 俺たちも言い合ってはいるもののお互いがお互いの力を楽しみにしている。

 その証拠に俺の横にいるネザーの口角は上がっている。


 ……まあ、俺も同じような顔をしているんだろうけどな。

 魔力の解放は本気でやらないようにしないとな。

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