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悪の勇者の異世界征服  作者: 東乃西瓜
一章  神に選ばれた悪
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神と転生

「ふむ、其方が選ばれた者であるな」


 黒い視界の中で声だけが頭に響く。

 選ばれた者?何の話だ?


「あぁ、答える必要はない。其方の言いたい事はわかる」


 声は出していないが、目の前の奴が言葉を並べる

 誰だこいつは?何処だここは?


「まあ今の其方には肉体が無いから声は出ないのだがな。私は神でここは……そうだな……次の世界の入り口である」


 肉体がない?神?次の世界の入り口?

 言葉としては意味を理解できても、思考がそれに追いつかない。


「まあ単純な話である、其方は前に生きていた世界で死んだ。だから其方は次に生きる世界に行くということである」


 なるほど、と納得できる状況では無いのだが夢であればそれでいいし、現実であればそれでいい。


「まあ君に特別な物をやる事はないのだがな。無敵の肉体、際限なき知識、尽きぬ魔力、其方には必要ないものであろう?」


 嘲笑するように神とかいう奴は言う。

 そうか、俺は本当に死んだのか。


「その通りである、向こうの世界で学ぶといい。ここで君に知識を与えるつもりはないからな」


 俺は誰かの子として生まれるのか?


「いや?君は赤子のまま適当な場所に放り出すつもりだが?」


 こいつは何を言っているのだろう?

 絶対に知能や物心がつくまでに死ぬ自信がある。


「ふむ、それは確かに。では君の知能をそのままにして送ることにしよう。それなら生き延びられよう」


 こいつの中で赤子は知能があれば立って1人で歩くのだろうか?

 本当に神なのかが疑わしくなってくる。


「もういいな?では転生の時である。次の世界を楽しむといい。」


 こちらの返事を聞くこともなく、再び意識が薄れていく。

 最後に聞いた声だけが、何故か鮮明に聞こえた気がする。



「願わくば次の世界ではその心が満たされん事を」



 その言葉と共に黒かった視界を、白い光が飲み込むように包み込んだ。



 堅い身体も与えられず、広い知識も与えられず、強い魔力も与えられずに彼は次の世界へ送られる。



 だが神とやらが彼に与えてしまった知能。

 悪としての彼は、まだ消える事はない。

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