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悪の勇者の異世界征服  作者: 東乃西瓜
二章  邪悪に魅せられた者たち
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2人と2人

「あーいってえ!お前普通親友の頭を部位強化した腕で殴るか!?手首折れてたって強化した肉体なんて鈍器みてえなもんだろ!」


 俺は殴られた頭をメアリーに魔法で治療して貰いながらフィーナに文句を言う。


「部位強化が間に合ったんだからいいじゃないか!そっちこそ親友の手首を握り潰すとか何を考えてるんだ!あれ遅れて部位強化してなかったらヒビじゃ済まなかっただろう!?」


 フィーナもエルザに魔法で治療して貰いながら文句を言っている。


「あーくそ、また勝てなかったか……今回はもうちょっとだったんだけどな」


「ふん、3割に対してもうちょっとで悔しがれるなんて羨ましい限りだよ」


「あ?なんだフィーナ?やんのか?」


「なんだい?次は2割でやってあげようか?」


「あーもううるさいわね!黙って治療されてなさい!!」


 文句を言い合う俺とフィーナをエルザが咎める。

 心の中で物足りなさを感じていた俺は攻撃の対象を変える。


「にしてもメアリーいつもありがとな、治療してもらってよ」


「いえいえ、強くなろうとしているお手伝いになるのであればいつでも協力させていただきますよ?」


「本当にメアリーはいい女だよな。優しくて相手を立てる事を忘れない、ルックスもスタイルも魅力的で言う事無しだ。将来の旦那様が羨ましい限りだぜ」


「そんな事ありませんよ、ナナシさんこそ口調こそ乱暴ですけど相手の事を理解しようとする姿勢やワイルドと言える性格はこの人に連れ添いたいと思わせてくれますよ」


 メアリーが俺の意図を察したのか話に便乗してくる。

 今まで言い合っていた相手が急に女とイチャつき始めるのを見てエルザは思わず黙る。


「じゃ僕とエルザは先にナナシの部屋に戻ろうか。ナナシは意識がしっかりするまで休んでるといい」


 フィーナも流石に察したのか先に帰ると言い出した。

 エルザはそれを聞くとおろおろしだす。


「あー悪いなフィーナ、エルザとごゆっくり」


「ん?あぁ、そっちこそね」



 そう言うとフィーナはエルザと2人俺の部屋に戻っていった。



「ナナシさん流石です!これは楽しみが増えました!どうですかねあの2人!?どうですかね!?」


 メアリーは随分楽しそうにうきうきしている。

 これが僧侶とは世も末だ。


「そりゃ荷造りしてもうベッドしかない部屋に男女が2人ってらなったら……なぁ?」


「そうですよねそうですよね!!これは後でエルザさんに問い質さないといけません!神の御意志に従います!」


 最近の神は随分な意思をお持ちの様だ。


「お前よくその性格で僧侶なんかやってんな。僧侶ってのは純潔にして純血ってもんかと思ってたが」


「私は純潔です!ただそういった恋愛事を見るとどうも首を突っ込みたくなってしまいまして」


「……まあ楽しそうだからいいんだけどよ」


「ナナシさん、そういえば私聞きたい事があるのですけど構いませんか?」


「あぁ、いいぜ」






----どうしてナナシさんは山賊に殺されずに10年も生きていたんでしょうか?



 そう言ったメアリーの目は瞳孔が完全に開いていて、不気味さすら感じるものだった。


「ねえ?ナナシさん?10年以上山賊に捕まって読み書きの出来ないナナシさんがどうしてことわざなどの知識があるのでしょう?どうして自分の魔法適正が分かっている様な魔力のトレーニングを出来るのでしょう?」


 不意に言葉が詰まる。


「それは……」


「いえ、色々尋ねましたが答えて欲しい事は2つだけです。ナナシさん、貴方は転生してこの世界に来たのではないですか?そして貴方はいい人などではないのではないですか?」


 どうする。

 いや、動揺するな。

 こいつは僧侶、戦闘は得意ではないしいざとなれば殺せばいい。

 フィーナは無理でもこいつなら殺せるはず。


「両方、そうだとしたら?」



 俺はメアリーに問いかける。

 これに対する回答を狼煙にメアリーとの戦闘を始める心の準備をする。




「私にとって、そんなに嬉しい事はありません」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすい文章でした。 [一言] ピカレスク物だと思っていましたが、今の所主人公に悪人らしさはないですね。
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