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出会い・世界・別れ
「………来たか」
薄暗い世界が続く場所で呟いた。
ここは自分がただ奪い続けた世界。
ここが自分がただ殺し続けた世界。
「やっとこれで、終わるのか」
自分の眼前に立っている男。
自分を終わらせるであろう男がそこにいた。
「あぁ、構わない」
男は一言も話していないが自分には分かっている。
その男の手段も、その男の目的も。
男は地に落ちていた剣を持ち、それを構えた。
------ドスッ
男の持つ鋭い剣が胸を貫く。
これがこの男の手段。
男は刃を引き抜くと刃を濡らす血を払おうと勢いよく刃を振った。
「………あぁ、お前だ」
その言葉に自分は目を閉じた。
これがこの男の目的だったのだ。
熱い背中が少しずつ冷たくなっていく。
「………終わり、か。まあ、悪くはなかったな」
小さな声で誰に伝えるでもなく呟いた。
もう一度この世界の空を見よう。
空には星一つなく、雲一つなく、ただ暗かった。
「………いい……空だ」
命は、その言葉を最期に終わりを迎えた。




