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今日から学校と仕事、始まります。②莞

眠れない理由を聞いたら

作者: 孤独

高校時代の頃である。

そこにはまだまだ小さい、とあるゲーム制作部が存在していた。

この時はまだ5人だけ。同好会から部に昇格した程度の人数だし、担当する顧問もいない。


「うー…………」


デザインを担当している松代は寝不足の顔で作業に取り組んでいた。

1つ上の先輩であるため、まだ馴染めない敬語で聞いてみた安西弥生。


「どうしました?松代先輩」

「おぉ~、聞いてくれよぉ。安西~。眠いんだ~。なんでだろ?」

「寝不足はよくありませんよ。授業中に寝てください」


それは学生としては、間違っている回答だ。


「私だって、夜遅くまでBL本読んでますけど!今、眠気吹っ飛ばしているところです!」


睡魔と戦いながらプログラミングを学ぶのは酷だ。

まだまだ触り始めた段階であるが、思うが儘に動かせるプログラミングでこの活動に貢献できるように安西は学んでいる。


「授業中も寝てるんだがなぁ~。体育でも、保健室で寝てたのに……寝てたのにドッと疲れてもいる」

「不思議ですね」


一体何が原因だろうか?


「あ。カフェインの摂りすぎでは?ぐっすり寝れない原因かもです」

「確かに缶コーヒー飲んでるわ。それが原因かもしれん。よし、今日だけ缶コーヒー飲ーまない」

「はい」



そして、翌日。

部に顔を出した松代の顔は、昨日と変わらず顔色が悪い。というより、寝不足。


「う~……缶コーヒーを断ったというのに、睡眠不足……。いや、寝たのに疲れがとれない」

「残念です~」

「安西、お前。クマができてるぞ?」

「昨日の夜、チョコレート食べながら、BLゲームやってまして鼻血も出て、涙と一緒に止まらなかったんです。おかげで家で2時間の睡眠と、学校で7時間の睡眠です」



お前等、学校を寝床と勘違いするな。


そんな寝不足な2人とは対照的に、いつも明るく場を盛り立てるムードメーカーのご登場。


「やっほーー!松代先輩、弥生ー!どーしたの?昨日以上に調子悪そうじゃん」

「友ちゃん。元気だね」

「おー、友ちゃん。聞いてくれ。俺、なんでか知らんが。寝たのに疲れがとれないんだ。昨日、家で6時間。学校で4時間寝てるのにだ」

「約半日も寝てて、あんたの人生は大丈夫かな?」


先輩相手にも容赦ない毒舌、工藤友。


「しっかり電気消して、カーテン閉めて、布団とか毛布を綺麗に整え、ちゃんとした枕の上に頭を置いて寝てないんですか?」

「やべっ、確かに俺は机に突っ伏して寝ていた」

「そもそも基本ができてなかった!!というか、寝てたというより、気絶じゃないですか?」

「いやぁ、作業しながら寝てられる方法ねぇかと思っていたんだ。それが原因かも……」

「じゃあ、これで今日はバッチリ寝られるじゃん!明日はその顔色、良くしてください!!」



そんで翌日。


「う、う~む。なぜだっ。昨日、ソファーの上、毛布かけて寝てたのに……」

「ちゃんとベットか、布団に入って寝ろよ!あたしの意見を聞いてねぇじゃん!」



先輩に缶コーヒーを投げつけてあげる友ちゃん。


「ソファの上でも気持ちいいぞ。あと、俺の部屋にはベットも布団もねぇ」

「どんな部屋やねん。散らかってるでしょ」

「まぁな。しかし、この寝不足。どーやって……」


そして、今日は先輩からのアドバイスをもらう松代。

安西、友ちゃんと同じく女性。


「1週間前から知っていたけど、松代くん。あまり寝れてないようね?」

「と、酉さん!ええっ、そうなんです……」

「しっかり寝ないと集中力不足に繋がるわよ。成長には睡眠、食事、運動、勉強、この4つは必要なんだから」

「は、はいっ!」


松代宗司は、この酉麗子に惚れている。

そして、そんな気持ちを知っている酉は、後輩達の温かいアドバイスをもらっても、改善されない松代の寝不足問題に、ズバッとメスを切れ込む。


「ズバリ、きっとあなたの寝不足は……」


その切れ込み方は、ズバッといくというレベルじゃない。そんな気持ちもまた、惚れさせてしまう酉の魅力である。


「夜な夜な1人○○○のし過ぎ!気持ちいいけど、精力と体力を使ってるから寝れてないんでしょ!」


そーいう事をどストレートに言うなよ。

って、安西は顔をやや赤らめて、友ちゃんはこの酉と松代にドン引き顔を向ける。


「た、確かに。夜な夜なしてるけど」

「カミングアウトすんなっ!!」

「部屋が散らかっている大半は、ティッシュね?」

「あ、当たりです……」

「認めんな!!」

「今日から1週間○○禁すれば、しっかり寝られるわ!」

「そんな殺生な!!」

「そ、それは酷いと思います!」

「弥生も乗っからない!!」


このボケ3枚のツッコミ1枚の状況。友ちゃんのツッコミ苦労は絶えない。


「しかし、なんで分かったんですか……」


そーいう事は知りたくないんですけどって……心の中で留めておく友ちゃんと安西であったが。酉はなんの苦労もなく、吐いた理由にはそーいうバカを知っていたからだ。


「宮野も似たような理由で寝不足だった時があったから」

「げっ、あの野郎も……俺と同じだってのかよ……」

「お、お、男の人ってそんな連中なんですか……。あの宮野さんまで……」

「あ~も~、バカばっか……」

「ふふふふふ」


あっけらかんというか、知ってもらうために伝えたつもりの酉だった。だが、そーいう事を本人に内緒のつもりで言うのは良くない。そして、酉の背後にいて、その言葉を聞いてしまった。


「なに勝手に捏造してんだ」


悪い噂に蓋をするようにバチンッと、宮野健太が現れて、酉の頭をぶっ叩く。

暴力は良くないと言いたいところだが、名誉棄損もまた良くない。


「あれ~?そーいう日はないの?宮野く~ん。女の子だってあるよね?」


なんで、この人は全方位に喧嘩を売っていくんだろうか?


「私が○○○○してる姿とか、想像しちゃってるでしょ?松代くんは、想像しながら2次元に創造できるけど。あんたにその技術ないんだから……」

「あ?」


コソコソと宮野に耳打ちする酉。松代は何を言っているんだと、苛立ちながらも気になる。


『一年前の、私のスク水エロ写真を使ってるんでしょ?今は、もっと胸。盛ってるわよ』

「被害妄想もそこまでにしとけ、バカ」


宮野は酉を小突いて終わり。それに松代はなにすんだって、ポージングをとるが。宮野は酉に呆れている事、秘密にもしたがらない事を後輩3人に教えてしまう。



「酉、裸で寝る癖は直してるんだよな?」

「ええええぇぇっ!?」

「なんだとーーー!?」


そんな事を言われても、本人はケロケロとしており。


「水曜日と土曜日以外は、パジャマ着て、寝てるわよ」

「宮野テメェ!なんでそれを俺に教えねぇんだ!そーいう癖を直したの、テメェか!!」

「後輩がそのことを見習うもんじゃないからだろ」


見習うなら、この酉のバカみたいに強いメンタルだろうって、宮野だけは思っている。


「じゃー、こうしろ。松代」

「なんだ!?」

「酉、もう面倒だから。松代と一緒に寝ろ。そーすりゃ、そーいうことはしねぇだろ。もう好きにしろ」

「一線を超えてるんですけどー!解決にもなってませんよ!」

「あんたもその発想がオカシイ!!っていうか、酉さんと宮野さん!あんた達が揃って壊れてる!人間のモラルをもってください!」


世の中、変な人は多いだろうが。この酉と宮野の2人は、とてもオカシくて変だと思っている、安西と友ちゃんの2人であった。


「私は構わないけど、宮野もいいの?」

「お前の事なんか、俺にとってはどーでもいい」

「俺も構いません!!」

「そう。けど、松代くん。……寝かせないわよ?いい?寝不足で困ってるのに」

「は、はい!それでも!」



翌日。

酉の言葉通り、松代はまったく眠らないほど、クタクタになって学校に来たとさ。




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